第二話「パブへ行こう」
―――パブ『呑んだくれ紀行』
「がはは!愉快愉快!」
「そいつは愉快だな、ガハハ!」
エレノア国には、文化的特徴として数多くのパブがある。
そこはまさに、国民にとって第二の家のような場所。
普段は無口な紳士も、飲むのが好きなおじさんも、イケイケな姉ちゃんも
一同に会して、その場では家族のように交流するのだ。
木造の店内には笑い声が響き、琥珀色の酒がジョッキの中で揺れる。
壁には古い楽器。
天井には擦れた旗。
カウンター奥では店主が陽気にグラスを磨いている。
――実に平和な夜だった。
ガラガラ……
「んお?今日はお客が多い……な……」
店の中に五人の女性が入ってくる。
全員、美人。
服装も少し古風ではあるが、お洒落。
ただし。
先頭に立つ長身の黒髪女性。
黄金色の長髪を束ねた妖艶な女性。
鋭い蒼眼を持つ短髪の女性。
茜色の髪をなびかせる長身の女性。
そして、銀髪のおさげと尖った耳を持つダークエルフ。
その顔ぶれを見た途端。
店内の愉快なおじさんは――
ガシャン。
ジョッキを地面に落とした。
「……」
「……」
「……」
一瞬にして、店内が静まり返った。
つい先ほどまでは、
「ガハハ!」
「飲め飲め!」
「もう一杯!」
などと騒いでいた屈強な男たちが。
もれなく全員。
置物のように固まっていた。
――ことの発端は先日の会議にて。
「しかし、どうすれば国民と交流できるのか…まずは何から手を着けよう……」
「そうだ!総団長!パブに行こうぜパブ!」
クレアがポンと手を叩いて快活に笑い出した。
「え?パ、パブって……?」
「……」
クレアの笑顔が消えた。
「お前…マジかよ」
ユリアは少しむっとして。
「な、なんだよその顔は」
「総団長、この国に何年住んでんだ?」
「物心ついた頃から一度も出ていないよ!」
「じゃあ何で知らねーんだよ!」
そこへサファイアが静かに口を挟む。
「総団長。パブとは、我が国が誇る国民に根付いた伝統文化の一つだ」
「ほう?」
「エレノア人は普段はお堅いが、そのパブという場では、皆で飲んだり話したりしてリラックスして過ごすのが習わしだ」
「なるほど……!」
ユリアの目が輝く。
「つまり、リラックスした空間で直接市民たちと触れ合うというわけだ!クレアにしては、素晴らしいアイデアだ!」
「最後の余計だよ総団長!」
「でも、本当に良いアイデアですわね~♪」
レアは嬉しそうに頬へ手を添える。
「何より、安くて美味なお酒が楽しめますわ♪」
「…レア、目的が変わっている」
ロロナが冷静に指摘した。
「まあまあ~♪」
「ところで」
サファイアが腕を組む。
「問題が一つある」
「なんだ?」
「いつもの格好で行けば、確実に騒ぎになる」
五人は再び沈黙。
黒い騎士鎧に大剣。大槍。魔導具。軍章。
どう考えても一般客ではない。
ユリアはしばらく考えた後。
ポン、と手を打った。
「私服で行けばいい」
「天才か!?」
クレアが叫ぶ。
「いや普通だよ」
―――そして、今に至る。
「…………」
ユリアは店内を見渡した。
全員こちらを見ている。
一人の老人は、震える手で静かにジョッキをテーブルへ置いた。
別の男は、そっと椅子から立ち上がり――
「……帰るか」
「お、おう」
「待ってくれ」
ユリアが反射的に声をかける。
ビクゥッ!!
