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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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337◇中型機

337◇中型機

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魔道通信、いや念話だな。

とりあえず俺の魔力なら使えると団長に太鼓判を押してもらったので後日の楽しみという事にする。

今は情報部の海軍関係の取り纏めが先だろうな。


「マーティン、君のお父上とランバート領でのシラハマ海軍廠の設営には十分な打ち合わせは出来ている。なので後は事務方の作業だけなので君の手を煩わせる事は無い。まぁ疑問点や不明点が出たらその都度聞くからよろしくな。」


なるほど。

親父殿とその側近と十分に話せたのだな。

そこに本来子供である俺が入らないのは当たり前か。

すっかりその気になっていたが、直接関与しなくても良いのは歓迎だ。


「はい、承知しました。私も軍部工場で船舶用の推進器や40ミル砲用の安定機などを作る指示をしないとならないのでそれは助かります。ではランバート領への定期便はお願いしますね。」


「了解だ。海軍用の装備を追加の3座機より優先してやってくれたまえ。明日は休みとし、その次の日からスカイコンドルと訓練生を1日置きにランバート領に飛ばそう。後席に積むアレは私の方で差配しておくから心配無用だ。」


「いよいよ定期便の運用開始ですね。私も父に用があったら航空便として使わせてもらうかもしれません。その時は前もって言えば良いですか?」


「いやいや、マーティンの要望なら無条件で通すぞ。受け付けなかったら自分で飛んでいくだろう?」


バレてーら。

まぁ飛行申請は必要なのでその時点で分かるのではあるが。

親父殿への手紙の送受と、ランバート領からの魔道銃の納入にも使えるな。

さすがに40ミル砲は重量が嵩むので3座機では無理だが。

早いとこ中型機を作る必要があるな。

あれなら構想では8人乗り、または1トンくらいのペイロードを見込んでいるので大砲でも運べるな。

ぶっちゃけ、魔石の燃費を気にせずとも良いのなら今すぐにでもVTOL機として作れるのだ。

前世の大阪万博でデモ飛行した乗用大型ドローンの様な構成にすれば簡単に出来上がる。

垂直に魔道ジェットエンジンを10基くらい配置し、全体を統合制御すればいとも簡単に1トンくらいは持ち上がる。

バランスは小型ジャイロを3基積んで魔道アームと組み合わせればある程度の自立安定性は出せるだろう。

だけどこの構成で速度を出そうと思ったら燃費が最悪だ。

おそらく100km毎くらいに10基の魔道ジェトエンジンに魔石の魔力補給をしないと飛べないだろう。

これでは道楽としてならいいいが、実用には程遠い。

まぁ兵器としてなら中将が欲しがるかもしれないが。


そこで具体的な中型機の構想を現在思案中だ。

ビジネスジェットの様な構造にすればスマートだが、この世界の製造技術と材質ではいきなりは無理だ。

主翼が小さいと速度は出るが滑走路の距離が要るし、何より高速機の知見が無いので危険である。

そこで前世の翼面積の大きい複葉の中型機を参考にする。

アントノフ An-2

これはソ連時代の1950年代から運用を始めたWW2以降の新世代複葉機だ。

約17000機製造された東側のベストセラー機でもある。

胴体は全金属製であり、密閉型キャビンを備えるので汎用に使える。

主翼や尾翼は金属製の主骨格と前縁部などに部分的な金属板の補強はあるが、基本的に木製+羽布張りだ。

この構造で軽量化と作り易さ、コスト低減を実現している。

乗員12名、または2トンまでのペイロードを運べる。

離着陸距離も積載量によるが、200mくらいで足りるので滑走路の設営が楽になる。

機体は全長約12mm、上翼全幅約18mなので比較的小型だ。

ホンダジェットと全長はほぼ同じ、全幅は6mほど長い。

これを参考にして魔道ジェットエンジンで飛べる機体を設計してみよう。


まず横幅は長い上翼を下翼と同じ14m幅まで詰める。

軍部工場の間口に入るぎりぎりの寸法だ。

将来的にはもっと大きな建屋を建てるにしても、今現在で出来る制限で作れれば面倒が無い。

機体は基本骨格を全金属製にし、防水加工もするので露天駐機が可能になる。

これで運用がかなり楽になるな。

具体的には材質はミスリル鋼の薄肉パイプを骨格とし、極薄ミスリル鋼板で胴体は総金属製。

主翼は前縁から3分の1をミスリル鋼の薄板としてバードストライク耐性を持たせる。

この世界は大型の空飛ぶ魔獣も居るので、小回りの利かない機体はある程度の強度が必要だ。

それより後ろは主骨格以外は動翼も含めて木材と羽布張りで作る。

オリジナルのAn-2と同じだ。

本当は全金属製にしたいが、さすがに軽量なアルミ合金なぞ無いから仕方が無い。

全部ミスリル鋼板で作るとたぶん重すぎて離陸出来ないだろうからな。

コスト削減の意味もある。

防水塗料はあるので、雨でも飛べるのはいいな。


「マーティン、マーティン!どうした固まって?」


中将に肩を揺すられてハっと顔を上げる。

やべ、また考え込んでいた。

あれほど思索の海に溺れまいと心に誓ったのにすぐにこれだ。


「すみません。ちょっと中型機について考えていたので。今の間に何とかなりそうな案が浮かんだので、近い内に試作機を作ろうと思います。その件で、軍部工場の建屋を増築出来ないでしょうか?今の大きさではギリギリなので、今後の大型機を見据えた場合に大きな工場が要ると思うんですよ。」


大型機の製造まで考慮すると今の格納庫では全然足りない。

最低でもダグラスDC-3の全幅と同じ30mの間口と奥行きは欲しい。

まぁ中型機として考えているAn-2相当なら今の格納庫でギリ作れるのでそれほど急ぐ訳ではないが。


「ではその増築する建屋の寸法を書いた図面を貰えないか。すぐにという訳にはいかないが、何年も待たせる事はしない。それでいいかな?」


「はい、それで十分です。今考えている中型機なら何とか今の格納庫に収まる様にしてみます。」


最悪、斜めにすれば格納庫の大扉の間口は通過出来るだろうから、専用の台車を作ってやれば何とかなるな。

さすがにAn-2の設計図までは覚えていないので、外形を元に大ざっぱな仕様を設計する事になる。

まぁかなり適当な仕様でも飛べるくらいの余裕はあるし、何と言っても魔道ジェットエンジンをいくらでも積めるのは大きい。

機体重量とペイロードが重くても、軽くて強力な魔道ジェットエンジンパワーで無理矢理飛ばす事が可能だからだ。

離着陸時に下向きに装着したエンジンを噴かせば機体重量が見かけ上減った事になるからな。

前世で米軍がC130輸送機に付けた「ロケット補助推進離陸装置」の様なものだが、こちらの方が遙に汎用性がある。


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