329◇戦闘機と戦艦
329◇戦闘機と戦艦
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「うむ、中々に良い部屋じゃな。趣味も良い。少々見慣れぬ模様の紙が壁に貼ってあるがあれは何じゃ?」
前世の戦闘機の鉛筆画を何枚か壁に貼っていたのを見て団長が聞いて来る。
自衛隊のF-2、F-15J、F-35Aだな。
前世の記憶が薄れない内にと思って、思いつく限りに自衛隊装備を鉛筆画で描いていたのだ。
その中でも出来の良かった3機の絵を壁に貼っていた。
「あれは前世の戦闘機ですね。いずれも音よりも速く飛び、2千キロム以上の航続距離があります。1機で戦艦を沈める事の出来る武器を搭載していました。こういう機体を前世の私の国の軍隊は合計300機以上持っていて、他国からの侵略に備えていましたね。」
自衛隊は軍隊だよ。
そう思っていないのは日本政府だけだ。
しかも軍事力として見た場合はイギリス、フランスに次いで世界第8位くらいの順位に居るし。
WW2の戦勝国であるアメリカGHQの思想歪曲の元に作られた戦後憲法が諸悪の根源である。
そのアメリカ自身も極東の軍事拠点として日本国内に大量の米軍基地を置いているくらいだし、何をか言わんやだ。
日本国憲法第9条は条項丸ごと削除すべきである。
何より近隣の台湾や韓国は国軍を持ち、徴兵制を実施しているのだ。
いずれも中国や北朝鮮とすぐ隣なので当然と言えば当然だろう。
あの日本と同じ敗戦国であるドイツですら2011年までは徴兵制を実施していたくらいだ。
真のセルフディフェンスは自国の意思で自由に動ける軍隊によってのみ実現出来るのである。
「それは凄いのか、それ以上が居るからそうでもないのか判断に困るのう。じゃが、今の我が国に比べるとどえらい装備じゃのう。今回乗ってきた3人乗りの飛行機械はお主の世界ではどれくいらいの時代に相当するのじゃ?」
「そうですね。それそのものずばりは実用機としては使われていませんでしたが、技術的な世代とすれば前世の私の居た時代の100年くらい前になりますね。」
前世でカイトプレーンを軍用機として運用したかどうかは俺の記憶には無い。
まぁ複葉機の少し手前のテクノロジーとしておけばだいたい合っているだろうから、WW1時代の約100年前相当くらいだろう。
カイトプレーンはロガロカイトが祖なので本当は約50年前なんだが、それでは軍用として見た場合の技術的な世代に矛盾が生じるからあえて複葉機の前としておく。
その代わり、この世界には魔道ジェットエンジンなんてチートアイテムがあるので実はこちらの方が性能は高い。
何せ合計推力だけで見れば垂直離陸出来るのだ。
空中静止状態で姿勢安定させる技術が無いから今はまだやらないが。
「ふぅむ、そうなるとお主が今進めようとしている中型機と大型機はその歴史を辿って行く様なもんかいのう?」
「そうですね。一足飛びにやるとしんどいので段階を踏んでやって行こうと思います。それでも技術の過程を知っていますので、試行錯誤を殆どせずに進める事は出来ると思います。あ、こちらには前世に無かった魔道具がありますので、前世で進めるよりも楽に出来ますね。その点は魔道具を作ってくれたスタッフに感謝しています。」
魔道ジェットエンジンは俺の発想ではあるが、エドモンドの魔石に関する深い知識が無かったら完成していないだろう。
それを組み込んで機体として構成してくれたモーリスのメカニカル的な面でのサポートも大きいな。
車の両輪の様に2人ががっちり手を組んで仕上げたのが一連の魔道航空機だ。
何せ俺がざっくりとしたアイデアを紙に書いて説明しただけで実際に稼働する物が出来上がるのだ。
これほど楽なものはない。
「なるほどのう。では海軍はどうなのじゃ?今回シラハマで見たノルドロイド共和国の海軍戦艦の様な船はあるのかや?
「そうですね。こちらがいわゆる軍艦に相当する船ですね。」
俺は机の図面引き出しからイージス艦と空母の鉛筆画を取り出す。
「まや」と「いずも」だな。
「こちらの上部が尖った方が戦艦で、精密射撃が出来る大砲と、自分で行き先を判断して飛んで行く打ち上げ花火みたいな武器を多数積んでいますね。レーダーという魔法探知の様な機能で、海上、空中問わず敵を目視外から探知出来ますし。」
イージス艦の説明はかなり面倒なのでだいぶ省略した。
大砲が1門だけというのは信じられないみたいだが、ミサイルの方が威力も射程距離も大きいと言うと納得していた。
その代わりミサイルは1発辺りの単価が非常に高いので、それを使うまでもない時にこそ大砲を使うのだと言うと妙な顔をしていたな。
「大砲は口径が127ミルキロムあります。射程距離は20キロム以上はありますね。発射速度も3秒に1発程度は撃てますので、これ1門で格下の軍艦を相手にするには十分なんですよ。ただ、大多数のこの手の軍艦が大砲を1門しか積まないのは故障時や死角を考えた場合に数が少ないと私も思ってました。まぁ同型式の軍艦が複数群れをなして軍事行動するのでそこまで心配する事は無いのかもしれませんが。」
イージス艦以前のこのクラスの軍艦は確かに大砲を2門積んでいたが、ミサイル戦が主体となると大砲は現代の航空戦力に対しては全くの無力だ。
それでも1門残しておくのはローコストの汎用武器として、もしくは海軍の矜持としてなのか。
まぁミサイルを撃ち尽くしたら大砲だけでも無いと無防備になるもんな。
これも無いとなると格下の敵艦どころか場合によってはRPGを装備した海賊にすら負ける事になるだろうし。
「こちらの上が平らな船は何じゃ?魔道機械でも降りるのかや?」
「そうです。航空母艦という艦種で、平らな部分で飛行機械を離着陸させます。全長が250サブキロムくらいありますので、今回乗ってきた3座機くらいならいくらでも置けますね。」
「それは凄いのう。飛行機械を多数積んで行けば相手国の間近で飛ばして攻撃出来るという事じゃのう。敵戦艦相手でも海戦に入る前に相手の射程外で一方的に攻撃出来るという事じゃな。」
まぁこの世界でも拿捕や半沈没させた海賊船のマストを取っ払い、そこに平らな板を貼って飛行甲板とすれば空母は簡単に出来る。
全長が40m程度はあったので、3座機でも4発機なら楽に離着陸出来るだろう。
3人乗っても30mもあれば4発全開にすれば浮くもんな。
さすがに中型機まで大型化すると滑走距離は100mくらいは要るだろうから無理だが。
カタパルト?
まぁ作れない事はないよ。
WW2時代の戦艦船尾に積まれていた水上偵察機のカタパルトが参考になる。
あれは台座に火薬とシリンダーを仕込み、その急速燃焼圧力を利用して押し出すのだ。
火薬の代わりに魔道コンプレッサーを直並列で繋いで瞬間的に高圧大容量を掛けてもいいかもしれない。
魔法団の魔道砲に近い動作原理だな。