二人の男が同時に跳ねた。
「ひぃ!?」
「な、何でしょう総団長殿!!」
「いや!違う!」
ユリアは慌てて両手を振る。
「今日は総団長として来たんじゃない!普通の客だ!普通の客!」
「……」
男二人が顔を見合わせる。
「普通の……」
「客……?」
「そうだ」
ユリアは笑顔を作った。
本人としては最大限、柔らかく笑ったつもりだった。
切れ長の目。
2m近い長身。
堂々とした姿勢。
数千人の団員を率いてきた威圧感。
結果、男たちには。
『逃げるな』
と命令しているようにしか見えなかった。
「……」
「……」
結局その二人は、無言で着席した。
「よし」
とりあえず落ち着いたと思っているユリアにそっと近づき。
「ユリア」
サファイアが小声で言った。
「今のは逆効果だと思う」
「えっ」
そこへ店主が恐る恐る近づいてくる。
「い、いらっしゃいませ……」
「うむ!」
ユリアは元気よく答える。
それに反応するように、店主の肩が跳ねる。
「お席は……」
「五人だ」
「はい!!一番広い席をどうぞ!!」
「そんなにかしこまらなくていいよ」
「はい!!」
「……」
ユリアは悲しそうな顔をした。
五人は奥の丸テーブルへ案内された、席に着く。
ユリア。サファイア。クレア。レア。ロロナ。
五人が座っただけなのに。
周囲半径三メートルには、誰もいない。
「なあ」
クレアが辺りを見回す。
「なんでこの席だけこんな空いてんだ?」
「ぐ、偶然だろう」
ユリアが気にしていない素振りで答える。
「…違うと思う」
ストレートにロロナ。
「…みんな、避けた」
「ロロナ!そういうのは言わなくていいんだ!」
「…事実」
「事実でもさ!」
そこへ店主がメニューを持ってくる。
「ご、ご注文は……」
「おう!まずはもちろん酒だな!」
クレアがニッと笑った。
「店で一番デカいジョッキ持ってきてくれ!」
「は、はい!」
「私はエールで」
淡々とサファイア。
「わたくしは果実酒を~♪」
レアその魅力的な笑顔を見せながら。
「…ミルク」
ロロナは静かに。
「ミルクでいいのかい?」
ユリアが気を遣うように伺う。
「…お酒、苦手」
「ああ、そうなのか?」
少し恥ずかしそうにロロナはうつむきながら。
「…うん」
「かわいい」
隣の席のサファイアがぼそっと呟いた。
「…?」
ロロナがサファイアを見る。
「…何か言った?」
「いや、何でもない」
サファイアは目を逸らした。
「総団長様は?」
店主が恐る恐る尋ねる。
「ボクか?」
ユリアはメニューを見る。
「……」
少し悩みながら、ようやく口を開く。
「り、リンゴジュースで」
「え?」
店主は唖然とする。
「……」
そして同じテーブルの四人も。
全員がユリアを見る。
「な、なんだい」
「総団長」
クレアが信じられないものを見る顔をしている。
「飲まねーの?」
「酒は……その……」
ユリアが少しだけ小さくなる。
「苦いから好きじゃない」
「……」
レアがニヤリとからかう様に。
「まあ~♪」
「な、なんだその顔は!」
「いえいえ~?敵からは悪魔と恐れられる総団長様が、リンゴジュース♪」
「べ、別にいいでしょ!」
「かわいらしいですわね~♪」
「レア!!」
周囲の客たちも次第にざわつく。
「……今、リンゴジュースって言ったか?」
「あの、戦場の悪魔が?」
「しっ!聞こえるぞ!」
ユリアの耳がぴくっと動く。
「…聞こえているよ」
店内の空気が再び凍り付く。
シーーーーン。
「あっ」
しまった!と、ユリアは慌てる。
「ち、違う!怒ってない!全然怒ってないから!」
男たちは全員、目を伏せた。
「……うう、もうダメだ」
ユリアは机に突っ伏した。
「開始五分で心が折れた……」
「元気出せって!」
