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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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308/320

308◇タルト

308◇タルト

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「今、配下の者に準備をする様に伝えて貰いました。用意が出来るまで少し時間がかかりますので、お茶のお代わりと軽食などをお出ししましょう。」


腹は減っているが、この場で料理なんて頼めない。

ならば茶と茶菓子くらいはいいだろう。

俺はウェイターを呼んで人数分の茶と少し腹持ちのするデザートを頼んだ。

後ろに立っている護衛や室外に居るマーク達には悪いが、これも接待という仕事だ。


暫くすると紅茶と共にタルトの様なドライフルーツや練り物が乗った菓子が出て来た。

一口サイズで気軽につまめる。

それぞれの前に5個くらい積まれた皿が出された。

各々が食べ始め、艦長が感嘆の声を上げる。


「これは美味いですな。食べた事の無い味です。これは日持ちはしないのですかな?ぜひ買って帰りたいのですが。」


「後でレストランの責任者に用意させましょう。ただ、お国に帰られるまでは持たないと思いますので、時間遅延の付いたストレージに入れる必要はあると思いますが。」


たぶんガレージの事は知っていると思うが、これは魔法体系が異なると魔法の効力も違うので俺の知っているストレージ系ガレージの千分の1の時間経過とは違うかもしれない。

だが、一国の海軍旗艦とその艦長が時間遅延のストレージを扱える者を乗船させていないとは思えないので、そういう風に念を押しておく。

うっかり放置してカビでも生えたら何を言われるか分からないしな。


「それはご心配なく。私どももストレージの使える魔法使いは数人ずつ乗船させています。彼らは時間経過も調整出来る様に訓練しており、主に生鮮食料などの保存をさせていますのでそこに入れて持ち帰ります。」


なるほど。

前世の大航海時代の一番のネックは生鮮食料だったしな。

最初の数週間はいいが、それ以降は塩漬けの肉と野菜になって風味が極端に落ちる。

ビタミンなどの必須栄養素も不足するし、何より塩分の摂り過ぎで体調を崩したりする。

それがストレージ系魔法で時間経過を遅延出来るとなると根底から変わる。

一種の冷凍庫みたいなもんだしな。

むしろ冷凍庫よりも状態は良いだろう。

なにせ常温のままで時間経過が千分の1になるのだ。

生鮮食料を積んで1年経過しても実時間で9時間経過しただけと同じなので腐るはずもない。


だが、そうしたら何故物流の現場でそれが使われていないのか?

それは時間遅延付きのストレージ魔法を扱える者が希少だからだ。

そして訓練で使える様になった少数の者は高給で軍に抱え上げられるので民間に降りて来ないのだ。

まぁ給金さえ望む額を払えば軍を蹴って靡く魔法使いも居るから、大貴族などは複数人を抱えているらしいが。


それで代用として冷蔵魔道具と冷凍魔道具が発達したということらしい。

時間経過を操作するよりも温度を操作する方が遙かに魔法レベルとしては容易なので、魔道具だけでも実現出来るということだった。

ストレージ魔法も魔道具は併用するが、あれは本人の意識に関係なくストレージ魔法を継続発動させる為の一種の強制駆動装置だ。

あれ自身がストレージ魔法を発動している訳ではない。


「では後ほど忘れない様に今伝えておきます。」


俺は責任者と思われるウェイターを呼んで、今出されたデザートと同じ物を30人分ほど包んでおく様に言う。

俺が再度声を掛けた時に渡してくれる様にも頼んでおく。

レストランの在庫を根こそぎ持って行かれる様でちょっとだけ渋ったが、1000シエク銀貨を2枚掴ませると満面の笑顔になって承諾した。


その後、20分ほどたわいもない雑談をしているとマークが準備完了したと連絡して来たので、部屋に居る全員に声を掛けてデモンストレーション会場に案内すると伝える。


「では皆さん、私が先導しますので護衛の配置を確認して付いてきていただけますでしょうか。」


我が領の領主と国軍と魔法団の重鎮、そして外国の海軍艦長を案内するのだ。

万が一を考えて護衛でがっちりガードさせる。

海賊の残党がシラハマに紛れ込んで要人を襲撃する可能性は捨てきれないのだ。

一応俺自身も要人とは言えるのだが、それはそれ、各種チート能力で小さめの熊を相手に取っ組み合いが出来るのである。

いくら訓練してガタイが良かろうが、人間如きに遅れを取る事は無い。


レストランを出ると外にはシラハマ海上防衛隊の砲撃担当の護衛が3人並んでいた。

一人は小型船に積まれた1門の、他の2人は灯台の下の2門が担当だ。

他の砲撃担当の領兵はそれぞれの40ミル砲の所で準備をしているはずだな。


「では今から40ミル砲の砲撃デモンストレーションを行います。まず、灯台下の2門による砲撃をしますが、的は小型船が曳く小舟に乗った的の板とします。小型船は先に行って小舟を灯台の下辺りまで曳いて行ってください。」


小型船の砲撃担当護衛は敬礼をして「イエッサー」相当の返答をした後、船大工の工房に走って行った。

残った2人の砲撃担当護衛にはデモ内容を伝える。


「さて、灯台下の2門には今から言う事をやってもらう。小型船が小舟を曳いて灯台前に来て投錨で固定したら、その小舟の的を狙って交互にそれぞれ10発ほど砲撃して欲しい。均等な間隔で、それもなるべく速くだ。出来るかな?」


「はい、おまかせください。小型船の奴に負ける訳にはいきませんので、日々の訓練の成果をお見せします!」


「私達も訓練の結果をお見せ出来る時が来るのを待っておりました。今日は存分に日頃の成果を披露させてください!」


うん、元気でよろしい!

若い領兵中心に部隊を組んでいるので、他の組とのライバル意識が多分にある。

まぁ俺がおだてて報償も少し掴ませてやる気にさせているのも大きいと思うが。


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