311◇協議
311◇協議
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「そ、それでは我が国と正式な国交を交わしていただくという事は出来ませんでしょうかな?私には外交権は無いので近いうちに我が国の外交官を派遣して貴国の上層部と交渉させていただきたい。」
「私にも外交権は無いので王都に持って帰って検討する事になりますな。後日、貴国からの正式な外交官を派遣していただければこちらの外交部で対応は可能と思われます。」
中将もあくまで情報部のトップというだけで、国の外交権を持っている訳ではない。
まぁこの中世相当の時代背景なのでそこまで厳密に考えなくてもいいんだろうが、勝手に動くと高度な政治的判断とやらと矛盾する事になったら後が面倒だ。
「承知しました。今回見せていただけた事をまとめて帰国して上に報告させていだだきます。そして一刻も早く我々もこの様な装備が使える様に交渉担当を派遣させていただきます。」
いやいや、さっき中将がダメって言ってただろ?
まだ量産前だし、改良箇所も沢山あるし、発火魔石の生産能力の問題もあるし。
そして国どうしの上層部が協議してもこちら側が却下したら使えないのだ。
恐らくはギブアンドテイクであちらの大型船に関する造船技術や実物の船で釣って来るかもしれないな。
こちらにはまだ海賊船を改造する程度の外洋船の造船技術しか無いので、そこは交渉次第だろう。
まぁ既に外洋に出て貿易や海軍でブイブイ言わせている国があるのだから、今からのこのこ出てそれらに対抗しようと思っても無理だろう。
海はノルドロイド共和国に任せておき、我々は国内の交通網の拡充を先に図るべきだ。
まず航空路線だな。
これが国中に張り巡らされて航空路線網と言えるくらいになったら飛躍的に国力が増大する。
地上の道路整備を飛び越して先に航空網を作るのは十分アリだろう。
なにしろ大規模な土木工事が不要だ。
各地の拠点に滑走路と管制塔を作るだけであっさりと飛び回れる。
大型機を作れば大量輸送でコストもぐんと下がるし、何より少ない国軍の兵力を補って国防の能力を増大させられる。
これは有事に各地の領兵を航空輸送で高速にかき集め、戦火のある場所に一気に集中させて敵を圧倒するという戦法が使える様になる事が大きい。
いわゆる「電撃戦」だな。
これにより敵の想定外の作戦で一気に叩き潰せる。
「では今回はこれくらいにしていただいてもよろしいかな?我々もこなさなければならない予定がありましてな。今回のこの実演でかなり時間はかかっておりますのでな。」
「あ、いやこれは失礼。そうですね。今回はこれ以上は私には言う権限がありませんので後日という事にさせていただきます。後ほど国として正式に国交の打診という形で訪問させていただきます。」
「承知した。我々も上層部にこの件を伝えてどの様にするか方針を決めてもらうとしましょうぞ。今日はご足労いただき、感謝いたします。」
こうして海軍の艦長一行は帰って行った。
おみやげとして40ミル砲の砲弾を3個ほど渡しておいたので、帰ってからあちらの上層部を説得するのに上手く使えるだろう。
だけど暫くは買うと言われても却下なんだけどな。
「やっと帰ったか。マーティンよ、ご苦労だったな。今回もお前にばかり労力をかけさせて申しわけないと思うが、こればっかりは我々ではどうしようもないしな。」
親父殿は海軍の艦長一行がカッターに乗って旗艦に向かうのを見ながら俺に話しかける。
「父上、あの大型船は欲しいですか?」
「いや、不要だ。第一、扱い切れない。人数も居ないし、何より既にノルドロイド共和国が海洋国家として覇権を握っているだろうから、そこに後から割り込むのも難しいだろうしな。」
「そうですね。私もそう思います。それに今はまだ構想段階なんですが、我が国は航空機械で覇権を取ろうと思います。大型化すれば30人くらいは乗れる機体も作れるでしょうし、速度も今の2倍は出せる様になると思います。」
だいたいWW2前後のレシプロ旅客機だな。
ダグラスDC-3やボーイング 314などが近いだろう。
特にボーイング314は飛行艇なのでこれを実現出来れば海洋国家の鼻を明かせる。
帆船からいきなり飛行艇なので隔絶した優位性を示せるな。
暫くは旗艦の出港準備を皆で眺めていた。
基本的に貿易船と動きは同じだが、やはり一回り大きな軍艦の動きは見ていて飽きない。
舳先を回頭し、灯台の方に向けてゆっくりと走り始める。
オール漕ぎと小型の帆を併用して上手いこと走らせているな。
風向きの関係で斜めになって走っているが、船尾の当て舵と左右のオールの漕ぎ具合で巧みに補正している。
こういのが長年の勘と経験で、機械ものと違って短時間で習得出来ない財産なんだろな。
逆に機械もの主体で国家の体制を作ると短時間で習熟出来てまことに効率が良い。
しかしそれを他国に知られるとメリットが激減するので秘密主義にならざるをえないが。
旗艦が灯台の下を通り過ぎるのを見て、後は護衛や領兵達にきちんと3隻とも港を離れるのを確認する様に指示する。
再びレストランの別室に戻り、ウェイターに軽食を注文する。
食べ終わった後に王都の2人から俺への尋問が始まった。




