285◇生産委託
285◇生産委託
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「ところで、海賊が拠点に使っていた島に少し前に3座機で偵察に行ったのですが、その時に海賊が居た様なのですよ。中型の装甲の付いた船が2隻停泊していて近づくと弓矢で攻撃して来ましたのでそのまま帰って来ましたが。今のところシラハマの港が襲われる様子は無いですし、たとえ襲われても今は40ミル砲付き小型船と陸上に2門の40ミル砲がありますので、早々に負ける事は無いと思いますが。」
実はその2隻は既に俺がバレットM95で沈めているのだがそれはあえて言わない。
今のところそれを見て後続が来るとも思えないし、シラハマの防御力はかなり知れ渡っていると思う。
最初とその次の来襲時に灯台下からバレットM95の集中射撃で撃沈した5隻だが、M95を見た一般人は居ないはずだし、その後すぐに40ミル砲を3門配備して派手に試射もしているからあの戦果は40ミル砲だと思われるはずだ。
40ミル砲の発射は派手だし、定期的に訓練砲撃もしているので一般人の目撃は多数に渡り、当然外国人や海賊の陸上部隊も見ていると思われる。
それが他の海賊や隣国にも伝わっているとすれば、シラハマはそう易々と攻め込めない事も理解しているだろう。
「それはまだ他の海賊も居るという事だな。それが君が最初の大所帯を一掃したものだから後釜を狙って少し小さい所が来て居着いたという事か。これまた隣国の軍の偽装やもしれんしな。これは一刻の猶予も無いな。すぐに拿捕した海賊船の対応に入らせてもらおう。まず無傷の1隻を買い取らせてもらい、それにあの推進器と40ミル砲を装備して貰う事になると思うが、その対応もやってもらえるのだな?」
「海賊船の買取と推進器や40ミル砲の装備は別扱いになります。まず無傷の1隻をオール漕ぎと帆走で自在に扱える様になってからそれらを装備した方が良いかと。推進器は魔石を大量に消費しますので遠距離をずっと使える訳ではありませんし、あの大きさなら40ミル砲が無くとも魔道銃を装備した兵員をそれなりに積んでおけば海賊に負ける事もまずありませんし。」
「なるほどな。確かに君の言う小型船は沿岸警備だから魔石の消費はあまり考えなくても良いし、少人数だからこそ40ミル砲が生きるという訳だな。」
「そうですね。私達は根本的に海軍ではなく、沿岸警備隊になります。シラハマの港周辺さえ守られればそれで目的は達せられますし、」
行動範囲はせいぜい海賊の拠点くらいまでの間だな。
一応外洋航行も可能な構造にはなっているが、あの小型船はあくまで沿岸用だ。
ちょっとでも時化ると沈没の可能性があるのであまり遠洋には出したくない。
「今回お借りしたスカイコンドルの人達と軍の3座機はもの凄く有用でした。あの距離を5時間弱で飛べて、尚且つ1機当たり160サブタンの荷物まで運べますので、これほどまでに早くシラハマの防備を整える事が出来ました。今後作る機体は後ろの2人分の座席を取り払って、そこに大きな籠を置ける様にすれば利便性が格段に上がりますね。籐の籠なら軽量で頑丈なので、そこにかなりの重量物を入れてもきちんと運べると思います。」
「うむ。今の5機の3座機の次の発注をする予定にしておるが、10機の内3機はその仕様にするか。まず図面と仕様書を作ってはくれぬか。それをこちらで見て要望があれば入れてもらおうと思う。」
「承知しました。郵便事業にも使える様に考慮して交換式の荷室にすると良いですね。こちらのスカンクワークスで検討して何通りか作成します。」
「そう言えば国軍に預けてある試作40ミル砲の評価だが、早速入手した100発は撃ち尽くしたそうだ。そしてバリスタ兵達は一刻も早く40ミル砲を装備して欲しいと言っておるな。これは君の領で作れるのだろう?10門注文したらどれくらいで出来る?」
「その件につきましてはもはやランバート領での生産能力を越えていますので、王都の大手鍛冶業者に生産委託しようかと思うんですよ。40ミル砲だけでなく魔道銃もですね。」
「うむ。そうしてくれるとこちらとしても助かる。君の所だけに負担をかけていつ破綻するか心配だったのだ。そうなると軍部工場と提携している王都では大手の「グレゴリオ鍛冶工房」がいいだろう。あそこは軍と機密保持契約もしているから情報が漏れる事も無いだろうしな。」
「では、ランバート領で魔道銃と40ミル砲を製作可能な職人を4人ほど連れて来ますので、そちらを紹介して貰って協力のお膳立てをしていただけますでしょうか。」
「うむ。そういう事ならすぐに手配しよう。情報局からも専任で情報秘匿と共に全体を管理する担当官を派遣しよう。君たちはそれの配下という事にしてもらえればスムーズに行くだろう。」
「それは大変にありがたいです。私はこんなですし、地方の鍛冶職人が教える側になりますからその「グレゴリオ鍛冶工房」の人達も素直に従ってくれそうですね。」
「よし、では早速君のお父上に打診させてもらおう。いや、こうなると私が直接ランバート領に行った方が早いか。幸い3座機とスカイコンドルが居るから10人くらいまでなら運べるよな?」
国軍3座機の5機と俺の試作3座機の1機の合計6機で、パイロット以外は合計12人まで運べる。
これなら中将とその部下の契約に関する文官、護衛と武器に関する技官を入れてもお釣りが来るな。
一気に片を付けるには丁度良い。
「分かりました。それでしたらついでに「海軍」の話しも出来ますね。トップ会談になるので話しは早いと思います。私の父親と直接打ち合わせしていただければお互いの腹の内も分かりますし、ランバート領の現状も見ていただくことが出来ると思います。」
「うむ。海賊船もこの目で見たらどういう物か分かろうしな。勿論、軍船に詳しい技官も同行させよう。部下に他国の海軍に居た経歴のある者も居るので操船も出来るだろう。」
「それでしたら沈没していない1隻を漁民込みでお貸ししますので、試乗してみてはいかがでしょう。」
「それは物を見てからだな。外見が海賊船のままでは他国の船と出会った際に誤解を招きかねない。とりあえずその1隻はすぐに購入するので我が国の国章などを舷側に描いておきたい。」
「そういうのもありますね。とりあえず国旗を持参していただいて、マストに掲げておけば問題は無いかと。」
あのイガイガ付き鉄板装甲は外した方がいいだろうな。どうみても世紀末だし。




