298◇現地到着
298◇現地到着
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順調に飛行し、45分くらいでシラハマの崖上の草原に到着した。
海風なので海に向かって5号機から逆順に着陸し、最後に俺が降りる。
向かい風がそこそこ強いので着陸速度が非常にゆっくりになる。
ホバリング出来る程ではないが、着地して10m足らずで停止する。
崖までは30m以上は見ていたので全員危なげなく着陸した。
その時崖に登る坂道の所には領兵が8人待っていたので急いで駆け寄って来る。
機首に付いたハンドルを握っておいてもらい、サイドブレーキを引き、スロットルレバーをロックした後で全員機体から降りる。
その場で操縦者が機首のハンドルにロープを掛けてそれに繋がったアンカーを地面に打ち込む。
その次に尾翼端のリングにもロープを掛けて同様に地面に固定する。
更に左右の翼端から少し内側にあるリングにも同じ様にしてロープで地面に固定した。
これでもまだ不安なので先ほどの領兵に後席に座る様に指示する。
残った2人には全体の交代要員と連絡要員を言いつけて、機体から降りた16人は崖下のランバート領の別荘に向かう。
別荘には既に親父殿の一行が到着していた。
4時間半くらいで着いたみたいだ。
別荘の広いラウンジを臨時の会議室にして資料を広げている。
「父上、全員到着しました。8人の領兵に機体は預けて来ましたが、あと4人追加で送って貰えませんでしょうか。どうも風が強いので1機当たり2人で押さえて貰っていた方が良い様に思えます。」
「うむ、分かった。マーク、領兵の責任者に指示して4人追加で送ってもらえ。」
「承知しました。早速指示致します。」
1機当たり2人で押さえて貰えばかなり安全だろう。
1人がトイレ等に行きたくなってももう1人と交互に行けば何とかなりそうだしな。
「では早速シラハマの港をご案内いたします。案内はマーティンにやらせますので要望がありましたらおっしゃってください。」
え、急に振られても、と思ったが、この場合俺が中心になっている事を思い出して諦めて前に出る。
「えー、ではこの高台になっている別荘の窓から見える範囲からシラハマの説明を致します。まず眼下に見えるのがシラハマの海ですね。右手に灯台が見えると思います。左手には船が何隻も停泊しているのが見えますね。その近くに大きな建物がありますが、そこがシラハマの中央市場です。その向かいの山側に道路を挟んでホテルや商店、レストランなどがあります。ここがシラハマのメインストリートとなります。それからこの別荘に登る坂道沿いには貴族や裕福な商人の別荘が並んでいます。この別荘が一番上なのは領主別荘だらですね。だいたい下から順番に階級みたいなのが上がって行っています。」
シラハマは基本的に漁港であるが、外国船の停泊拠点にもなっている。
港入口の突堤の付近の水深がかなり深くなっており、大型船がそのまま接岸出来る数少ない我が国の港らしい。
外国船はランバート領内地の産物との交易と、更に遠洋に行く為の補給基地としての利用をしていた。
海賊の襲撃があっても毎回ではないので、ある程度のリスクを承知で継続して寄港しているとのことだ。
更にシラハマは観光地、避暑地でもあるので裕福な連中の別荘タウンになっている。
ただ、ある程度裕福だが自前で持てない層も居るので、それらに向けた貸別荘が全体の約3割あるそうだ。
貸別荘は元は個人所有だったが、せっかく作っても没落したりして維持出来なくなった物を領で買い上げてレンタルしている。
領都に予約受け付けがあり、そこで予約手続きをして鍵を受け取る。
各貸別荘には管理人が常駐しており、使用人としての役目もしているが、一番大事な仕事は別荘を借りた家族の監視だ。
一応領都で貸す時に身元確認はするが、自己申告なので借りた後に無茶をする場合がある。
また、他国の間諜が観光客を装って借りる場合もあるので、管理人は客の言動を注意深く観察して記録し、領主に報告する。
何かあった場合の領兵への連絡と、別荘を破壊や汚損された場合の弁償の査定もするので有資格制としている。
給料もそこそこ良いので人気のある職業だな。
客が来なくても固定賃金分は支払われるし。
「無傷の海賊船は左の中央市場の向こうの埠頭に係留されています。更に少し向こうに舟大工の工房があり、先日作った小型船はそこに置かせて貰っています。」
「海軍の予定地はどこら辺りかな?」
「ここからは見えませんが、中央市場の向こうに小さな岬があり、その向こうになります。地図で見るとここになりますね。」
俺はシラハマの地図を広げて市場の東側にある岬を示す。
その向こうに砂浜が広がっており、遠浅なので現在は殆ど利用されていない。
夏の間に海水浴をする観光客がたまに来るくらいだな。
地元民は灯台の近くの小さな砂浜を利用している。
すぐに深くなっているので、銛で魚を獲ったり出来るので人気らしい。
「遠浅と書かれているが、これでは大型船は停泊出来ないのではないか?」
「いえ、ある所から急に深くなっており、そこまで桟橋が伸びています。古い木製桟橋なので掛け替える必要があるかもしれませんが、ある程度広く作っておけば小型の荷馬車なら通せますので利便性はさほど悪くないと思います。」
まぁとりあえずの拠点だな。
本格的に使う気なら木製桟橋と言わず、土魔法を駆使して遠浅の部分に突堤を作れば良いのだ。
海底を浚渫して水深を深くするよりも楽だろう。




