307◇交渉
307◇交渉
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メガネはかけていないが、某司令の様なポーズをした親父殿は口元の僅かな笑みを組んだ手で隠し、艦長に質問した。
俺が予め説明していた内容で、こちらが圧倒的に有利な事を知っているからだ。
「まず我が息子のマーティンからあらましは聞いていると思うが、まず貴殿の知っている事を先に全て話してはもらえいないだろうか。」
「それはそうですね。まず私達の貿易船の船長からの報告書は以下の様になっていました、」
曰く、
シラハマの港を出港して灯台の前を通り、湾外に出る前に外洋から海賊船2隻が襲来して来た。
海賊船は船首の投石器で発火壺を投げ込んで来たが、こちらの船体に当たる前に灯台の方から破裂音がたて続けに響いて来た。
何十発もの破裂音が響くと海賊船の船首は徐々に沈みだして、ついには2隻とも半沈没状態となった。
貿易船はその間に2隻の海賊船の間を通って外洋に出る事が出来た。
その後、シラハマの港から冒険者の乗った小舟が4隻出て来て海賊船の周囲に浮いている海賊を浮きロープに掴まらせ、港に曳いて行った。
シラハマの何らかの新兵器で海賊船が2隻ともあっというまに制圧された。
これは調査の必要あり。
確かにそのとおりだな。
しかし破裂音が立て続けに響いて来たというのはちょっとまずいか。
バレットM95を思いっきり連射したもんな。
サプレッサーが付いているし、俺とデビッドが一緒になってウィンドエバキュレーターを銃口に発動させたんだが、さすがの大口径12.7mm弾の発射音は貿易船まではっきりと聞こえた様だ。
その時使ったことにしている40ミル砲はまだ3門しか無かった事になってるし。
3門だけでは立て続けに発射は出来ない。
そうだ、魔道銃も合わせて10丁くらいで海賊船に撃った事にしよう。
それなら立て続けに破裂音が響いても不自然ではない。
「なるほどな。これは感謝されていると受け取って良いのかな?」
「はい、貿易船の船長は非常に感謝していました。出来ればすぐにお礼をしたいと言っておりましたが、報告を受けた海軍としてはます調査をしてからとなって今回の訪問となります。」
うん、ちょっと駆け引きになっているな。
相手側としては無条件に感謝したいところだが、未知の武器で海賊船を沈めた事は海軍としては脅威に感ずる。
それの正体を教えてくれないとあちらとしても更に上層部に報告が出来ないんだろうな。
「では、その感謝される事をした当事者である我が息子のマーティンから説明させよう。」
うん、当然のパスだ。
俺以外にまともに説明出来る者が居ない。
しかもここには中将と団長も同席しているので下手な事を言うとランバート領の立場が悪くなる。
いや、ランバート領というか、俺だな。
「では、私マーティン・ランバートより説明させていただきます。まず、あの時は私は王都学園の夏期休暇でランバート領に帰省していました。そして観光としてシラハマの港町に行く事にしまして、海辺のレストランで食事をして出たところで遠くから破裂音と騒ぎが聞こえて来たので護衛に状況を確認させました。すると海賊船2隻がこちらを出港した貿易船を襲おうとしているというのを聞きまして。急いでシラハマに配備途中だった3門の大砲を扱う部隊に指示をして灯台の下に向かわせました。そこで私が指揮をして、領軍の魔道銃部隊と共に海賊船に対して砲撃、銃撃を開始したのですね。」
おや、親父殿が少し呆れた表情をしている。
よくもそこまで嘘八百を並べ立てられるものだと思っているんだろうな。
でも実際に俺がその場に居て指揮をしたのは事実だ。
俺一人で12.7mm弾を撃ちまくっただけなんですけどね。
でも時期的な矛盾が発生しそうなので40ミル砲は配備途中で、まだシラハマでの体制が整っていなかったので急遽俺が陣頭指揮をして目的を達成したということにする。
「それはすごいですね。そのお年でそこまでの指揮が出来るとは。しかも大砲とまどうじゅう?も使われたとか。ぜひその大砲とまどうじゅう?を見せていただけないでしょうか?」
「少し離れた所から見学するのは許可出来るが、10歩以内に近づくのは遠慮してもらいたい。なにしろこちらも配備したての新兵器なものでな。情報が漏れるのを何より恐れているのだ。」
おう、親父殿も言う様になったな。
でも10歩というのはまた絶妙な距離だな。
細部を観察出来る距離でもないし、砲手に質問も出来ない。
まぁ発射音と衝撃波がかなりあるから安全の為にも20歩くらいは離れてもらおう。
「私からも補足を。見学される場合は20歩以上離れて、常にこちらの指示には絶対に従っていただきます。何故なら非常に危険を伴うため、万一の時の事故に巻き込まれるのを防止したいのです。ではまず陸上にある大砲からご紹介しましょう。少し歩く事になりますが、岬の灯台の下に大砲の拠点がありますので。」
俺はハンスに言って、ザンドとデビッドに「シラハマ海上防衛隊」に連絡を付けてもらい、ホテルの入り口に集合してもらう。
そして灯台下の2門と小型船の1門を発射出来る様に準備する事を指示する様に言う。
同時に小型船は発進させ、小舟を一隻借りだして的となる様な大きな一枚板を積んで長いロープで曳航して灯台下まで行けというのも指示する。
要は客人に的当てを見せたいのだと。
まあこれくらいはしないとせっかく先ほどついた俺の大ぼらが実証出来ないしな。
早速ハンスがメモを取って部屋を出て行った。




