278◇シラハマ・シーウルフ
278◇シラハマ・シーウルフ
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これで俺抜きで使える様になったので砲兵を集めて宣言する。
「さて、シラハマ・シーウルフがとりあえず動かせる様になった訳だけど、実戦は体験していないので不安はあると思う。それは繰り返しの訓練でしか乗り越えられないんで、弾薬と魔石は交代時に多めに補充する様にするから頑張ってね。」
「マーティン様、この船は1隻だけでしょうか?万一故障や事故で使えなくなったら如何すれば良いでしょうか?」
今回訓練した砲兵が聞いてくる。
なんかウズウズしているな。
今日の体験はこの世界ではあり得ないものだしな。
それを今後自分達が主力となって活躍するのだ。
そんな時に万一を考えて予備は欲しいんだろな。
予備というか、実際に用意するのは複数隻体制だけど。
「その点については考えてあるよ。全く同じ船をあと何隻か用意しようと思ってるんだ。40ミル砲は今ここにあるのを使えるんだけど、あの回る円盤の安定化装置がまだ試作なんだ。推進機はここにある2基でもう1隻に使えるんだけどね、」
「マーティン様、船はこれと同じのをご用意出来ますが、あと何隻かくらいご入用でしょうか?」
工房主が聞いてくる。
こっちもなんかウズウズしているな。
よっぽど推進機が欲しいのだろう。
目が輝いるな。
船体と交換にすると言ったらタダで作ってくれるかな?
「工房主さん、この推進機、要る?」
ズバリ聞いてみる。
「もちろんでさぁ!港から見てましたが、ありゃぁ船大工の常識を根底から覆すシロモノですね!見たところ同じ物がもう2個ある様に見受けられますが。」
「目ざといね。その2セットを使ってみる?」
「是非にともお願いします!いかほどの対価で譲っていただけるんでしょう?」
「この船と同じ物をあともう3隻作れるかな?その内の1隻はこの推進機を取り付けて調整して工房主さんにそのまま進呈するよ。あとの2隻をこちらに貰って艤装までしてくれればという事でどうかな?」
「そんな事でいいんですか!是非にともやらせてくだせぇ!」
うん、シラハマ・シーウルフが3隻体制になる見通しが立ったな。
40ミル砲はここにあと2門あるし、あとは推進機を4セットと砲スタビを2セットをエドモンドとモーリスに作ってもらうだけだな。
領軍はこれでいいとして、王都に帰ったら早速中将に報告と注進をしに行こう。
領軍が一時的にでも国軍を上回る戦力を持つのだ。
出来るだけ早く「海軍」を作ってもらおう。
そうすれば外国に対しても睨みが利くし、逆に海外の貿易船の護衛をすれば便数も増えて港が潤う。
将来的には海軍自身が輸送業務をやって海外と直接貿易してもいいしな。
武装商船みたいなもんだな。
国軍系が海上自衛隊ならランバート領配下のシラハマ・シーウルフは海上保安庁みたいなものだな。
国軍には引き上げた海賊船を何隻か買い取ってもらって推進機を4セット以上、スタビ付き40ミル砲を2門以上積んでもらう。
駆逐艦扱いだな。
最初はこれくらいでいいだろう。
これですら、諸外国や海賊を圧倒出来るのでコスパを考えると十分だな。
とりあえず稼働可能になった高速砲撃艇は1隻だけだが、油断しなければ暫くはこれで海賊が攻めて来ても対応出来るだろう。
それに加えて量産だ。
工房主は推進器と引き換えにあと2隻の製造を請け負ってくれたし、後はこちらの問題だ。
シラハマ・シーウルフの3隻体制+沿岸3門の40ミル砲追加の鉄壁フォーメーションを組む為の準備をしよう。
まず領都に帰って父上に報告と40ミル砲の3門追加要求だな。
扱う領兵の人数も増加しないとならないし。
その後はすぐに王都に帰って推進器とスタビライザーを2隻分製造だ。
モーリスとエドモンドには無理を言うが、彼らには後進を育てて貰って何とかしてもらおう。
いつまでも職人芸では数が揃わないしな。
その後、船大工の工房主とは推進器2セット贈与と引き換えに、今回と同じ小型船2隻の製造依頼の覚え書きを2通作ってお互いに署名し、仮契約とする。
実際には父親の承認の元で本契約書を作る必要があるのだが、工房主はそんな事は気にもする様子は無く、覚え書きを交わした直後に工房に響き渡る大声で小型船3隻を最優先で作る号令を叫ぶ。
船大工達もオール漕ぎで乗った4人以外も全員忙しく動き始める。
まぁ目の前であの動きをやられて、その内の1隻が自分たちが自由に扱える物に出来るとなると俄然やる気が出るというものなのだろう。
とりあえず船大工工房でする事は終わったので砲兵の3人と共に砲兵の宿泊所に戻る。
護衛の2人とモーリス、司令官のグレゴリーも一緒だ。
宿泊所に戻ると残りの6人が待ち構えていて今回の3人にあれこれ質問の嵐を浴びせる。
宿の前の海岸の騒ぎで6人も海辺に出て同僚の砲兵3人が乗った小型船が滑る様に沖に出て行くのを見ていた様だ。
その後沖合で砲撃の音が繰り返し響いたのも聞いていたことだろう。
興味が先に立って、俺が同行しているのも目に入らない様だ。
そこで砲兵1番が声を上げて皆を制する。
「お前ら、まずマーティン様に挨拶をせんか!失礼ではないか!」
宿泊所に残っていた6人は俺との面識はあったのにも関わらず先に騒いでしまったことを謝罪して来た。
まぁ俺の背が低くてザンドの陰に隠れていたもんな。
「まぁまぁ、訓練で面識はあるんでそう堅いことは言わなくていいよ。とりあえず今日訓練した1組を指導担当とし、残りの2組を交互に乗せて訓練して欲しいんだ。近いうちに残りの2組用の小型船も用意して3隻体制にするから。」
そう言うと残りの2組の砲兵が歓声を上げた。
よっぽど羨ましかったんだろうな。