クレアがバンバン肩を叩く。
「いたい!」
「こういうのは時間が必要なんだよ!」
「それもそうだね……」
「まずこっちが楽しんでりゃ、向こうだってそのうち話しかけてくるって!」
「なるほど」
ユリアが気を取り直して、顔を上げた。
「よし。まずは普通に楽しもう」
「賛成ですわ~♪」
やがて、注文の品々が運ばれてくる。
クレアの巨大ジョッキ。
サファイアのエール。
レアの赤い果実酒。
ロロナのアイスミルク。
ユリアのリンゴジュース。
五人はジョッキやグラスを持つ。
「コホン…では」
ユリアは少しだけ微笑んだ。
「みんな、日頃の任務、お疲れさま!」
「おう!」
「乾杯」
「乾杯ですわ~♪」
「…乾杯」
カンッ。
小気味のいい音とともに五つの器が触れ合う。
そして、一番楽しみにしていたクレアは。
ゴッ。ゴッ。ゴッ。ゴッ。
「ぷはぁー!!」
巨大ジョッキの半分を一気に飲んだ。
「うめぇ!!たまんねぇぜ~!!」
店内の酒飲みたちがざわめく。
「……おいおい」
「あの姉ちゃん、一気に半分いったぞ」
「やっぱすげぇな黒の騎士団……」
クレアはその声を聞きつける。
「ん?」
ユリアがすかさず小声で囁く。
「クレア、これはチャンスじゃないか?」
「あ?なんのこと?」
「話しかけるタイミングさ」
「おお!そっかそっか!!」
クレアは立ち上がった。
そして。
近くの男たちのテーブルへ向かう。
男たち、急接近に思わず顔面蒼白に。
「よぉ!たらふく飲んでっか~!」
クレアがニッと笑う。
「あんたら酒好きなんだろ?」
「は、はい!」
「あはは!そんな敬語使うなって!今日はあたしらも普通の客なんだぞ!」
「……」
クレアは自分の巨大ジョッキを置く。
ドンッ!
「よーし、ここはひとつ…飲み比べしようぜ!」
「え?」
男の一人は目を丸くする。
「もし、あたしに勝ったら――」
クレアはふふんと鼻を鳴らし、腕を組んだ。
「今日の酒代、全部あたしが出してやる!」
ざわざわっ。騒然とする。
「マジか!?」
男が思わず言う。
「ああ、マジだ!」
「負けたら?」
「あたしの酒一杯奢れ!」
「……」
男が仲間を見る。仲間は静かだが、ゆっくり頷く。
「姉ちゃん、その勝負乗った!」
「よっしゃあ!そう来なくちゃ!」
――十分後。
「まだまだぁぁぁぁ!!」
「こいよぉぉぉ!!」
「ガハハハハ!!」
気が付くと空気が変わった。
クレアの周りには、いつの間にか酒飲みたちが集まっている。
「ワイルドホース!もう一杯!」
「その呼び方いいじゃねーか!!」
「クレアさん強えええ!!」
「あったりめーだろ!!あたしは黒の騎士団の団長なんだからなぁ!アハハ!!」
ユリアはその光景に感動して、目を輝かせる。
「すごい……」
「クレアはこういう場では強いな」
サファイアがエールを一口飲む。
「単に酔っ払いとの親和性が高いだけではないでしょうか~?」
すかさず、つっこむのはレア。
「まぁ、それでも大成功だ!」
ユリアは子供の様に嬉しそうだった。
「ほら!やっぱり交流できるじゃないか!」
そのとき、別のテーブルから誰かの影。
「あ、あの……」
大きめのバスケットを持った、若い女性がサファイアへ声をかけた。
「ん?」
「サファイア団長……ですよね」
「そうだが」
女性が抱えているバスケット。
その中から。
「みゃあ」
一匹の子猫が顔を出した。
「……!」
サファイアの目。
一瞬にして、キラキラと輝く。
「う、噂では、サファイア団長は動物好きだとお聞きしました…」
「この子、最近飼い始めたばかりの、うちの猫なんですけど……」
女性は勇気を振り絞るように。
「……」
「抱いてみます?」
「いいのか?」
サファイアの声が、普段より若干上ずる。
