313◇航空優先
313◇航空優先
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「さて、小型船の不思議な40ミル砲の原理は分かった。推進器を付けて人力、風力以外で自在に動かせるのも分かった。じゃが、それだけではあのノルドロイド共和国の海軍力の前にはちと不安があるのう。万が一、大砲類の情報が漏れて奴等に量産されたらどう動くか分からなくなるじゃろうし。今は大人しい政府の様じゃが、首長が過激な者に代わったら侵略国家となる可能性も捨てきれんしのう。」
確かに。
前世の国家でも首長次第でいくらでも国の方向性は変わる。
WW2前後のソ連、中国、ドイツ、イタリアなどに台頭した独裁者。
あの1人が居なかったら死ななくても済んだ民衆が大量に居る。
そう思うと、外国に対して常に最大限の警戒をしておくのは間違ってはいない。
むしろ平和主義でそれを怠った国家は早晩滅んでも仕方が無いだろう。
「そうですね。そうならない為にも我が国は周辺国とは隔絶した技術力の差を常に保持する必要があります。今現在は飛行機械が一定の効果を出しているので、これを常に全国に飛ばして相互運用する航空路線網とでも呼べるものをまず作る必要があると思います。」
「だが、飛行機械は一度に運べる人数や荷物が少ないのではないか?手紙などの情報なら確かに当日に届くから伝書鳩などの連絡手段よりも速くて確実だが、武器の輸送や人員の輸送が急に必要になった場合はどうする?」
中将の心配はもっともだ。
今の3座機程度のスペックではいくら量産しても使いっ走り程度にしか利用価値は無いだろう。
「いえ、3座機の次の構想も既に考えています。ちょっと難易度が高くなりますが、数年以内には実現出来る案として次の様な物があります。」
俺は紙にラフスケッチを描きながら説明する。
・20人程度の搭乗人数、又は1タン(t)程度の貨物量
・3座機の2倍以上の速度
・密閉構造による快適な移動
・容易なメンテナンス性
まぁぶっちゃけWW2前後のダグラスDC-3レシプロ旅客機だ。
あれくらいなら俺が今知っているテクノロジーで何とか作れそうである。
もちろんモーリスやエドモンドの全面的な協力は要るが。
「お、おう。既にそこまで考えておったのか。それなら海軍にさほど興味を示さぬのも納得じゃのう。」
「マーティン、それは以前私に語っていた構想の一部だよな?具体的な案が出来たのか?」
団長も海軍にはさほど興味は無かった様で、俺の案に感心する。
中将は以前に俺と話していた事を思い出して身を乗り出す。
それを見て団長はちょっと膨れていたが。
小学生かよ!
「今はまだ構想段階なので具体的な設計までは行っていませんが、来年辺りから少しずつ進めて行きたいと思います。それには私一人の力ではどうしようもありません。今後もお二人の力をお借りしたいと思いますが、共同で私のサポートチームを組んでいただく事は出来ないでしょうか?」
そうなんだよな。
どっちかだけに肩入れするとされなかった方が拗ねるし。
なら共同でサポートさせたら横の連絡も密になって、お互いのわだかまりも減っていくと思うんだ。
それに情報局の資本力と軍部工場の生産力、魔法団の魔道具系のテクノロジーが両方とも存分に使えるのは魅力なんだよなぁ。
っと言うか、そもそも俺が関与する以前に両者は協力してしかるべき存在なんだが。
そういう苦言じみた事を2人に言うとお互いに顔を逸らしながら黙り込んだ。
うーん、小学生を引率している教師の様な気がして来たぞ。
「いえね、私も思うところがあるのですよ。部署が違うお二人でそれぞれ責任のある立場ですからお互いの組織を有利に持って行きたいと思っているのは分かります。平時ならそれでもいいですが、今は東の隣国の侵攻やら海賊やらノルドロイド共和国の海軍やらで、脅威と感じる相手が増えましたよね?そろそろ手を繋いで一緒に動いてもいいかと思うんですが、どうでしょう?」
「確かにな。儂はそれほど拘っておる訳ではないんじゃが、情報局の方がなにかと競り合って来るのじゃ。同じ国の組織じゃから無碍にする訳にもいかず適当にあしらっていたらますます意固地になってのう。どうしたもんかと思っていたところじゃ。」
「その発言、どうにかなりませんか?あなたは昔からそうだ。あなた自身に自覚が無いのかもしれませんが、常に周囲を見下しているかの様な言動がある。そりゃぁあなたの経歴は尊重しますよ。だけどそれがあるからって、周囲を一段低く見た様な発言を繰り返すと、言われた方はかなりの精神的な疲弊を感じる場合があるんですよ。」
まぁエルフだもんな。
前世のラノベでもエルフという種族は長命で尊大なものだというのが定番だったな。
おまけに美人で身体能力も思考能力も高いと来ている。
あ、団長は一部が違うが。
「む、お主らはそう感じておったのか。以前にそれは何人かに言われた事はあるが、儂が魔法団の団長になってからはそういう声は一切出て来なくなったんで皆納得しとると思っておったんじゃが。」
いやいや、それは立場上あなたに対して注進出来なくなっただけですよ。
中将も軍部の中では情報局の局長でしかないので、王宮魔法団の団長よりは立場が下だし。




