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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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291◇出張エアライン

291◇出張エアライン

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全員が右手を挙げて搭乗が完了したので、俺も素早く前席のシートに座ってシートベルトを締める。

スロットルのロックキーを外して2ノッチまで上げ、滑走路に出てすぐに8割まで上げて離陸する。

試作機は双発なので穏やかな上昇だ。

2人乗っても十分な推力はあるが、滑走距離は長めになる。

これは後続の量産機の4発で急加速して乗客を驚かせない様にする為の先導としての指示でもある。


上昇したらスロットルを4割まで戻して工場の上空200mくらいをゆっくりと旋回し、1周毎に1機ずつ編隊に加える。

各機離陸したら俺先頭機の編隊の下20mくらいの所で旋回し、周回速度を合わせて上昇して加わる感じだな。

これなら見た目にも安心確実な飛行になるので乗客の不安要素を少しでも減らせる。

よく考えたら、今回飛行関係者以外の人を初めて乗せるのだ。

予め高所恐怖症が無い事を全員に確認して貰っているが、一旦上昇すると何が起こるか分からない。

まぁ異変が起こったらホイッスルを吹いて知らせる事になっているのであまり心配はしていない。

途中何か所か降りられる場所も見つけているので最悪着陸は可能なのだ。

不具合のあった機だけ着陸し、他の機は上空で低速で旋回して待っていてもらう。

これなら30分程度遅延しても魔石の残存魔力にあまり影響は無い。

そもそも6機とも降りられる場所などあるはずもなく。

離陸する場合も離陸距離が足りなければ土魔法を駆使してブルドーザーすればいいだけだしな。

スカイコンドルの1番から4番はあれでもエリートだ。

それくらいの魔法は全員使えると聞いている。


その後、時速120km程度で2時間ほど飛んだ時にすぐ後ろの1号機から鋭いホイッスルの音が聞こえた。

高度を下げて同じ平面に並ぶと、1号が左方向を指さす。

ザンドが双眼鏡を出して確認すると遠くからキラーバードが2頭迫って来ていた。

俺はすぐに全機そのままの高度と方向で維持の意味のホイッスルを吹き、素早く編隊から離脱する。

左下方向に逸れて高度を下げ、キラーバードから襲撃し易い様にする。

奴らは急降下して獲物を襲うのだ。

暫くエンジン全開で2頭のキラーバードを引っ張り、十分に編隊から離れたところで反転して迎撃する。

ザンドに操縦を任せ、ストレージから89式と30連マガジンを出して装填する。

お互いにすれ違う飛行ルートになる様にザンドが操縦し、すれ違いざまにフルオートで見越し射撃をする。

毎分700発程度は出るので1秒間照準を合わせ続けられれば12発は喰らわせられる。

銃口初速も毎秒900mくらいはあるので、距離50mで0.06秒で到達するな。


2頭のキラーバードは繰り返し俺との巴戦をする。

いわゆるドッグファイトだ。

交互に追いかけて来て前方で待ち構えている。

俺は瞬間的に89式をストレージに仕舞って操縦桿をザンドから奪い、アクロバット飛行をする。

何度かぎりぎりで掠めた事はあったが、相手は所詮は生き物なので徐々に反応速度が落ちて来た。

力いっぱい羽ばたいて加減速旋回するのでスタミナを高速に消費するのだろう。

それに対してこっちは魔力で補強した筋力と視力と反応速度でいくらでも操縦し続けられるのだ。

時々ザンドに操縦桿を渡して89式を撃ち込みながら15分ほど追いかけっこをしたところで、キラーバードは2頭とも高度を落として地上に降りて行った。

どうやら何発か命中していたみたいだな。

念のため着地したキラーバードの上空で旋回しながら5分ほど留まっていたが、2頭とも翼を広げてバタバタさせていたので致命傷を与えたと判断し、迎撃は成功とした。


すぐに元の編隊を追いかける。

高度を1500mに上げ、全開にして30分ほど飛ぶとザンドが双眼鏡でやっと見つけた。

方角はコンパスと太陽の方向で確実に分かるし、地上の地形もこの高度ならかなりの範囲で見渡せるので迷わない。

ただ、やはり双発機では瞬発力が無いのでちょっと辛いな。

王都に帰ったらブースター兼予備エンジンとして複座機用の少し小型のエンジンを2基追加してもらおう。

これなら小さいのであまり邪魔にならず、万一複雑構造のメインエンジンが故障した場合でも飛び続けられる。

今回の様にキラーバードに襲われた場合も純粋な推力増加による速度で振り切れるし。

普段は単なるデッドウェイトになるが、まぁ安心料だな。


編隊を目視したので上空から徐々に近づく。

ホイッスルを吹き、全機現状の高度と方向で維持を続行させる。

そのまま先導機の位置に収まって元の編隊飛行に戻った。


その後は飛行生物に襲われる事も無く、平穏無事にランバート領に到着した。

河原横の練兵場に着陸し、領兵に前回同様に機体を預ける。

中将と団長が俺の方を見て何か言いたげな表情をしていたが、俺が「聞くな」的な雰囲気を出しているので口は出さなかった。

中将は1番から聞いているはずなので俺の取った行動の意味は理解していると思うが。

団長も中将から耳打ちされていたので同様だろう。


駐屯所には予め親父殿から連絡が行っていたみたいで、兵長が率先して機体を半数は倉庫に入れ、半数は屋外に係留していた。

機体から降りた一行は領主の迎えの馬車2台に分乗し、領主屋敷に向かう。

俺と情報局の6人、魔法団の団長だ。

スカイコンドルと護衛4人は護衛部隊から差し向けられた大型馬車に乗る。

10分ほどで領主屋敷に到着し、先触れで待ち構えていた領主一家に迎え入れられた。


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