女性が子猫を丁寧に抱えて、差し出す。
サファイアはそれを、恐る恐る受け取る。
「……」
子猫は、恐れることなくサファイアを不思議そうに見つめる。
「みゃ」
サファイア。みるみる頬が緩む。
「かわいい」
店内再び騒然とした雰囲気に。
「い、今、かわいいって!」
「言ったな…」
「あの氷のようなサファイア団長が……」
「聞こえているぞ」
シンッ。しまった、といった重い空気。
「……」
サファイアは子猫を大事に大事に抱えたまま、周囲を見る。
「別に」
ぷい。と少しだけそっぽを向く。
「猫くらい好きでもいいだろう」
その瞬間、遠巻きの女性客たちから。
「団長かわいい……」
という声が漏れた。
「……?」
本人だけが理解していなかった。
一方その頃、レアは…。
「まあ~、その指輪素敵ですわね♪」
いつの間にか、女性客三人と酒を飲んでいた。
「えっ?レ、レア団長……!?」
「そんなに緊張なさらないで~♪」
「でも……血染めの薔薇って……」
「まあ♪」
レアはあくまでもクスクスと楽しそうに笑う。
「それはあくまでも戦場では、ですから♪」
果実酒を一口。
「今日はただのレア・スパイロですわよ♪」
「……」
女性客達は、その悠然とした姿で果実酒を優雅に味わうレアの姿に、思わず頬を赤くする。
「……かっこいい」
「ふふ♪」
案外、レアもこういった社交の場に強かった。
そしてロロナの方は。
「……」
一人、静かにミルクを飲んでいる。
誰も近づかない状況が続いていた。
当人のロロナは気にしていない様子だったが。
しかし、その足元に。
「わふ」
一匹の中型の犬が近づいてきた。
「……」
ロロナは、その犬を見る。
犬は、嬉しそうに尻尾を振る。
「わふ」
ロロナ、優しく微笑みながらそっと犬の頭を撫でる。
「…いい子」
店主がその光景を見て驚く。
「お、おお!ポンが他人に懐くなんて珍しいな」
ロロナがその店主を見る。
「…ポン?」
「ええ、うちの昔から飼っている犬でして」
ロロナは、再びポンと呼ばれたその犬を見る。
「…ポン」
犬は名前を呼ばれたのがうれしいように尻尾を振る。
「わふ!」
ロロナは、少しずつ少しずつ、口元がにやけていき。
その目を輝かせた。
「…ふふ」
店主、その可愛らしい姿に固まる。
「……」
近くの客も同様に固まる。
「……」
ロロナは、その一変した空気に気づいた。
「…何かあった?」
「い、いや!」
「なんでもないです!」
そして…本格的に残ったのは、ユリアだった。
「……」
リンゴジュース。ちゅー。
羨まし気に周囲を見る。
クレアは、酒飲みたちと大騒ぎ。
サファイア、猫を抱かせてくれた女性客と猫談義。
レアは、既に女性客の輪の中心に。
ロロナは、犬とすっかり仲良くなっている。
「……」
ユリア。ぽつん。
「…なんでボクだけ」
心が折れかける…そのときだった。
「あのー……」
後ろから小さな声、ユリアが振り向く。
そこには、十代後半ほどの、茶髪の青年が立っていた。
服装からしてうかがうに、店の給仕だろう。
「……何だい?」
低い声で尋ねられた青年はびくっと反応する。
「あっ、いや、その……」
その様子を見て、ユリアは慌てて表情を柔らかくする。
「す、すまない。怒ってない怒ってない」
「コホン…何か用かな?」
青年は少し何かに迷ってる様子で、ユリアのグラスを見る。
「リンゴジュース……お好きなんですね」
「え?」
それは、予想外の質問だった。
「あ、ああ…」
ユリアはグラスを見る。
「好きだよ。リンゴの味自体が昔から大好きなんだ」
「き、奇遇ですね、俺も好きです」
青年は、ホッとした様子で話を続けてくれる。
「この店、あそこのカウンターの店長がうちの親父なんですけど、代々リンゴが大好物で…」
