316◇中型機
316◇中型機
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「ううむ、それを言われると先走り過ぎる感はあるか。そうだな。まず3座機を最低でも30機は揃えてからという事にしようか。」
それを聞いてほっとする。
そして、いくらなんでも3座機からいきなり20人乗りの「大型機」へジャンプするのはしんどい。
途中に8人乗りくらいのビジネスジェットクラスを挟みたいものだ。
「3座機の数がまだ揃っていないのもありますが、3座機からいきなり20人乗りの大型機に行くのはちょっと不安が大きいんですよ。なのでその中間として8人乗りくらいの密閉キャビンの中型機を作りたいと思います。」
これなら20人乗りをそのままスケールダウンするだけで作れるしな。
基本構造を同じとしておけばスケーラブルに設計出来るので、試験飛行での問題点もフィードバックし易いし。
前世のボーイング737と777の違いを見れば良く分かる。
737は全長30m、約120人乗りで近距離用。
777は全長70m、約500人乗りで遠距離用となる。
ほぼ同じ機体シルエットながらこれだけ違う物を作れるのだ。
「ほう、それはいいな。8人乗れて箱形馬車の様にドアが閉められたら快適そうだな。それほど大きくはならなそうなら貴族の個人用としての用途もあるだろうな。」
そう、前世のホンダジェットくらいの感じだな。
アレは全長13mで7人乗りくらいの仕様だったからダグラスDC-3の全長20mよりだいぶ小さい。
これなら貴族の大型箱馬車の代わりに使えるから軍用以外での量産効果が見込めるのだ。
前世の大富豪のプライベートジェットと同じだな。
軍用は今のところ3座機を大量に配備する事で事足りるだろう。
何より製作と整備が簡単で、戦場でもごく短距離で離着陸出来る事が大きい。
そして数機損失しても大量に配備してあれば戦局に影響しないしな。
下手に前線に大型機や中型機を投入すると落とされた時のダメージが大きい。
まぁ国内の大量戦力移送という明確な利点はあるので大型機も使えるに超した事は無いが。
「では8人乗りの構想段階から協力していただける様に、軍部工場の空いた所に協力拠点を作っていただくという事でお願いします。続きは王都に帰ってからという事でよろしいでしょうか?」
「うむ。儂はそれで問題無い。」
「私もそれで良い。では王都に帰り次第、情報局の方で用地確保を進めるとしよう。」
ふぅ、やっとこの話が終わった。
さて、今回の主目的である海軍に話を戻そう。
「今日は色々あり過ぎて混乱してしまいましたが、今回の元海賊船の試乗はいかがでしたか?」
「今日は素の元海賊船の運用を見させてもらったが、既に飛行機械や小型船の推進器を知っているので今更という気しかせんのう。すぐにでも推進器を付けて欲しいが、出来るかや?」
「今は小型船に積んでいる分の2基と、船工房主さんにもう2隻小型船を作る費用代わりに推進器を2基渡しているのでもう持って来た分は全部使ったんですよ。追加を作るには一旦王都に帰って軍部工場で作って貰わないとならないですね。」
「では急ぎの追加費用は全て情報局が持つから、大至急元海賊船を動かせるだけの推進器を作ってくれないか?」
小型船で2基の推進器で30ノット前後は出る。
しかし元海賊船に付けるには2基では到底足らないだろう。
最低でも4基、出来れば6基付けたいところだな。
そうすれば20ノット程度は出るだろう。
逆にそれ以上は木造の船体が保たないだろうから無駄だし。
「分かりました。それは元海賊船を情報局で買い上げていただけるという事ですよね?父上、この件どうなさいますか?」
「マーティンの言う事も分かるが、何せ相場が分からぬ。ならば元海賊船は売却ではなく、今後国軍配下に新設される海軍に有償貸与という形にしたいと思うが、そちらさんはいかがかな?」
「こちらも相場が分からぬ故、最初はそうしていただくと助かる。もちろん、推進器や40ミル砲などの装備を追加したらそれ相応の追加費用を計上させていただく。」
うん、親父殿と中将の合意があったのでとりあえずは元海賊船はレンタルにする。
最初の半年くらいはお試しで無償貸与としてもいいし、その間に操船に慣れて貰って海軍兵力だけで全て扱える様になってから状況に合った費用をいただくとしよう。
そうなったらあともう5隻半沈没した海賊船があるので、あれも引き上げて修復し、海軍にレンタルで出せる様にしよう。
そうすればウチの領と国軍とで両方WinWinだな。
「それでは今回のシラハマ訪問はこれくらいとして、一旦領都に戻りませんか。詳細は領主屋敷で落ち着いてからやった方が良いかと思いますが。」
俺が提案するとレストランの別室に居る全員が頷いた。
かなり疲れているんだろうな。
皆ほっとした表情になった。
しかし窓の外を見ると既に夕焼けになっていた。
3座機なら30分も飛べば領都に着くが、馬車はそうはいかない。
暗い中を走るのは危険なので提案する。
「誠に申し訳ありませんが、もう日暮れまでに時間が無いので3座機だけで先に領都に戻りたいと思います。幸い、2人分の余裕がありますので、行きの組み合わせに加えて父上と執事のセバスチャンだけ3座機に乗ってもらえませんでしょうか?」
以下の組み合わせだな。
1号機:1番、情報局モーガン中将、情報局新規部署検討グループ代表
2号機:2番、情報局技術開発課代表、情報局設備保全課代表
3号機:3番、情報局外務課代表、情報局購買課代表
4号機:4番、魔法団団長、魔法団護衛1
5号機:デビッド、魔法団護衛2、執事
試作機:マーティン、ザンド、親父殿
合計18人
残りの護衛隊長のマークを含めた護衛が5人、メイド長、技術担当のハンスと税収と購買担当のアイリス、その他に土地管理と建築管理の担当官は今晩はシラハマに泊まりで、明日の早朝領都に向けて発ってもらう事になる。
「マーティン、その案で良いぞ。さぁすぐに発とうではないか!」
あ、親父殿、ウキウキしてる。
初めての空の旅にまるで遠足前の小学生みたいだな。




