321◇魔道具化
321◇魔道具化
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「それは私にとっても好都合ですね。M95を物理的な構成だけで作ると私一人の労力には限りがありますが、魔道具にすれば魔法団の持つ様々な魔法技術で置き換えられるので開発速度が格段に上がりそうです。」
「そうなると40ミル砲も魔道具化すれば改良の余地があるという事じゃな?今は装填も安定化も全て物理でやっておる様じゃからかなり苦労しとる様に見えるのう。」
そうなんだよ。
40ミル砲はまず後装化してライフリングを銃身に刻み、初速を倍の600m/sくらいに上げて有効射程を1kmくらいにしたい。
スタビライザーも魔道具で代用出来る技術があるはずだ。
前世の半導体ジャイロセンサと電動サーボアクチュエータの組み合わせの様な物は是非とも魔道具で作りたい。
まずは地球ゴマくらいの小型ジャイロと魔道ゴーレムアームを連携させて試してみよう。
次は水晶振動子の棒のねじれ具合を魔力センサで拾って増幅させれば見た目可動部無しのジャイロセンサになりそうだ。
これが実用になると自衛隊の10式戦車の砲塔の様に走りながらでも砲撃出来る様になるし。
「それ、いいですね。機構はこのM95をそのまま大きくした構造で作れば使える様になると思うんですよ。最初は20ミル口径くらいで試作し、だんだん口径を大きくしていけば無理なく作れると思います。問題は魔道砲の発射原理なんですが、私はまだ大雑把な事しか聞いていないのですが?」
「おお、それはそうじゃったのう。お主の作った魔道コンプレッサーと原理は似ておるという程度しか言っておらんかったのう。これはもうここまで来たらお主には魔道砲の中核部分まで全て公開するから、本来の魔道砲も含めて開発の協力をして貰えば助かるのう。あ、もちろん魔法団の部外秘じゃから純粋な魔道砲に関しては他言無用にしてほしいが。」
「団長、情報局としてもマーティンに開発室を提供する上で秘密を共有して欲しいのだが、いかがなものでしょう?量産する時に軍部工場の能力を使いますので、どのみちある程度は知る必要はあると思いますが。」
「うむ。それは儂も思っておった。魔法団からは秘密保持の監査役を2人付けるので、そやつ等に開示出来る限度は確認させよう。それで良いかや?」
「はい、マーティンの作る物がもっと機密性の高い物になるかもしれませんが、そうなるとお互い様ですな。そうしたら情報局からも2人ほど秘密保持に関する監査役を付けましょう。」
えらい事になったな。
まぁこの世に無い新兵器を開発するのだから当然かもしれない。
外国や海賊などの敵対勢力に漏れると対策されたり真似されたりするしな。
「では、私が魔法団と情報局の2人ずつの監査役と話し合って使える情報と公開出来る情報を摺り合わせればいいですね?」
「うむ。そうしてくれ。とりあえず解決出来ぬ問題が出れば儂の所に持ってくれば良いぞ。」
「マーティンの制約はなるべく外したいのだが、こればっかりは他部署との連携もあるから問題が出たら要相談だな。」
団長と中将の言葉でとりあえず方向性は確定した。
これでM95の性能再現や40ミル砲の根本的改良も含めてやる事は見えて来た。
「ところでマーティンよ、夏休みに入ってこの領都に帰る時に隣領で盗賊に遭った様じゃの?その時の報告書では10人の盗賊に対してお主と護衛2人の3人で対処し、一人も殺す事なく全員の足に何か撃ち込んで無力化し、領兵に引き渡したとある。そんな上手い話に儂等がそのまま納得すると思うておるのかや?」
やべ、忘れてた。
一応6連発リボルバーは開発しているが、ガーソンにはまだ1丁しか作ってもらってないし、10mくらいの距離で確実に足に当てられる程の精度も無い。
89式は歩兵のメインウェポンになるので何が何でも秘匿したいが、9mm拳銃なら威力からして主力兵器にはなり得ない。
あくまでも護身用のサブウェポンだ。
うーん、仕方ない。
これも公開しよう。
「これも出来れば秘密にしておきたかったんですが、我が領の護衛達はこの様な武器を使っています。」
ストレージから俺用の9mm拳銃とホルスター、9mm弾を取り出し、ローテーブルの上に置く。
マガジンを抜き、スライドを引いて装填されていない事を確認する。
9mm弾の紙箱から5発取り出し、マガジンに詰める。
9mm拳銃に装着し、スライドを引く。
トリガーは引かずにそのまま5回連続でスライドを引いて5発とも排莢する。
スライドがスライドストップに引っかかって止まった9mm拳銃をテーブルの上に置き、床に落ちた5発の9mm弾を拾ってローテーするの上に置く。
「これを使いました。これも私のスキルで出せる護身用の銃器で、魔拳銃と言っています。M95と似たような構造になっていますが、これは自動で次の弾の装填を行いますので、続けざまに9発までなら発射出来ます。」
さすがに見たことのない武器はおっかないのか、誰も9mm拳銃に触ろうとはしなかった。
中将がこめかみを揉みながら聞いて来る。
「マーティン、これをランバート領の護衛全てに装備させているのか?」
「そうなります。かなり早い段階からスキルで護衛の人数分出して訓練させて護衛部隊全員がある程度使える様になっています。ただ、あくまでも護身用の小型武器なので、10サブキロム程度までの距離の人間程度が制圧出来る限界ですね。」
盗賊退治がせいぜいだと強調する。
決して軍隊が攻撃武器として使える様な性能は無いよと。
9mm弾よりも16mm口径の魔道銃の方がよっぽど威力があるしな。
「うむ。もはやそれについては魔法団からは何も言うまい。その小ささで自動連発まで出来るというのならさぞ精巧な作りをしておるのじゃろう。じゃが威力が限定的ならまず先に先ほどのM95の再現と40ミル砲の改善をやって貰った方が良いじゃろの。」
「情報局もそれで問題ありません。非力な人が使えば有効な護身用武器としておきます。一般兵士ならショートソードの方がよっぽど威力がありそうだ。それよりも手の平でもてあそんだり誤った使い方をして味方を撃つ方が怖い。それなら一般兵士には持たせない方が良いでしょうな。」
うん、分かってくれてなによりだ。
軍なら盗賊程度は従来兵器でどのみち瞬殺だろうしな。