「そんな親父がリンゴ好きの愛好家に向けて、裏メニューでシナモン入れた温かいリンゴジュースもあるんですよ」
ユリア、ようやくこの店に来て嬉しそうな表情になる。
「ほほう、そんなものが?」
「はい、そうなんです」
青年が緊張がほどけたのか、自然に笑う。
「結構うまいです。親父の自信作ですから」
ユリア、じっと青年を見る。
青年はユリアのその鋭い目つきに、だんだんと不安になる。
「……あ、あの」
「……」
そして、ユリアがふっと、微笑んだ。
任務で見せる不敵な笑みでもない。
部下へ見せる頼もしい笑顔でもない。
ただ、そこに居る普通の女性のような。
そんな柔らかい笑顔だった。
「では、それを一つ頼んでもいいかな」
青年は、その笑顔に一瞬だけ見惚れる。
「……は、はい!」
彼は笑ってカウンターへ戻っていった。
ユリアは、その背中を見送る。
それから、自分のグラスを見た。
少しだけ、安堵感とともに嬉しくなる。
「ようやく、普通に話せた…」
そして、テーブルの下で拳を小さく握った。
「よし…!」
――その頃。
「うおおおおお!!」
「クレア!!クレア!!」
「お前らもっと飲めぇぇぇぇぇ!!」
「あっははははは!!」
店の反対側では、完全に大宴会が始まっていた。
そして――さらに二時間後。
「総団長ぉぉぉ!!」
「ちょ、クレア!?」
酔っ払ったクレアがユリアへ抱きつく。
「あたしはなぁ!今日からこの店に住むぜぇぇぇ!!」
「いや、住むな!!」
「総団長も飲めってぇぇぇ!!」
「ボクは飲めないんだ!」
「リンゴ酒もあるぞぉぉ!!」
「それはちょっと気になるけど!!」
「総団長」
先ほどの子猫を抱いたままサファイアが冷静に言う。
「目的を忘れるな」
「サファイア、その猫いつまで抱いてるんだ!?」
「猫が離れないからな」
「君が離してないんだろ!!」
「総団長~♪」
レアも同じく、完全に出来上がっている。
「わたくし~、みなさんとぉ~、とっても仲良くなれましたわぁ~♪」
ふらふらふら。踊るように揺れている。
「レア!?お前そんな酔い方するのか!?」
「うふふ~♪」
そして、ロロナも、サファイアと同じようにずっと犬を抱いている。
「…ポン、連れて帰りたい」
「ダメだよ!店の犬だ!!」
「……むぅ」
―――結局、その日の『呑んだくれ紀行』は。
開店以来最高の売上を記録したという。
そして翌日から城下町では、こんな噂が流れていた。
『黒の騎士団のクレア団長は酒豪』
『サファイア団長は猫好き』
『レア団長は酔うと距離が近い』
『ロロナ団長は犬に甘々』
そして。
『総団長ユリア・エクレシアは――』
――リンゴジュースが大好き。
「……」
翌朝、黒の騎士団の会議室。
エレノア国の朝刊を持ったユリアは、耳まで真っ赤になっていた。
「なぜ」
震える声。
「なぜボクだけ新聞に載ってるんだ……!?」
クレアは机を叩いて爆笑した。
「あっはははは!!いいじゃねーか!親しみやすくなっただろ!!」
「そういう問題じゃないよ!」
サファイアは横から覗くように記事を見る。
「『戦場の悪魔、好物はリンゴジュース』」
「さ、サファイア!!」
レアは楽しそうに微笑む。
「大成功ですわね~♪」
ロロナも、座りながら小さく頷く。
「…ユリア、かわいいところある」
「ロロナまでぇぇぇ!!」
しかし、この日を境に。
街でユリアを見ただけですぐ泣く子供は。
ほんの少しだけ、減ったという。
【プチ後日談】
クレアは宴会の勝負に全勝した後、それでも物足りず自室でバカ騒ぎを起こした。
翌日、彼女を待っていたのは、サファイアから課された山ほどの反省文だったという。
ク「うがぁ~~~!終わんねえええええ!」
サ「調子に乗りすぎだ」




