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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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82◇飛行許可証

82◇飛行許可証

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モーリスに頼んだ複座1号機改は4日かかって完成した。

俺が追加した色々なことでやはり手間取った様だ。

特に翌断面構造にするところが軽量化とのせめぎ合いで苦労したそうだ。

風防と両横の物入れもそこそこ手間はかかったらしい。

エンジンは魔石部と工作部のスタッフが量産化を進めていたので、そこから2基購入する形にした。


うーん、コックピットの見た目が何か世紀末のヒャッハーしそうな奴に近づいてるな。

装甲まではいかないが、格子状の風防がいい味を出している。

重量は約30kg増えているが、ほぼ俺専用なので後ろにデビッドが乗っても2号機以降に大人が2人乗るのと大差無い。

そのうちにエンジンも見かけを変えずに内緒でチューンナップしようと思う。

エドモンドに相談だな。


出来上がったのが学園の休日の前だったので、その日の放課後にテスト飛行をする。

デビッドを後ろに乗せ、裏山の広場に出してスロットルを全開にする。

20mほどで離陸し、ほぼ2号機と同じ飛行特性を示す。

だが、速度を上げていくに従って主翼の翌断面の効果がはっきりと分かる様になった。

体感で時速100kmを超えると明らかに空気抵抗が少ない。

コックピットの風防もそれなりに効いているが、何より翼断面形状になった主翼の仰角が少ない。

そのおかげで、魔石ジェットエンジンに対するスロットル開度が2割くらい少なくても同じ速度が出る様だ。

そうなればもっと開ければ時速150kmを超えそうだが、ハンググライダー形式のままでは不安が先に立つ。

まぁ固定翼機は今後の課題なので軍部が気付いてからでも良いだろう。

初物を勝手に作ると束縛されるしな。


1時間ほどあれこれ操縦してデビッドとも交代して飛ぶ。

デビッドは速度が出てからの操縦性がかなり異なるので最初は違和感を感じていた様だが、すぐに慣れてこっちの方がいいですねなんて言っている。

そこで、俺は明日ランバート領に帰省すると言う。

早朝に飛び立ち、昼前にはあちらに着く。

翌日は昼過ぎには飛び立ち、日暮れまでにはこちらに帰って来る。

まさにトンボ帰りだが、目的がランバート領の情報収集だからこれで問題ない。


いきなり言われたのでデビッドはかなり驚いていたが、学園に入学してもう3ヵ月経ったこと、東の国境付近の情勢が怪しいこと、ランバート領での俺が始めた魔道銃プロジェクトの進捗を確認したいと言うと納得した。

距離は王都学園から国境の駐屯書までが約300km、ランバート領までが約500kmなので魔石の残量にさえ気を付ければ途中で1回休憩がてら補充するだけで飛べると思う。

食料などは俺がスキルで出せるので念のためごく少量持って行けば良いし、俺用馬車に積んである89式も俺とデビッドの2丁分だけ積めばいいとする。

何なら俺のスキルで出せるしな。


「学園には帰省することは言わないでも良いのでしょうか?」


「学園の2日間の休日にどこに行こうが言う必要はないでしょ。実家が王都に近い人は馬車で帰ってるんだし。」


「なるほど、それもそうですね。でもスカンクワークスには言っておかないとならないのでは?」


「それはそうだね。格納庫から出し入れするのだから手伝って貰わないとならないし。それと情報局には今日の帰りがけに王都まで行って申請するよ。さすがに自分で言った手前、長距離飛ぶのに申請しとかないと示しがつかないしね。」


暫くして試験飛行を終え、見守っていたモーリスに手を振って着陸する。

3人で1号機改を格納庫に押していき、扉を閉める。


「モーリスさん、デビッドと明日の早朝に飛び立ちたいんだけど格納庫を開けて貰えないかな。ランバート領まで2日で往復してあちらの情勢を確認したいんだ。」


「それはいいけど、他の連中にはどう言うんだ?あまり知られたくはないんだろ。」


「そうだね。情報局には飛行申請するからそっち経由で学長や教頭には伝わるかもしれないけど、こちらから言う必要はないよ。あ、でもエドモンドさんだけには伝えておいて欲しいんだ。」


「分かった。明日の早朝だな。用意して待ってるぞ。」


「ありがとう。お手数おかけするけどお願いね。」


俺はモーリスに言づけて学園から出た。


俺専用馬車は叔父宅を通り越し、王都に向かう。

情報局の前に着き、門衛に俺とデビッドのスカンクワークスの身分証を見せるとそのまま通された。

ザンド用にも一応作ってあるが、馬車のお守りをして貰っている。


受付で中将への面会を求める。

俺の存在は既に知れ渡っているので実にスムーズに話が通る。

10分後には奥に通され、中将の部屋に入った。


「モーガン中将、お願いがあって来ました。明日と明後日の飛行許可証の発行をお願い出来ませんでしょうか。」


「いきなりだな、マーティン君。まぁ私も君には色々恩義があるのですぐに発行するが、もうちょっと時間的な余裕を持ってくれても良いのではないだろうか。」


「その点については非常に申し訳ありません。本日スカンクワークス所属の1号機の改造が完了したので試験飛行したところ、長距離を飛んで確認したいことが出来たので、それならばランバート領までの往復が丁度良いと思いましてお願いに上がりました。」


「なるほど。入学から3か月経ってホームシックになったということか。まぁ新入生だものな。許可しよう。次はもう少し余裕を持って申請してくれないかな。」


「わかりました。今後気を付けます。ところで、スカイコンドルの調子はいかがでしょうか。」


俺は初任務の国境往復成功の報以降にスカイコンドルの活動を聞いていないので訊ねる。

知らせが無いことは順調だと思うが、ちょっと気になるしね。


「スカイコンドルは順調に任務と訓練を繰り返しているぞ。君の指導は大したものだな。あれほどの短時間で一人の脱落者も無く実務に耐える様に鍛えれれるのだから。」


「それはなによりです。ウチのスカンクワークスとの連携も問題無いでしょうか?」


「うむ。彼らには大変助けられている。こちらの軍需工場への技術移転も滞りなく進めて貰っているな。あの3機と同じ仕様の機体を10機製造予定だが、それ以外にも3人乗りの設計もして貰えたのでその次の製造予定に試作機を2機入れている。それらが完成したら国境にも5機ほど配備し、常時偵察飛行をさせようと思っているのだ。」


「なるほど。順調に行っている様で発案者としては嬉しいですね。量産については私は口を出さない様にしますので、スカンクワークスのスタッフをよろしくお願いします。」


「うむ。それは言われるまでもない。彼らが居ないとそもそも物が作れないのだ。大事にしているよ。」


うん。

無事飛行許可証を貰えた。

今度からはもうちょっと余裕を持って申請だな。

即日発行は嬉しいが、相手の都合もあるもんな。


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