323◇トレーニング
323◇トレーニング
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昨日の夕食ではエリミネーシャ団長がメイド達に大人気だったな。
見た目は可愛いのでその立場を知らせた後でも取っ替え引っ替え面倒を見られていた。
上げ膳据え膳に着替えから入浴まで、みっちり構って貰えたみたいで団長も大満足かな?
「マーティンよ、お主んとこのメイドは何とかならんか。儂の立場が分かってからも儂は引っ切りなしに構われたぞ。儂の年はは70じゃと何回言うても本気にしてくれずに構われっぱなしとはどういう教育をしとるんじゃ?」
俺と気安く話しているのをかなりのメイドが見ていたので、いくら団長が主張しても俺と似たような年齢の扱いをしていたみたいだな。
そもそも見た目が女子中学生エルフ美少女だもんな。
しまいには妹のシンディーまで加わって髪結いなどしていた。
さすがに母親は立場は分かっているので傍観していたが。
それでも止める気ゼロで微笑んで見ていたし。
「まぁ女性同士、親善と思って身を委ねてくださいよ。多少疲れるだけで悪い事は無いんでしょう?」
「う、まぁそうじゃのう。儂の自尊心をちーと絞るだけで皆が幸せになるならそれも良かろう。」
うん、納得してくれたみたいで重畳重畳。
さて、今日は朝から団長も中将もやる気満々で朝食後に俺の両横に来てガシッと両肩を掴む。
はいはい、分かってますよ。
親父殿を見ると、昨晩この2人に魔拳銃を渡すことは報告してあるので軽く頷いただけでそっぽを向いた。
関わりたくないみたいだな。
「では早速まいりましょうか。撃つと多少汚れますので、簡素な動きやすい服装にしてもらえませんか?あ、もうしてますか。」
2人ともよく見ると昨日の略礼服みたいな軍服からだいぶ簡素な訓練着みたいな服に着替えていた。
色が同じだからすぐには気が付かなかったが。
「はい、では護衛本部の射撃場に行きますよ。」
まず護衛本部の建屋に入り、マークにこの2人に魔拳銃を進呈してこれから訓練すると言う。
マークは同室に控えていたザンドとデビッドに合図をして一緒に射撃場に行く。
射撃場はまだ訓練前の時間帯だったので誰も居ない。
ザンドとデビッドは手分けしてまず5mくらいの距離に直径1mの的を3個並べて置く。
団長、中将、それと俺の分だな。
ザンドとデビッドの9mm拳銃には魔道サプレッサーが付けられているのでそれを2人に渡してもらう。
今から新規に召喚しても魔道サプはすぐには付けられないからだ。
俺のは自分のを使うから既に付いているが。
「まずお二人には安全に扱う為の基本的な事を徹底的に覚えていただきます。魔拳銃は威力はそこそこですが、それでも至近距離で誤発射したら当たり所によっては数人は殺せる威力があります。従って、周囲に危害を及ぼさない為の取り扱い方がありますので、私が扱うのを見てそのとおりに扱い、私の注意には絶対に従ってください。」
「ううむ、確かに威力のある武器は取り扱いに細心の注意は要るのう。儂のところの魔道砲も安全に扱う手順はきっちり決めてあるのでその考え方は納得じゃ。」
「確かに。たとえナイフ1丁だとしても取り扱いには細心の注意が必要ですな。それの何倍もの攻撃力があるとすれば、注意すべき点もそれに見合った数があるという事か。」
さすが国のそれぞれの組織のトップまで上り詰めた2人だな。
そこら辺の意識は十分なので安心出来る。
「まず部位の名称から覚えていただきます。ここが・・・
この内容は何回もやったので省略するが、さすが2人とも覚えは速いな。
一度言っただけで確実のその通りにしてくれる。
疑問に思った事はそうする理由やその原理まで聞いて来るので実に教え甲斐がある。
以前に護衛達にトレーニングした時に作った図解を見せながら30分ばかし説明するとほぼ完璧に操作出来る様になった。
この時は以前少し集めていた9mm弾の空薬莢を使って装填からスライド操作、グリップの握り方、狙いの付け方、トリガーの落とし方までやったので、後はもう実弾で撃つだけになった。
「では実弾を使って撃っていきます。その前に重要な注意点ですが、そのままの状態の魔拳銃で耳栓無しで撃つと発射音の衝撃で難聴になって将来的に音が聞こえなくなる場合があります。ですから撃つ前には必ず魔拳銃のトリガーの下にある魔道ウィンドエバキュレーターに繋がっているミスリル銅線に指を触れ、魔力を流してからトリガーを引いて撃ってください。」
ザンドとデビッドの9mm拳銃の魔道ウィンドエバキュレーターには既に魔石は入っていたので、ミスリル銅線に魔力を少し流して銃口から1mくらい真空の玉が出来る事を確認する。
銃口から低いヴンという不穏な音を立てて目には見えないが真空の玉が発生する。
真空の玉は魔力で保持されているので周りの空気がなだれ込んで来る事はない。
その代わり、銃身の先にきちんと1m程度の空間を空けておく必要がある。
それを2人に説明すると団長はすぐに理解して真空玉を出したり消したりして遊んでいた。
それに比べて中将は少し手間取っている。
観察してみると少し魔力の扱いが分かっていない様だ。
それを見た団長が手取り足取り教えていた。
女子中学生に銃の上から手を添えられて右往左往している35くらいのオッサンの図はちょっと笑ってしまったが。
そして中将も特訓の末に慣れて来た様で、だいたい思い通りに真空玉が出せる様になった。
「これは耳栓無しでも難聴にならない様にする為の工夫です。参考までに魔法使いなら自前の魔力操作で銃口前にウィンドエバキュレーターを発動出来ますので、団長さんはお好きな方を使ってください。」
俺が自分の9mm拳銃の前に自前の魔力で1mより少し大きい真空玉を作ってみせる。
透明なんだが、魔力で覆っている空気との境界は少し光が屈折するので真空玉があるのは分かる。
シャボン玉ほどはっきりとは見えないが、銃口を揺らすと境界も揺れて向こうの景色が僅かに歪むので輪郭が分かるのだ。




