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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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331/338

331◇ガンロッカー

331◇ガンロッカー

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「まぁその話は王都に帰ってからじっくり語り明かそうぞ。なに、儂の所に泊まっていってくれても構わんし。侍女を控えさせておけば色々世話を焼いてくれるから夜明けまで語り明かしても問題無いぞい。」


13歳に無茶を言う。

まぁ技術の方向性は違うが、俺も前世では職務も趣味もメカトロニクス系にはそれなりに浸っていたから分からんでもない。

お互いに未知の分野の情報を出し合って融合させればそれは面白い物が出来るだろう。

そして団長には魔法団を仕切っているという絶大なる優位性がある。

俺にもスカンクワークスという学園のバックアップと、「国軍情報局技術支援外部協力員」という2つのリソースがある。

中将は技術的な話になると入って来ないので俺が仲立ちする感じだな。

軍部工場は情報局の管轄下なので魔法団がこれを有機的に利用出来る様になると強い。

これは俺にしか出来ない仕事になるな。

王都に帰ったらなるべく早く魔法団軍部共同研究所を作ってもらおう。


「さて、先ほど言っておったガンロッカーも見せてもらおうかのう。」


見せたらまずい89式は確かに全部護衛武器庫に移していたので問題無いと思う。

まぁここで拒否るのは何か隠していると思われるだけなので諦めて懐から鍵を出し、ガンロッカーの錠前を開ける。

この鍵はまだ旧式のままだ。

部屋の鍵で十分守られているのでそれで十分だし、王都からこの分まで持って帰っていなかったからだ。


「中身はあまり入っていませんよ。必要な装備は護衛の方に移してありますし、ここには私が実験的に召喚して余った物しか入れてませんので。」


業務用冷蔵庫の様な見た目のガンロッカーの扉を開け、まず中にざっと目を通す。

中の奥の方の隅に布地が掛けられて壁に立てかけられた物が見えた。

ヤバい、あれは銃床を折りたたんだ89式だ。

全部護衛の方に移したと思っていたが残っていたのか。

一瞬迷ったが、その手前に置かれているバレットM95のケースの取っ手を持って素早く開ける。

俺自身の予備として召喚しておいたM95だ。

出しただけでスコープも何も付いていない。


「これが召喚したてのM95ですね。このままでは発射の際に鼓膜が破れるほどの発射音がしますので、耳栓をするか魔道ウィンドエバキュレーターを付けて減音するしかないですね。あ、もちろん魔法が使えれば自前でウィンドエバキュレーターを発動してもいいですが。」


「ちょっと持たせてもらってもいいかな?昨日は説明が済んだらさっさと君のストレージに仕舞っていたのでどういう物かよく分からなかったのだ。」


ストロング魔法で腕力と背筋力を強化し、ケースからM95を持ち上げる。

「重いですよ」と声をかけながら中将に手渡すと、思いっきり取り落としそうになったので素早く取り上げる。


「重量は11サブタンくらいありますので気をつけてください。」


改めてゆっくり手渡すと、今度は何とか両手で支えて持っていた。

ちょっと二の腕が震えているな。

中将が口の中で何か呟くと二の腕の震えが止まり、片手で持てるようになった。

さすがにストロング系の魔法は軍人ならある程度は習得しているらしい。


「確かに重いな。まぁあれだけの威力があるのだ。それを支える為に必要な重量という訳か。」


「どれ、儂にも持たせてみよ。なぁに心配は要らぬ。マーティンよりよっぽどストロング系は使い慣れとるでな。」


中将はもう少し触っていたかったみたいだが、団長に言われて諦めて手渡す。

なるほど小柄な団長が小さな手でM95を軽々と扱っている。

まるでマンガみたいだな。


「団長さんはストロング系をどれくらい使えるのですか?」


俺は興味本位で聞いてみる。


「腕力と背筋力なら通常で3倍、短時間なら5倍程度は出せるかのう。」


だが、その元になる団長の筋力はどう見ても女子中学生くらいにしか見えない。

素の握力は20kgちょいくらいだろう。

それを3倍すれば60kg、5倍で100kgか。

なんだ、ちゃんと怪力になるんだな。

同様に腕力も背筋力も増強されるなら俺よりも強いって事になるな。

俺は通常で2倍弱、瞬間的に3倍弱が限界だもんな。


「凄いですね。私は通常で1.5倍、短時間で2倍くらいが限度ですよ。」


「私もそれくらいだな。軍の訓練でかなり鍛えたが、それくらいが限界だった。団長のその倍率はちょとおかしいな。」


中将が団長をディスっている。

俺も人のことを言えたぎりではないが、団長の倍率は魅力的だな。

俺はまだまだ成長途中なので鍛えれば向上するだろう。

王都に帰ったらトレーニングのコツを聞いてみよう。


「まぁ魔法団に所属すればこれくらいは普通じゃ。まず素質は要るが、それにも増して日々のトレーニングじゃな。じゃが筋力だけを増強しても力仕事くらいにしか役には立たんぞ。増強状態での各種格闘技や剣技のとレーニンをしっかりやらんと本当に強くなったとは言えんのう。」


それはそうだな。

前世のボディビルダーはそれは素晴らしい筋肉を付けて力も強いのだろうが、格闘技の技が要る状況ではひょろいが戦い慣れた中学生にも負けるだろう。

柔道なんかは相手の力を利用する部分が大きいから中学生選手が柔道未経験の大男を投げるのはよく見る光景だ。

しかし一定の投げられないコツを知っていて、ある程度対策の練習をしていれば絶対的に体重の足らない中学生は手も足も出なくなる。

しかも逆に相手の腕を掴めれば自分との体重差を利用して振り回して地面に叩きつけ、反対の拳で殴ることに専念すれば勝つことも可能だ。

これは卑怯ではない。

試合ではないのだから、柔道の技を習得していない不利を対応策として知っている知識と腕力で覆す事で対処するのだ。

更に組まれる前に目つぶしや喉攻撃をすれば効果的だ。

リーチ差を利用してまず相手の顔面を狙う。

この世界では勝つためには手段は問わないのだ。


以前俺が魔の森で大男くらいの大きさのレッサーベアーと取っ組み合いをした時は、ストロング系魔法での筋力増強、速度向上と、グラビティ魔法での自分の体重の倍化、拳を含む体表のハード化でいわば武装した状態だったのだ。

だから相手の爪攻撃も効かず、押し合いでも相手の体重を半分に低減させるグラビティ魔法で足場を崩して圧倒した。

何より反応速度が筋力と共に平均2倍、瞬間的には最大3倍になっているのだ。

学園で格闘技の得意な上級生に絡まれた時もそうだが、速度差がこれだけあれば他が多少足りなくても優位に立ち回れる。

最悪、相手の目を潰せば何とでもなるしな。


「マーティンは鍛えている様じゃが、入学前には鍛錬していたのかや?」


「そうですね。護衛の人達に相手をしてもらって、剣技や格闘技でストロング系魔法を鍛えれるだけ鍛えました。体力面ではまだ成長の途中ですからどうしようもありませんが、自己特訓で習得した多めの魔力を注ぎ込んである程度は戦える様にはなってましたね。」


剣技や格闘技術もある程度は必要だが、本当に有効なのは速度だ。

速度差さえ十分にあればいかなる武術の達人とて相手にならなくなる。

まぁその速度を出す為に筋力増強は必須だが、俺の場合それはストロング系魔法アシストで十分だな。


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