335◇定期航空便
335◇定期航空便
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次の日は快晴であった。
絶好の飛行日和だ。
朝食後、朝から屋敷中で準備の為にメイド達が走り回る。
「マーティン、君の定期便の案だが、とりあえず3座機の中から1機ずつ順番に訓練飛行という体にして、王都からこの領都の練兵場まで1日おきに飛ばそうと思うんだがどうかな?」
「それは例えば奇数日に王都からここに飛んで夜はこちらに一泊し、偶数日である次の日にここから王都まで飛ぶという事で良いでしょうか?」
「そうだな。スカイコンドルと共に飛行訓練兵を1人同乗させ、後席には荷物を試験的に積んで往復する。これで長距離飛行の訓練と共に航空郵便の試験も出来よう。」
「その荷物は人間一人分の体重である80サブタンまでは積めますので、試験用の荷物を20サブタンくらいに抑えておけば残りの60サブタンで冷凍庫が積めますね。」
「それは奇遇だな。軍には将校用の小型冷凍庫があるのだ。普段は魔法陣を冷蔵の物に替えて、将校の集まりなどにワインを冷やしているが、冷凍魔法陣に替えればどんな食材でもカチカチに凍り付く。大きさもちょうどあの席に置けるくらいだな。それも試験的に積んでみるか。」
「そうですね。空荷で積んでおくのももったいないですし、王都からは名店のスイーツや日持ちのする料理類を、ここからは新鮮な取れたての海鮮類をそれぞれ冷凍して積めば無駄が無いですね。」
「うむ。スカイコンドルと飛行訓練兵にも少し分けてやれば文句もあるまい。夕食はこちらの護衛と共に摂らせてもらえば領主殿にも迷惑はかからないしな。」
「そうですね。早速父上と護衛隊長のマークに話しておきます。」
中将とわるだくみをし、速攻で親父殿に言いに行く。
説明すると呆れた様な表情と共に親父殿にも実利があるので即座に許可をくれた。
海軍関連の連絡も密にする必要があるので1日置きの定期便は非常に有用なのだ。
その足でマークの所に行き、話をつける。
1日おきに王都から飛行訓練で2人飛んで来るので、その日の夕食と次の日の朝食を護衛と同じテーブルで摂らせてもらうという内容だ。
その内容を執事のセバスチャンにも通しておく。
王都から運ばれてくる食材や料理は一旦セバスチャンかメイド長のマリアが受け取り、親父殿の確認後に分配する。
領主家族が優先だが、その後に執事やメイド、護衛まではある程度格差を付けて分配する。
王都から運んで来た2人にも護衛と同レベルで与える事にしよう。
いくら命令とは言え、運ぶ物を知っているのに手が出せないのは辛いだろうからな。
「早速悪ガキどもが悪巧みをしとるな。どれ、ここから王都に運ぶ海鮮には儂も入れてくれるんじゃろうな?」
「もちろんですよ。団長を入れずして我々の平穏は保たれませんしな。」
中将も予め言われるのは予測していた様で、王都海鮮メンバーはこれで3人になった。
1日おきに運ばれてくる40kgくらいの冷凍海鮮がふんだんに食べられる。
しかしこれくらいの量があったら小さな料理屋くらいなら開けるな。
「ところで、せっかく運んだ海鮮はどこで料理するんですか?あまりおおっぴらには出来ないでしょう?」
「その点は心配要らぬ。儂の所の王宮魔法団の調理部でやらせる。海鮮料理は王宮で王族からさんざん試されたので魔法団の調理部も詳しくなったのでな。毎日は出さぬが、冷凍なので貯めておいて1週間に1度くらいは魔法団と情報局の幹部で海鮮会食を持っても良いと思うぞ。」
「それ、いいですね。今まで我々情報局は魔法団に関してどうしても情報が足りていませんでした。そもそも会話が無いですからな。それが魔法団の調理で呼んでいただけるのならありがたいですな。」
「いや、そもそも運ぶのは情報局の配下じゃろう?儂等の方がお相伴に与る様なもんじゃな。お互い様じゃのう。」
うん、お互いになごやかに話しているが、ちょっと腹の探り合いも入っている。
俺は素知らぬ顔をして外を眺めていると急に2人に話しかけられる。
「マーティン、なに他人の様にしておるのじゃ。お主が主役みたいなもんじゃろ。3座機はお主あってのものじゃし、この領は領主殿とお主の2人で成り立っておる様なもんじゃろ。」
「そうだな。無関心は良くないぞ。我々は年の差を超えてもはや一蓮托生、同じ釜の飯を食う間柄だ。遠慮は無用だぞ。」
うわー、大人2人にそうは言われても俺っちまだ13歳の学園生徒っすよ。
自ずとそこには序列というか、順位というか、越えられない、越えてはならない壁というものがあるでしょう。
まぁ2人がそう言うなら出来るだけ俺もそれに馴染んで行く事にしましょう。
「分かりました。まぁ私も同級生を相手にするよりもお二人と話す方が楽ですし。何よりお互いに利害が一致しているのが一番ですね。」
うん。
大人同士の話は利害の一致がまず最初に来るのだ。
これだけ立場の差があれば友情など芽生える余地は無い。
ならばお互いの立場を理解し、お互いの為に働いて相互に利益がある事が一番である。
どちらかだけが儲かったり楽をすると関係にひびが入る。
持ちつ持たれつ、お互いの事を思いやって相手を立てて自分を少し下に置く。
謙譲の精神が大事だ。
そこまでを2人に話すと大いに呆れられた。
「マーティン、本当のお主は何歳じゃ?」
「そうだぞ、私よりも年上の様な気がするが、どうなんだ?」
やばい、普通の20歳代半ばではこういう話はあまりしないのだろう。
前世で俺が35歳だった事は中将とほぼ同年代になるので言いたくない。
25歳くらいと以前に言った覚えはあるのでそれを元に聞いて来ているのだろう。
「いやだなぁ。25歳だったと言ったじゃないですか。あ、信用してない。だったら28歳という事にしといてくださいよう。」
それを聞いて2人ともため息をつきながらも了解してくれた。
やれやれ。




