319◇召喚スキル
319◇召喚スキル
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これはもう誤魔化し切れないかもしれないな。
上座の方の席を見て諦めた素振りをすると、親父殿がゆっくりと頷いた。
「いつ頃から私を疑っておられましたか?」
「ランバート領から上位魔獣の討伐報告が来た時点でおかしいとは感じていたな。その前の討伐の時とはあまりにも違いすぎる。魔道銃を使ったとあるが、あの銃にはそこまでの威力はあるまい。」
「儂の方もその報告書を見せてもらったが、中将と同じ疑問はすぐに思うたのう。討伐作戦中に自軍に被害ゼロで上位魔獣の完全討伐じゃぞ。そんな事が出来るのは伝説の中の勇者くらいのもんじゃ。」
こりゃー俺のバレットM95の魔道銃や40ミル砲での置き換え隠蔽工作は無駄だったという事になるな。
見込みが甘かったのもあるが、何より12.7mm弾の威力と速射性が高すぎた。
上位魔獣の時なんか4人での最初の一斉射撃でほぼ瞬殺だもんな。
そもそも動き回る上位魔獣に魔道銃の鈍重な弾が複数当たるわけないし。
「あのー、その話は父上も含めて4人だけで話せませんか?ちょっと危険過ぎて知る人は少ない方が良いかと。」
「そこまでか!あい分かった。それではその話が出来る場所に4人で移動しようではないか。」
「父上、ここでの打ち合わせは一旦終わりにして皆さんに軽食でも出して貰ってはどうでしょう。私達4人は遊戯室にでも移動してそちらで話をしませんか?」
「うむ。マーティンの言うとおりにしよう。セバスチャン、メイドに指示後、私の後に従って共に移動せよ。」
「はい、承知いたしました。ではお先に遊戯室に移動なさってください。こちらの采配後にすぐに私も行きます。」
そうか、親父殿の右腕として動いているセバスチャンもこの事は知っているんだった。
なら書記としても同席してもらった方がいいな。
「ではお二人と父上、遊戯室に行きましょうか。後の皆さんはすぐに軽食を出しますので暫し寛いでいてください。」
俺は残った情報局の局員達にここで休憩していてくれと言い、中将、団長、親父殿と共に談話室に移動する。
ふと思い立って俺が先に遊戯室に行き、領の秘密に関する物の確認をする。
うっかり自衛隊魔法で出せる物を残していないかどうかのチェックだ。
幸い見られてまずい物は何も置いて無かったのですぐに引き返し、親父殿が先導している所に合流する。
目線で頷き、安心させる。
あそこまで疑われていたらもう誤魔化しようがないのでバレットM95は見せるが、89式や9mm拳銃までは見せる気は無い。
ボルトアクションのM95なら見せても何とか模倣出来そうに思ってくれるだろうが、オートマチック銃器はダメだ。
あまりにも技術が隔絶し過ぎていて期待が大きく膨らみ、何を要求されるか分からない。
アサルトライフルのフルオート射撃なんて火縄銃もどきの普及し始めたこの世界には毒でしかない。
何より歩兵に配備させる装備なので俺に大量に要求される可能性があるしな。
M95なら用途からしてそこまでの数は求められないだろう。
「ではこちらの遊戯室でお話をさせていただきます。」
3人掛けのソファがローテーブルを挟んで向かい合っている。
中将と団長が片方に座り、もう片方に俺と親父殿が座る。
後から来たセバスチャンはその後ろの簡易椅子に座った。
「今からお見せする物はこの部屋に居る人以外には内密にお願いします。まずそれを約束していただけませんか?」
「私と団長はそれぞれ軍情報局と魔法団という組織を預かる人間だ。当然、業務としてこの地位に居るので知り得た情報は組織の為に使うのが本筋だ。だが君に関してはその範疇には既に入っていない。何より今までの実績がそれを表している。今から君が話してくれる事は組織として勝手に利用しない事は誓おう。」
「儂も同意見じゃ。お主からもたらされる数々の情報や装備はもはやこの国に無くてはならない物ばかりじゃ。そんなお主にこちらから無理は言わない事は儂も誓おう。」
ふぅ、2人とも立場があるから難しいんだろうが、俺に無理強いはしないと言ってくれた。
ならば俺もそれに答えねばなるまい。
「では今からストレージ魔法で出しますので少しお待ちください。」
まずストレージ魔法のガレージから射撃に使っているテーブルと椅子を出す。
続けて俺専用のバレットM95魔道サプレッサー付きをケースごと床の上に出す。
ケースの錠を外して蓋を開け、M95サプ付きを取り出してテーブルの上に2脚を広げて置く。
M95専用マガジンと12.7x99mm実包10発入りの紙箱も出す。
「これが上位魔獣と海賊船5隻を倒した銃になります。使う弾はこれになります。これは先端の細い部分が狙った所に飛んで行きます。こちらの太い部分に発射薬が詰まっています。」
「意外と細いのだな。魔道銃の弾よりも細いのではないか?」
「そうですね。魔道銃の弾の直径は16ミルキロムになりますが、こちらはこの飛んで行く部分は12.7ミルキロムになります。」
「そんなので本当に魔道銃以上の威力が出るのか?比較出来る数値の様なものはないかいのう?」
あれ、ちょっと期待外れの雰囲気だな。
まぁ実際魔道銃の16mm口径に比べてM95の12.7mm弾頭は細いしな。
仕方ないので、以前計算して出して覚えていた比較出来る数値をメモ用紙に書き出す。
予め断って、単位は前世の物で記す。
あくまでも比較なのでそれで分かってもらおう。
銃種 魔導銃 M95
口径 16mm 12.7mm
初速 300m/s 900m/s
弾頭重量 24g 45g
銃口エネルギー 約1000J 約18000J
「この様な仕様になります。あ、こちらの銃の名前はM95と言いますので、今後そう表現します。魔道銃よりM95の方が口径は小さいですが、弾頭が長いので重量は2倍近くあります。そして弾の速さである初速は約3倍あります。この銃口エネルギーというのは前世の銃の威力を推し量る単位で、初速と弾頭重量で計算される破壊力になります。概算で、弾頭重量が同じなら初速2倍で約4倍、初速3倍で約10倍のエネルギー量になります。」
銃口エネルギーは弾頭重量には正比例増加するが、初速には2乗に比例して増大するのだ。
銃口エネルギー(J)=(弾頭重量×初速の2乗)÷2000
上記の計算式を団長に示し、物理法則の根拠を示す。
「なるほどのう。見た目は頼りなく思えるが、その銃口エネルギーで見ると18倍もの威力があるのか。しかも弾頭の速さが3倍になるのでより遠くまで届くのじゃな。」
「そうですね。弾頭の構造も鉛の芯を銅の厚めの皮で覆ってあるので、鉛玉より頑丈で貫通力があります。あと、M95の銃身内部にはライフリングという螺旋状の浅い溝が多数彫られており、弾頭はこれに食い込んで発射と共に高速回転してコマの様に飛ぶ方向を安定させます。」
「そうか。弾頭が球状ではないのでコマの様に回さないと向きが安定しないのじゃな。しかしその回すのには相当きつく嵌まっていないとならないであろう?それに発射の力は食われないのかや?」
「いえ、発射薬の燃焼圧力が逃げない様に食い込んで密閉するので、緩くて圧力が漏れるよりも初速は上がります。先込め式はどうしても完全密閉出来ないので、それと比べるべくもないかと。」
中将はあまり理解していないのか、団長に横から説明されて唸っていた。
親父殿は全く理解の範疇外なのか、ちょっと横を向いていたな。




