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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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296◇視察出発

296◇視察出発

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その日の話し合いはモーガン中将とエリミネーシャ団長の言い合いで終わったが、まぁお互いの立場から来る意見なのでそうなる事は予想出来ていた。

俺の立場がどうなるかは今のところ未定だが、今回の領地訪問ではこの件はもう言わない様にしよう。


その後中将と団長だけが俺の家族の夕食に同席した。

他の情報局の人も呼ばれたのだが、皆遠慮したので他の部屋で食べてもらう。

魔法団の護衛とスカイコンドルの面々はザンドとデビッドに案内され、護衛用の大型食堂で食べた。

護衛20人が同時に食事の出来る大きな部屋だが、今は半数が出払っていたので余裕で入れるみたいだ。


「いやぁ、こちらは海が近いので海産物が多くて味わい深いですな。海まで馬車で半日くらいでしたっけ?」


「そうですな。荷馬車でゆっくり走って半日程度です。冷蔵の魔法の付与された海産物運搬用の箱がありますので、それに入れて領都向けの鮮魚卸し便を定期的に走らせておりますな。」


そうだったんだ。

知らなかった。

それでたまに出る魚が新鮮で美味かったんだな。

王都では海から距離があるんでいくら冷蔵しても時間がかかって無理なんだよな。

冷凍魔法もあるらしいが、馬車で5日の道のりの間に大量の魔石を消費するのでコストが見合わないそうだ。


いや、3座機で海鮮空輸を始めたらどうだ?

1人乗りなら160kgのペイロードがある。

冷蔵魔法箱の重量が40kgあるとして、残りの120kgは丸々鮮魚になる。

5時間弱のエンジン用と冷蔵用魔石の消費量からして庶民向けは無理だろうが、貴族向け、王族向けの様な高級魚を中心とした商いにすれば十分にペイしないか?

いくらなんでも冷凍魔法5日分の魔石よりは遙に安いはずだ。

俺は食卓に出されたヒラメの様な魚のムニエルっぽい料理を突きながら考えていると、すぐ隣に座っていた団長に顔を覗き込まれる。

俺はハッとして何事も無かった様にムニエルにフォークを刺して頬張った。


無事団長の突っ込みを躱した後に自室に戻り、明日の準備をする。

明日は二手に分かれて行く事になっている。

何せ人数が多い。

自領からは親父殿の他に護衛隊長のマークを含めた護衛が5人、執事とメイド長、技術担当のハンスと税収と購買担当のアイリス、その他に土地管理と建築管理の担当官が同行する。

現地でその場で交渉出来る様にする為だ。

なので王都から来た面々はそのまま3座機で、領都からの面々は馬車に分乗しての事になる。

従って、朝7時には馬車は発進し、およそ5時間後の12時に到着を予定している。

3座機6機はそれに合わせて到着する様に少し余裕を見て11時に出発する。

まぁゆっくり飛んでも40分もあれば着くだろう。


翌日、少し早めにマリアが起こしに来た。

今日は飛行するので貴族の衣装は着ない。

飛行服の上着だけ脱いだ昨日と同じ格好でダイニングに行く。

着替えは持って帰っているので昨日着ていた分は洗濯に出してある。


食事は昨日の夕食と同じ顔ぶれだ。

妹のシンディーが眠そうに目を擦っていた。

うん、お子様には少し辛いかもしれないな。

俺は前世も含めて不規則な生活には慣れているので何ともないが。


「皆さんおはようございます。今日は午前7時には出発しますので朝食は早めにさせていただきました。」


父親が言うと、中将も団長もにこやかに応えて朝食が始まる。

鮭の塩焼が出たが、これまで食べた事が無かったので珍味に感じる。

勿論、前世では日本の朝食なので時々食べていたが。

白米が欲しくなるな。


さすがに箸をくれとは言えないのでフォークとナイフで鮭の塩焼を捌くのだが、これがまた難しい。

だが、中将も団長も器用に鮭の切り身を捌いて食べている。

ひょっとしてマーティンは不器用なのではないかと思ったが、俺の家族を見ると俺と大差無い事が分かって安心する。


「中将も団長も魚を食べるのが上手ですね。どこかで食べる習慣でもあったのですか?」


俺が聞くと2人とも少し顔をしかめて答える。


「なに、王族との付き合いが少々あってな。食事に招待されるんじゃが、金に物を言わせて冷凍した魚介類を取り寄せて調理して出して来ては自慢するんじゃ。その時にこの様な魚をまともに扱えんと下に見られるんで練習するんじゃな。もはや訓練と言っていいかのう。儂も中将もだいぶそれに費用を注ぎ込んだかのう。」


さすがに「王宮」魔法団の団長だな。

それにしても軍のお偉いさんも王族と食事をする事があるんだな。

まぁ情報局のトップだからお呼びがかかるんだろう。


多少苦労しながら鮭の塩焼を食べ終えたが、子供舌には少し塩味が強すぎた様だ。

俺も妹もミルクを要求してかなり飲んでいた。

あれはパンで食うものではないな。


その後すぐに父親とその配下は出発準備を始める。

護衛部隊が玄関前に馬車を廻して来たので全員が乗り込む。

中将と団長は俺と共にそれを見送る。


やはり自動車の開発も必要だなと思う。

飛行機は確かに速くて便利だが、誰でも扱える訳ではないし、高額な運用費用も離着陸の場所も要る。

自動車は道路をある程度整備する必要はあるが、今の馬車のせいぜい時速15kmから時速40km程度まで速くなれば物流が変わる。

WW2中の米軍のシープやトラックなどでも未舗装でそれくらいは出ていたらしいので、こちらでも何とかなるだろう。

自動車は何より運用コストが安い。

飛行機は速いが積載量が少なく、魔石の使用量も多い。

まぁ大型機を作ればだいぶマシにはなるが、それでも自動車には敵わない。

前世でも単価の安い物流に飛行機は使わないだろう。

飛行機社会のアメリカでも飲料水や食料輸送は大型トラックだもんな。


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