306◇海軍上陸
306◇海軍上陸
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小型船で3隻の大型船を先導し、シラハマの湾の入り口に着いた。
速度を緩めて反転し、接近して併走して艦長を呼ぶ。
「艦長、先ほど言ったとおり、この旗艦以外は湾外で待機してほしい。旗艦は私の後ろに着いて来て停泊場所で停船するからその近くに投錨してくれないか。」
マークが大声で先ほど俺の指示した通りに叫ぶ。
「承知した。他の2隻に伝えてから行くからゆっくり先行してほしい。」
艦長の返答に了解の返答をし、小型船は微速前進で湾内に入る。
灯台前の少し細くなっている場所は中央を通る。
大丈夫とは思うが、海軍の大型船の喫水が分からないので用心に越した事はないだろう。
貿易船の情報は持っていると思うので、海軍の大型船との差異は分かっているだろう。
万一船底が引っかかったら一旦停止し、小型船でロープを後続の2隻まで引いて行って渡して引きずり出してもらう必要があるかもしれない。
まぁ少し時代遅れでも海軍だし、万一の時は自分で何とかするだろ。
小型船は灯台前で一旦停止し、暫く待っているとゆっくりと旗艦が入港して来た。
間隔が30mくらいに近づいた時点で発進し、距離を保って先導する。
貿易船が停泊していた埠頭から50mくらい離れた箇所で停船して合図をし、そこで旗艦に投錨させる。
船員が大勢で舷側のクレーンの様な物を使って上陸用のカッターを降ろす。
縄ばしごを使って艦長以下8人の船員が降り、その内の6人がオールを漕ぎだした。
俺の乗っている小型船は漁船の使う汎用の桟橋にカッターを先導し、並べて接岸して船大工が飛び降りて舫い綱で杭に繋いだ。
俺達が先に上陸し、カッターの乗員が舫い綱を投げるのを受け止めて杭に繋ぎ、降りるのを待つ。
「ようこそシラハマへ。田舎町だが一応貴族街もあるのでホテルもある程度のレベルはある。そこに領主様と国の重鎮が待っているのでご案内しよう。」
艦長はマークにそう言われてちょっと驚いた顔をした。
領主だけでなく、国の重鎮というのがどの様な人物なのか全く分からないからだろう。
マークに重鎮とは誰かを聞いて来た。
「マーク殿。国の重鎮とはどの様なお方なのか聞いてもよろしいかな?」
「これは失礼。まず国軍情報局のロナルド・モーガン中将だ。そして王宮魔法団の団長であるエリミネーシャ殿もだ。このお二人は今日はシラハマの視察に来られている。先ほどの元海賊船にも試乗されていたのだ。あ、元海賊船はそこの中央市場の建物の向こうに係留されているのでこちらからは見えないのであしからず。」
「承知した。海賊船は我々もかなり相手にして来たのでだいたいの事は分かる。だが、無傷で拿捕されて運用されるとの事なら後で見せていただく事は出来るかな?」
「それは私の一存では決められない。領主様にお話しになられてはどうだろうか。」
「あいわかった。そうさせていただこう。」
マークはそのまま一行を引き連れ、中央市場の向かいのホテルに入る。
ホテル1階のレストランの入り口では父親の部下が待ち受けていて奥の別室に通された。
レストランの別室では父親、中将、団長、情報局外務課代表、執事と技術担当のハンスが居た。
加えて護衛としてスカイコンドルの2人と魔法団の2人も椅子の後ろに立っている。
こちらの6人が椅子から立ち上がり、来客を出迎える。
艦長は旗艦の上で被っていた大げさな帽子ではなく。装飾品の付いた皮の小ぶりな帽子を被っていた。
艦長の直属の部下らしき2人も皮の簡素な帽子を被っている。
他のオールを漕いでいた6人は護衛兼任の部下らしく、壁際に立っていた。
「ようこそシラハマへ、そしてランバート領によく来られた。歓迎しよう。まず私はランバート領の領主でジョージ・ランバートと申す。こちらは国軍情報局のロナルド・モーガン中将だ。そしてその隣が王宮魔法団の団長であるエリミネーシャ殿だ。後は私の部下なので紹介は必要な時にしよう。」
「ご紹介いただき感謝します。私はノルドロイド共和国の海軍旗艦、ノルドレッド2世の艦長のフレッド・キートンと申します。今回こちらに来させていただいたのは先日の我が国の貿易船を海賊船の襲撃から守っていただいた事について、その方法や結果を調査する為になります。決してこちらに敵意がある訳ではありません。」
「了解した。まずは座られよ。飲み物は紅茶でよろしいかな?」
まぁこの世界でもまだどこに行っても紅茶がスタンダードだな。
前世でもコーヒー豆がヨーロッパに伝わって一般でも飲まれ始めるのは16世紀以降なので、そういうものなのかもしれない。
だが、王都の叔父の様に個人的に入手して楽しんでいる御仁も居るので、俺としてはコーヒーがもっと普及して欲しいと思っているんだが。
4人のウェイターがテーブルに人数分の紅茶を並べ、一礼して退出する。
まず親父殿が飲んで、それに続けて全員が飲んだ。
まぁ毒見の様なもんだな。
「うむ、これはノルドロイド共和国産の茶葉ですな。この味には覚えがあります。」
「お分かりか。貿易船で持ち込まれた物の中でも上等な茶葉らしい。確かに美味いと感じるな。」
「我が国の中央高原では茶葉の育成が盛んで一大産業となっております。その中でもこの味の物はかなりの評価をされていたと思います。」
「なるほどな。今後もこれは仕入れさせていただこう。では本題に入ろうか。」
親父殿はそう言ってティーカップを置き、テーブルの上で両手を合わせて組んで口の前に持って行った。




