286◇魔道砲ミックス
286◇魔道砲ミックス
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「では、明日早朝にでも伝書鳩便で父親に訪問の連絡を飛ばしますので、それの返事が来てから行く事になると思います。あちらも準備があると思いますからいきなりの訪問は避けていただくと助かります。」
まず自衛隊装備の隠蔽だな。
見られたらまずい物を全部隠しておく。
特に89式とバレットM95は見られるとヤバい。
魔道銃だの40ミル砲だの言っているのが全部ひっくり返る代物だしな。
現に俺が先にそれを使って色々やっちゃって、それのアリバイ作り・秘匿工作として魔道銃も40ミル砲も作ったのだし。
9mm拳銃も訪問期間はホルスターごと外しておいてもらおう。
ザンドとデビッドは体格が良いので左脇下に吊ってもあまり目立たないが、体格の小さい俺が吊るとはっきりと分かる。
まぁ俺の場合はくの字に曲がった鉄製棍棒の護身用具と言ってあるのでそれ以上は問われなかったが。
しかし、領都の護衛の体格によっては左脇下の膨らみが目立つし、技官も連れてくるのなら質問されて下手に答えるとドツボに嵌まるだろうし。
護衛と領兵の一部には魔道銃は一通り配備しているのでそれで体裁を整えてもらおう。
あ、ガーソンには40ミル砲を6門追加発注していたんだったな。
王都に指導で行くのはそれを作り終えてからにしてもらおう。
「相分かった。領主殿にも都合があるだろうし、それはその様に打診してくれると助かる。ではよろしく頼むぞ。」
中将との面談を終え、立ち上がろうとすると部屋の隅の派手な色が動いて声が掛けられる。
「やっと終わったか。儂にも話しをさせんかい!お主の作っておる40ミル砲じゃが、儂等の所でも作らせてくれんかいのう。魔法団の魔道砲担当の連中がうるさいんじゃ。全く原理が違う砲なので興味津々じゃし、作る所から教えて貰ったら魔道砲との技術の融合をして両方の利点がある物を作れるかもしれんと言うとるしのう。」
「では「グレゴリオ鍛冶工房」でランバート領の鍛冶職人が教える時に同時に参加しませんか。それならそれほど手間もかからず作り方は分かるはずです。」
「了解じゃ。儂の団から何人か鍛冶に詳しい者を選定して出す様にしよう。モーガン中将殿、それで良いな?」
「エリミネーシャ団長には敵いませんな。ちゃっかり便乗して来ている。ええ、何の問題もありません。むしろ魔道砲と40ミル砲の両方の長所を併せ持った砲なんて興味が尽きませんな。」
これは本音だ。
装填速度と初速を現代世界の40ミリ砲くらいにまで引き上げられればこの世界では無敵になる。
目標スペックは前世のボフォース40ミリ砲だ。
戦後バージョンの方で、おおよそ以下のスペックになる。
初速:約1,000メートル毎秒
有効射程:3,000 ~ 4,000m
発射速度:最大毎分300発
装填方式:自動給弾装置
うん、この世界では完全に化け物だ。
こちらの技術で作るには50年はかかりそうだな。
もうちょっと妥協しよう。
初速:500メートル毎秒
有効射程:1,000 ~ 2,000 m
発射速度:最大毎分10発
装填方式:後装式単発手動
これくらいなら魔法団の魔法テクノロジーと合わせればすぐにでも実現可能かも。
バレットM95の超でっかい版だな。
ライフリングと薬莢は必須になる。
ボルトアクション的な単発後装砲になるが、それでも世界をひっくり返すスペックである。
何しろ1km以上の距離から6秒置きに地獄が降って来るのだ。
これが5門も並んでいたらいかなる軍でも即座に壊滅である。
陸上戦なら敵軍のすぐ手前に撃ち込めば巻き上がる土煙と石礫で直撃せずともかなりの被害を出せるだろう。
攻城戦でも50発も撃ち込めばどんな城でも崩壊間違いなしである。
相手が船の場合、たとえば17世紀のイギリスの大型戦列艦ヴィクトリーでも相手の射程外から一方的になぶり殺しに出来る。
舷側は分厚くても所詮は木造の帆船だし、防水気密隔壁の様な概念もまだ無いだろう。
喫水下に集中砲撃すれば30発も撃てば浸水して半沈没するだろうな。
1分間に6発なら砲撃開始からたったの5分でジエンドだ。
もちろん口径を40mm以上にするという手もあるのだが、威力と可搬性を考えたらこの世界では40mm口径くらいが丁度良い。
数人で抱えて持ち上げられるし、馬車でも移動出来る。
分解すれば航空機にも積めるしな。
あと、口径を大きくすると弾薬の使用量が飛躍的に増えるので発火魔石の生産が消費に間に合わなくなる。
経済性から考えても40mm砲はベストマッチなのだ。
「今日のところはこれでよろしいでしょうか?無い様でしたらこれで失礼します。」
モーリスもエドモンドも一言も発せず壁になっていたな。
前回の工作部荷馬車のサスペンション改造の時は緊張しながらも受け答えしていたのだが、さすがにランバート領の事となると門外漢なので何も言わずに口を噤んでいた。
俺も色々あって疲れた。
団長に俺の魔法団所属やブレイン貸与などについて聞いてみたかったが、中将が同席していたので聞けなかったな。
あの席でその話を出すと情報局からも人を出すなんて言い出しかねないし。
そうすると半ば趣味で繋がっている団長と違って、中将の部下は軍に忠実なる僕だ。
俺にとって不利になるであろう情報も漏れなく伝わるだろう。
それは欲しくない。
さて、叔父宅に帰ったら叔父への報告でかなり驚かれるだろう。
いつのまにかランバート領が海軍の出先港になる話だ。
そうなると叔父の立場も王都でのランバート領の代理代表となるだろう。
一度叔父も領都に連れて帰った方が良いかな。
まぁそれは今回の海軍話と銃砲類の生産委託の話が一段落ついてからだな。




