294◇マーティンの所業
294◇マーティンの所業
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「では本日の打ち合わせはこれくらいにしまして、もうすぐ夕食をご用意出来ますのでそれまで王都でのマーティンの所業を教えて頂けませんでしょうか。」
急にとばっちりが来たな。
しかし、所業と言われる様な悪事はしていないぞ。
「王都でのマーティン君の働きは図抜けていますね。あ、馬車の事故についての事は聞いていますのでご心配なく。13歳に似合わない言動もそれで説明出来ますし。何より実績が数多くあります。口だけではなく、行動で結果を出しているのが凄いですね。」
褒め過ぎである。
思わず口元がにやけるのを手で覆い隠して咳払いをする。
「本当じゃぞ。マーティンのやる事なす事全てに渡って規格外じゃ。儂ですら理解に苦しむ事もあるくらいじゃし。しかもそれをじっくり説明して相手に理解させる能力もある。魔法団に是非とも欲しいくらいじゃな。」
団長も俺を持ち上げて来る。
俺も自分がやった事の貢献度は理解しているので、ある意味誇らしい気持ちもある。
俺自身、魔法の鍛錬をかなりのレベルで行った自負もあるし、それを利用した功績もある。
まぁ知識に関しては多分に趣味の範囲なので好きこそ物の上手なれってとこだろう。
俺は言うだけで、周囲が実現してくれるのだからこれも環境チートみたいなもんだな。
能力については自衛隊魔法に加え、素手で魔獣相手に取っ組み合いが出来るというという本物のチートもあるからだいぶ人間辞めてるが。
「そうですか。マーティンをそこまで評価して頂いているとは思ってもいなかったので驚いているところです。身分証を見せて貰った事がありますが、学園の開発部所属に加えて「国軍情報局技術支援外部協力員」という記載がありましたが、これはどの様な効力を持っていると考えたらよろしいでしょうか?」
「いや、それはマーティン君を縛る名目ではありませんぞ。むしろ我々がマーティン君が言い出した事に振り回されている次第でして。飛行機械関係についても我が国を縦横に結ぶ航空定期便や飛行場の整備、飛行機械の運用に関する法整備や運用方法まで具体的な例を出して話していたので、こちらから少し待ってくれと言ったくらいでして。」
「そうじゃぞ。マーティンが発想して魔法団に押しつけて来たアイデアも何件もあるが、レベルが高すぎて未だに一つも実現しておらん。たまにせっつかれるんじゃが、その度に待ってくれと言わざるを得ない魔法団の団員の心境も察して欲しいものじゃ。」
いやいや、まだまだ序の口ですよ。
今はまだ1人で周囲に対してあれこれ対応しているので使えるリソースに限界がありますが、ツーカーのブレインを付けてくれたら今の5倍は出せますねー。
「それはお役に立てているという事で、父親としては嬉しく思います。あの事故の後の経緯が全てに影響していますが、我が領の発展もマーティンがもたらした物が多々ありますので、領主としては大いにありがたいと思っております。」
親父殿は俺の方を向いて何か言えという表情をしたが、ここは大人の会話の場でしょう。
俺っちみたいなジャリの出るところじゃないでしょう?
え?そんな事はここに居る者は百も承知だからさっさと何か言えですか?
「えー、皆さん私の事をだいぶ買いかぶっておられる様ですが、私のやる事は先人の知恵を拝借しているだけです。私自身が思いついた事は微々たるものですので、そんなに大げさに構えないでくださいよー。え?そんな事は分かってるって顔ですね。まぁそういう事ならストックはまだまだありますので、私に寄り添ってお手伝いをしてくれる人が欲しいなーって思っているんですが。」
中将が呆れた顔をし、団長が身を乗り出し、父親が天井を仰いた。
「どうれ、それ、儂がやってもいいか?お主を「魔法団技術支援外部協力員」にして儂のサインを書けば魔法団はフリーパスじゃぞ。いつ来ても良いし、なんならお主の部屋を確保しても良い。手足となって動ける者を数人付ける事も出来るし、時間制限はあるが儂自身がお主の手足となっても良いぞい。」
「それは聞き捨てなりませんな。既にマーティン君は「国軍情報局技術支援外部協力員」としての立場があります。情報局と魔法団の二股をかけるとなるとちょっとこちらとしても黙ってはおれませんな。」
やめてー。
俺で争うのはだめだよー。
せっかく秘密裏に魔法団の団長に持ちかけようとしてたのに一気に表に出てしまった。
これならそういう部署を作ってもらうしかないかな?
「ちょっと待ってください。私の現在の立場はあくまでも学園所属の「スカンク・ワークス(魔道エアクラフト開発部)代表」ですよ。それ以外の追記は協力員とある様に、お手伝いをするのが基本ですね。一見私が主体になっている様に見えるかもしれませんが、私は単なる13歳の学園生徒です。実際に行動するのは私の助言を聞いて貰ったエキスパートの人達ですよね?」
エドモンドとモーリスとその部下達、ガーソンにハンス、シラハマの船工房主やスカイコンドルの面々。
彼らが居なかったら俺の行動はかなり小さな物に留まっていただろう。
まぁ俺のお膳立てが無ければ何も起こらなかったのは確かだが。
「そこまで言われるのなら、情報局と魔法団で共同で私が常駐出来る部屋を用意して貰えませんでしょうか?そこで私のやりたい事を相談すれば資料としてそこに残りますし、私もお二人に気を使わずにアイデアを出せますので気が楽になりますね。」
親父殿がお前は何を言っているのだ?という様な表情でドン引きしているが、俺はいたって正気だ。
俺としては情報局も魔法団も仲良くしたい。
ならば双方が歩み寄れる場を設けるのが筋というものではないだろうか?




