80◇学園生活
80◇学園生活
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久しぶりに授業に出るとかなり進んでいた。
まぁ内容は小学生レベルなので友人達のノートを見せて貰えればすぐに分かるんだが。
魔法の授業では暫く顔を見せなかった俺に対して担当のセリナの当たりがきつい。
セリナの扱う魔法は俺から見てもハンスを超えていそうだし、見た目も洗練されている。
格好はいかにもな女魔法使いでちょっと笑ってしまうが。
「マーティン・ランバート、あなたはまだ教えていないことを勝手にやらない様に。」
確かに、まだ授業内容ではそこまで行っていないが、これって入学前にちゃんと学んでおけば出来ることだぞ。
今更授業でやるなんて。
と思っていたらそうでもないらしい。
どうやら俺の入学前の環境が異常だった様で、魔道銃開発を初めとしてアース系魔法による防護壁や魔力探知など、就学前の児童がやるとは思えないことを散々しでかしてたしなぁ。
魔力によるパワーアシストもある程度使えるし、ストレージ系も多少は使える。
こんな可愛くない新入生も居ないだろうしな。
まぁ既に俺には学長公認の学園内企業に相当するスカンクワークスの代表という肩書きがある。
これは教師陣にも周知されている様で、それに対するやっかみもある様だ。
しかも軍部相手に既に実績も出しているとあれば余計に絡みたくなって来るのだろう。
剣技の授業の方は免除されているとはいえ、周に5回の授業のうち1回は補助教員として授業に参加する必要がある。
5時間目の剣技の授業に行くと、担当のカークが俺に木剣を渡してきた。
見本の手合わせをしろだと。
カークはその前の交代させられたサイモンに比べても更に体格が良く、軽く振った木剣の剣筋も鋭い。
こりゃー本気で行かないと、いくら防具とそれに連動する打撃吸収魔法陣があっても怪我をするかもしれない。
俺はアシスト系魔法のパワーアシスト、スピードアシスト、センスアシストを全て全開で行くことにした。
最初は1.5倍で軽く打ち合って様子を見、ここぞというところで瞬間的に2倍にしてカークに打ち込む。
俺の2倍にはクールタイムが20秒くらいあるのでちょっと使いにくいが、相手にバレなければ警戒されて立て続けに打ち込まれて負けるということもない。
なので1.5倍で目一杯打ち込んで相手に連続攻撃をされない様にすれば勝ち目はある。
なーんて言ってると、カークの剣技とパワーで圧倒され、あっという間に負けてしまった。
うん、化け物だな。
明らかに護衛隊長のマークよりも強い。
「ランバート、お前は体格の割には強いが、アシスト系をかなり使っているだろう。今からそれに頼りっぱなしだと本当の剣技は身に付かないぞ。まぁ既に剣技訓練免除はされているのでそれ以上は言わぬが。」
「はい、それは承知しています。まだまだ体格も小さいですし、経験も足りません。剣技訓練免除は免罪符ではないので、週一回とはいえ、皆と同じように鍛えてもらえませんでしょうか。」
「そうだな。それならアシスト系は無しにして素の技量と体力で同級生と打ち合ってみろ。それで今後の方針を決める。」
俺はカークの言うとおりに同級生と同じ木剣に持ち替え、まずはジャンと打ち合ってみる。
ジャンは俺より体格が良く、打ち下ろしてくる様な攻め方が得意の様だ。
その代わり速度はそれほどでもない。
「でぇりゃー!」
「ほいっ、ほいっ。」
「うりゃぁーっ!」
「ふんっ!えいっ!」
ジャンの打ち込みを難なく躱し、そこに出来た大きな隙に軽く打ち込む。
軽くと言っても魔法鎧による保護があるのである程度打ち込まないと打点にならない。
防具無しで打つと骨折まではしないが、青あざになる程度だな。
パシパシと小気味よく俺の木刀はジャンの鎧の急所に当たる。
それを5回同じ様にこなすとジャンは息が上がった様で、はぁはぁ言いながらまいったと言った。
木剣はそこそこ重量があるので、竹刀の様に軽々とは振れない。
振り回すだけで体力を消耗するな。
「次、ジャック・フーバー。今のでランバートの攻撃は見ただろう。隙を突いて行け。」
ジャックは俺と同じくらいの背丈だが、気弱な割には剣技は好きな様で就学前にも護衛相手にかなり鍛錬していたとのことだ。
明らかにジャンよりも剣筋が鋭い。
俺も躱すだけでは魔法鎧に当てられそうになるので木剣で剣筋を逸らす様に弾く。
だが、俺も護衛隊長のマークにはかなり厳しく鍛えられている。
そう簡単に負けるわけにはいかない。
護衛のザンドも見ているしな。
俺の学園生活でのお供は、護衛は班長のザンドと魔法組のデビッドの2人だ。
叔父宅から毎日通学する時には2人で交互に御者を務めてくれる。
俺の専用馬車には仕掛けが色々してあるので盗まれるとヤバい。
なので学園に着いたらどちらか1人が馬車の側の待機所で馬車のお守りをすることにしていた。
ザンドは魔法があまり得意ではないので、スカンクワークスの活動時や魔法訓練の時は出番が無く、専用馬車のお守りをずっとしていて貰っていた。
だが、今回の様な普通の授業と剣技授業の時はデビッドと代わって俺の護衛に着く。
いつも待機所で待ちぼうけは可哀想だしな。
「ほらジャック、もうちょっと強く打ってもいいぞ。」
「そんな、ことは、わかって、いるさ。でも、どうして、あたらないん、だ!」
「そりゃー俺の方が強いからだろ?」
「きみの、そんな、ところが、きらいだよ。だが、あいてに、するには、ちょうど、いいいかな。」
ジャックはかなり息が上がりながらも繰り返し俺に向かって来る。
しばらく打ち込んでいたら疲れてきた様で、攻撃が少し単調になって来たな。
そろそろ打ち返してやるか。
「そうれ、これでどうだ!」
俺がジャックの自尊心を損なわない程度に打ち込みをぎりぎりで躱しながら横胴を打って一本を取る。
ジャックは魔法鎧越しに打ち込まれたのにかなり痛いのが信じられないと言った顔をしてうずくまった。
「わるい、ちょっと強く打ち過ぎたか?」
ジャックは顔をしかめながらすぐに立ち上がり、木剣を再び構えた。
「いや、ちょっと驚いだだけだ。脇腹がかゆくて顔をしかめてしまった。」
おう、強がっちゃってますねー。
まぁ12歳だもんね。
幼馴染のジャネットとスカーレットも見ているし、ちょっと気張りたいお年頃なんだろうな。
その点俺は体は13歳とはいえ、精神的には35歳の部分がまだまだ大きい。
どうしても会話のの端々に相手が年下だという言い方が出ちゃうんだろうな。
それをジャックは日ごろから感じているのかもしれない。
ジャンは大雑把なんで全く気にしていない様だが。
それから2試合分ジャックと打ち合い、カークからは中々剣筋が良いからそのまま鍛えろと言われた。
俺に対してはもっと真面目にやれと駄目出しをしてきやがった。
なんでや。
続けてジャネットとスカーレットも俺が相手をしたが、まぁ、2人とも頑張ったね。
ジャネットは悔しそうにしていたが、スカーレットはキラキラした目で俺を見ていた。
なんだ、惚れたのか?
と思ったら、スカンクワークスのことについて根掘り葉掘り聞いて来る。
根っからの商売人なんだな。




