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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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81◇複座1号機改

81◇複座1号機改

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さて、あれから情報局の中将から連絡の手紙が来たが、国境情勢は今の所変化なしとのことだった。

スカイコンドルの面々もトラブルも無く順調に任務をこなしているとのことだ。

彼らは国軍飛行隊の第1期生として、後進の指導に当たる立場になる。

それぞれかなり適性はあったし、途中で訓練生5番がパニくったこともあったが慣れれば普通に乗れていたのでやはり経験がものを言うのだろう。

何より全員に飛んでやろうという強い意志があった。

今後の国軍飛行隊の始祖として頑張って欲しい。


彼らはスカンクワークスのメンバーとも頻繁に連絡を取り合い、軍部管轄の工場での量産に向けて準備中らしい。

モーリスが3人乗りを設計し、機体も大型化しているとか。

まぁハンググライダーなんで無暗に大きくするとコントロールバーを扱うのに凄い力が要るようになるから程度問題なんだが。

あ、ショーンがゴーレムの自立動作について研究しているから、ひょっとしたらパワーアシスト的なことを考えているかも。


俺は授業が終わってからスカンクワークスの部室に行き、最近常駐しているモーリスに話しかける。

工作部を放りっぱなしにしてる様だが大丈夫かな。


「モーリスさん、複座1号機についてなんだけど、改良をして2号機と同等レベルに出来ないかな?」


「それは俺もやろうかと思っていた。費用面で軍の費用を使う訳にはいかなさそうなんで躊躇していたが。」


「いや、あれは僕のプライベート機として使うから改造費は僕のポケットから出すよ。とりあえずこんだけ預けておくから足りなくなったら遠慮なく言ってね。」


そう言うと俺はストレージから革袋を取り出し、1万シエク金貨を50枚ほど渡した。

一枚十万円なんで500万円相当だな。


「こんなの預かれないぜ。それにそこまで費用はかからんし。」


「そのお金はエドモンドさんと共同で使ってよ。今後の発展の為に色々アイデアはあるでしょ?とりあえず大きなことをする場合は僕に前もって言って欲しいけど、そのお金で出来る程度なら事後報告で十分だし。」


そうなんだよな、俺自身がもっともっと金のかかることをやり始めかねないし。

今のところ2人乗りのままで、目立たない様に高性能化したいんだよな。

例えばもっと口径の大きなエンジンを積むだとか、風防を付けて乗席部の空気抵抗を減らしたいだとか、主翼部分を前世の進化した翌断面構造にしたいとか。

固定翼機化はまだだ。

それをやると一気に高性能化するんだが、軍部に知られるとこっちの時間が削られる。

今はまだホビープレーン然とした今の構造で進めたい。

諸外国にまだ知られていないのでしばらくは圧倒的な優位性があるし。


俺とモーリスは部室のテーブルに1号機と2号機以降の図面を並べ、差異を書き出していく。

・魔石ジェットエンジン

・前後連動コントロールバー

・前後切替エンジンコントローラー

・前後重量バランサー

・車輪にブレーキ追加

・機体補強構造


「それと、軍部には内緒でちょっと改良したいんだよね。こういう風にやって貰えないかな。」


俺は以前から思っていた改良点を書いていく。

・操縦席の風防追加

・主翼の湾曲リブ追加と下面翼布追加による翌補強

・操縦席の左右に物入れを追加

・主翼前縁にミスリルの導線を張って操縦席に引き込み、魔石コントローラーとは別にリングを付ける。

・主翼表面に防水処理


「なんだいこりゃ。甲虫の甲部分を使って軽量で頑丈な風除けを作りたいだって?透明な羽を使ってそれ越しに前を見るって、いったい何を作ろうってんだ。」


「いえね、材質は何でもいいんですよ。軽くて強ければ。今はまだ速度がそれほどでもないですから操縦者の体が剥き出しでもいいですが、今後更なる高速化をする時に体にかかる風圧がそろそろ厳しいんですよ。それと高速になると高空を飛ぶ鳥と衝突する可能性も増えますんで、操縦者に当たるとえらいことになるでしょうし。」


「なるほどなぁ。確かに冬場は風が強いと厳しいだろうし、高い所を飛ぶイーグルやコンドルなんかと衝突すると気絶しかねないな。」


いえいえ、気絶どころか首の骨が折れますよ。

機体の登場席の前部には主翼から吊るす金属パイプが降りているのでまずそれに当たるだろうけど、ちょっとでも斜めから飛んで来れば後席に直撃する可能席は大きいんだよなぁ。

