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誤召喚された双子は、異世界を丸ごとアップデートする ~鍛冶師と知識魔女の最強貿易ライフ~  作者: 此花サギリ


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第二話 授かった力――双子、それぞれのステータス

 白い世界に静寂が戻る。

 先ほどまで慌てふためいていた発光体――自称神は、どこか疲れ切ったように光を明滅させていた。

『……それじゃあ、約束した願いは叶えたから』

「本当に全部?」

 琴子がじろりと睨む。

『うん……』

「後から『やっぱり無し』とか言わない?」

『言わない』

「制限付きとか?」

『ない』

「契約は成立?」

『成立……』

 発光体はしょんぼりと明滅する。交渉に勝った琴子はようやく満足そうに頷いた。

「ならいい」

 その様子を見ていた奏は苦笑する。

(完全に金融会社の交渉だったな。)

 相手が神だろうと、琴子にとっては契約相手でしかないらしい。すると発光体が小さく震えた。

『そうだ』

『まずは自分たちの能力を確認しておいた方がいい』

「能力?」

『ステータス』

 その単語に奏は少しだけ眉を上げた。

「ゲームみたいだな」

『ゲーム世界だからね』

 発光体は得意げに輝く。

『念じれば表示されるよ』

『"ステータス"って』

「随分安直だな」

「ゲームそのものだね」

 奏と琴子は顔を見合わせ、小さく頷いた。

「「ステータス」」

 その瞬間、二人の目の前へ半透明の青い光が現れた。まるでSF映画のホログラム。

 宙へ浮かぶ文字は見慣れないはずなのに、不思議と意味が理解できる。

 奏は目を丸くした。

「……本当に出た。」

「ゲームだ」

 琴子も興味深そうに画面を眺める。そこには細かな数値が並んでいた。


---


### ステータス


名前:カナデ(有平 (かなで)


種族:人族/異世界人


レベル:1


職業:鍛冶師


年齢:18歳(25歳)


体力:13/13


魔力:100/100


筋力:35


防御:11


知能:108


速度:24


運:600


**装備**

・作業服

・スニーカー


**スキル**

・縁切り∞

・鍛冶3

・料理7


**ギフト**

・異世界貿易共有

・複製能力共有

・アイリス(世界の欠片)


**称号**

なし


**加護**

・須佐之男命

・櫛稲田姫命


ボーナスポイント:0


---


「…………」

 奏は数秒、画面を眺めたまま固まった。

「何これ」

『ステータス』

「それは見れば分かる。」

「いや、そうじゃなくて」

 運の欄を指差す。

「六百?」

『高いね』

「高いどころじゃないだろ」

 ゲーム好きではない奏でも、普通ではないことくらい理解できた。

 知能も百を超えている。筋力も鍛冶師とは思えないほど高い。

「あと、年齢十八歳になってる」

『異世界では十八歳』

『肉体も若返ってる』

「……マジか」

 奏は自分の腕を見た。確かに肌が以前より張っている。研究所で徹夜続きだった疲労感もない。身体は軽く、まるで大学生の頃へ戻ったようだった。

「若返るなら言っとけよ」

『サプライズ』

「いらねぇ」

 そのやり取りを横目で見ながら、琴子も自分の画面を開いていた。


---


### ステータス


名前:コトコ(有平 琴子(ことこ)


種族:人族/異世界人


レベル:1


職業:テイマー


年齢:18歳(25歳)


体力:7/7


魔力:123/123


筋力:18


防御:6


知能:123


速度:9


運:459


**装備**

・スーツ

・パンプス


**スキル**

・縁結び∞

・調合6


**ギフト**

・全言語能力最適化

・アイテムボックス

・経験値倍化


**称号**

なし


**加護**

・須佐之男命

・櫛稲田姫命


ボーナスポイント:0


---


「……ふーん」

 琴子は思ったより落ち着いていた。

「どうだ?」

「予想通り」

「予想?」

「私、完全に後衛だね」

 体力七・防御六・速度九。数字だけ見れば、とても前線に立てる能力ではない。

「でも」

 琴子は知能と魔力を見つめる。

「魔力も知能も高い。」

「調合もある。」

「テイマーだから仲間を増やせる。」

 そしてギフトの欄を見た瞬間だった。

「……アイテムボックス?」

『収納能力』

「無限?」

『容量は実質無限』

「……便利」

 琴子の目が少しだけ輝く。続いて目を止めたのは、もう一つのギフト。

「経験値倍化。」

『君とパーティを組んだ相手、テイムした魔物にも効果が及ぶ』

「全員?」

『全員』

「……壊れてる」

 奏も横から覗き込む。

「姉ちゃん、それヤバくない?」

「かなり。」

「普通、こんなの終盤で手に入る能力だよな」

『まあ』

 発光体が気まずそうに光る。

『願いを叶えた結果だから』

「交渉って大事だな」

「本当にね」

 二人は自然と笑い合った。その時、奏の視界に、新たな項目が浮かび上がる。

> **ギフト『アイリス』を起動しますか?**

「……ん?」

 琴子の画面にも同じ表示が現れていた。

「アイリス。」

 二人が同時にその名前を口にすると、青白い光が二人の前へ集まり始める。

 小さな粒子が渦を巻き、一つの形を成そうとしていた。

『あ』

 発光体が何かを思い出したように明滅する。

『世界の欠片から生まれた補助存在だから、かなり優秀だよ』

「かなり?」

『たぶん、私より』

「「は?」」

 双子の声が重なった。神より優秀な補助役。

 そんな冗談のような存在が、今まさに二人の前へ姿を現そうとしていた。


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