装甲までは要らないが、対大型鳥類のバードストライク対策は是非やっておきたい。


「こういう風に金属の細いパイプを並べて格子状にして、それに小さい面積の大型甲虫の甲や羽を敷きつめるってのはどうかな。これなら少し前が見にくくなるけど、強度と透明性の両立が出来ると思うんだよね。胸から下はより頑丈な甲虫の甲部分を使い、胸から上は前を見ないといけないので透明な羽を敷きつめる。これなら相当大きな鳥がぶつかっても何とかなるかと。」


シールド部分は金属の細いパイプを縦に10cm間隔くらいに並べて上から見たら曲面になる様に配置し、それに横方向にUの字の金属の細いパイプを桁の様に並べて組み合わせる。

その表面にヘルメットのシールドにも使っている甲虫の透明な羽を枠毎のパッチ状に貼り付ければ十分だと思うんだよ。

大型鳥が当たっても砕けず曲がって耐えるし、多少透明な部分が壊れても修理も簡単だ。

なんか世紀末の装甲車みたいな見た目になるけどこれは是非付けたい。


「あと、これは何だい?主翼は今のままではダメなのか?」


「いえ、ダメってことはないんですが、目立たないちょっとした改良ですね。こうすることによって、今は風で波打っている翼面が安定して不意の横風に強くなるんですよ。それと合わせて下からの風に対する補強として下面を平らな旗布で追加で覆いたいんですね。」


翌断面構造のことは誤魔化す。

いずればれるだろうけど、俺が無意識にやった改造という風に見せかけて暫くは様子見するつもりだ。

翼の上面をリブで膨らませるのは曲面構造にすると強度が出ることにし、翼の下面を平らな旗布で覆うのは下向きからの突風を遮って上面の布を保護すると思わせる。


図面に書いて説明し、三角翼の骨組みの内側に傘の小骨の様に張力で湾曲した細いリブを並べ、それに旗布をピンと張って被せることで山なりになる様にすると言う。

その下にも旗布を水平に張ることにより、2枚の旗布で翼断面が出来る。

これにより単なる一枚布の翼よりも格段に空気抵抗が減って揚力が増す。

擬似的な固定翼機になるのだ。

重量増加とのトレードオフになるが、翼面が安定してしるから最高速度も増すはずだ。

この説明は今は誰にもしない。

見た目はそう変わらないから最高速度だけ抑えて飛べば誤魔化せると思うし。


「うーむ、一見理屈は通っている様に思えるが、何か他に目的があるんだろう?」


鋭い。

さすがに工作部のヘッドをしているだけのことはあるな。


「今はそれ以上考えないでください。まだ確証がある訳ではないですし、下手に広がると事故も増えそうですので。」


「わかった。あんたがここのボスだ。言うことには従うよ。」


「すみませんねぇ。時が来たらちゃんと説明しますから。」


「この左右の物入れは要るのか?乗るときに邪魔になると思うが。」


「それも風防と同じような材質で軽くて硬い構造にして欲しいんですよ。透明にする必要は無いので、細い金属パイプで枠を作って甲虫の甲部分だけ貼って箱状に出来ると思うんです。あ、前部と後部はシュっと絞って空気が流れる様にして欲しいんですが。」


俺は操縦席の両横に30cm角くらいの断面を持った長さ2mの物入れの図を描く。

前後はゆるく尖らせて操縦席に沿わせ、空気抵抗を減らす様な形状にする。

前世のF-15戦闘機のコンフォーマル・タンクの様なものだな。


「まぁ物を運ぶ場合に大きく膨らむと邪魔になるし操縦も難しくなるか。これに入れれば重量だけ気にすれば良くなるな。」


「そうなんですよ。今後ランバート領との行き来にも使いますんで、ある程度の物量は運びたいんですよね。」


「うむ。了解だ。上に開く蓋を付けて作ってみよう。あとこれも秘密かい?どういう意味か分からないんだが。」


「主翼の桁の前の部分に沿ってミスリルの導線を貼るのは実験ですね。ここにどう魔力を流したら飛行性能が上がるのかを確かめたいのでとりあえず貼ってもらう感じですかね。導線は操縦席まで引っ張って腕に巻くリングを付けておいて欲しいんですよ。」


「了解だ。これ以上は聞いたらヤバいかもしれんな。誰にも言わずに俺が作業するよ。防水はまかせておけ。丁度良い薬品があるんで塗っておこう。」


「ありがとうございます。では、なるべく早くお願い出来ますか。ちょっと国境もどうなるか分からないので、僕自身も出来ることはやりたいので。」


「まかせておけ。3日もあれば出来るな。」


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