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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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270/304

270◇魔道ジェット船7

270◇魔道ジェット船7

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次に回転方向抑制のジャイロを組み立ててロープを掛けて引いて回してみる。

こちらも最初はかなりの振動があった。

コロ軸受を併用しているので最初はそれの振動と紛れて分かりにくい。

なのでコロ軸受の部分には潤滑油に微細な研磨粉を混ぜて暫く低速で回す。

これには軸にロープを3周回して掛けて、4人掛かりで2人ずつが交互にロープを引いて締めるのと緩めるのを繰り返す事で回転を維持する。

軸に掛かっている上側のロープを力を入れて引く時は、下側のロープも軸に対する巻きが緩まない程度に張力を掛けながら戻す操作をする。

下側のロープを引くときは上側のロープは完全に緩む様に戻す操作をする。

これにより、上側のロープを引く力のみ回転力に寄与して一定方向に回し続けられるのだ。

コマ回しで回っている軸に紐を掛けて回転速度を上げるのと同じだな。


最初は押し引きの息が合わずすぐに回転が止まっていたが、10分も練習していると連続で回せる様になった。

その間もタービンは動かしているが、あまり仕事はしてくれていない。

コロ軸受けの回転抵抗が大きいので、タービンの出す小さいトルクでは駆動しきれない様だ。

この状態でもフライホイールのバランスのずれは分かるので垂直軸と同じ様な手順でバランスを取る。


一応バランスが取れてもまだ自力で回転しないので、一旦分解してタービンを2個にする。

送風機ももう1組追加して並列駆動にするとやっと自力で回転が止まらずに回り始めた。

その状態で2時間ほど放置すると徐々に回転数が上がり始める。

コロ軸受けの研磨剤入り潤滑剤は15分毎に交換しているのでコロが研磨されて真円度が上がっているのだろうな。

最終的に5時間ほど放置するとかなりの速度で回り始めるが、今度は別な振動が出る。

こちらも垂直軸と同じ様な手順でフライホイールのバランスを取る。

これでやっとそこそこの速さで連続回転出来る様になった。

最終的に一晩回しっぱなしにして、最後に潤滑油を研磨剤の入っていない物に交換して完成とした。


3基のタービンを駆動する魔道送風機の魔石コンバータ兼制御ユニットはA4くらいで厚さ10cm程度の弁当箱だ。

砲身の駐退機の下面に取り付けられ、手前にはスイッチが3個並んでいる。

側面には魔石を入れる蓋があり、そこから簡単に交換出来る様になっていた。

防水性も考慮されており、数秒間水没しても中に水は入らないとのことだ。


1.5m四方のX字をしたベースフレームの上に直径30cmくらいの太い中空の支柱が立ち上がり、それに被せる様なわずかに大きい筒状のスリーブの上に全構造物が取り付けられている。

回転がスムーズになる様に支柱と筒の間にはグリースが塗られており、支柱上部には垂直荷重を受けてスムーズに回せる様にピボット軸受けの巨大版が仕込んである。

これも受け皿に潤滑油が満たされており、上部の小さなボルトを抜くとそこから補充出来る様になっている。

抜け止めは特に設けていないが、これだけの重量があるのでまず問題無いだろう。


そのジャイロ2組と制御ボックスと模擬砲身の付いたX字のベースフレームを作業テーブルの上に固定する。

工員を招集して12人掛かりでテーブルの四隅を持ってもらい、船の動きを模して揺すってもらう事にする。

俺はテーブルの上に乗って砲身のフレームに付いた操作ハンドルを握る。

その状態でタービンに送風開始して軸に巻いたロープを引いて加速し、3分ほどで定常回転数になるまで待つ。

合図をすると神輿を担ぐが如く12人の男達がテーブルを持ち上げる。

モーリスが指揮を取って最初はゆっくりとした前後動で揺らす。

模擬砲身はハンドルを握って少し補正してやるだけで水平を保っている。

今度は回転方向に揺らす。

こちらはジャイロの回転数を抑えているので効果は多少少ないが、ハンドル操作でほぼ水平を保っていた。

最後に前後方向と左右回転をミックスして揺らす。

少し慣れが必要だが、5分も試行錯誤していると何とか工場の壁に貼った的に照準をほぼ安定して合わせ続けられる様になった。

サーフボードの上でサーフィンをやっている様なもんだな。

違うのは乗っている板を安定させるのではなく、手に持っているハンドルを安定させるのだが。

うん、これで外洋の波の揺れに負けずに40ミル砲が正確に撃てる様になったな。


一応40ミル砲自在スタビライザーは完成したので、後はジャイロの信頼性確保だ。

2軸のジャイロを全開で回し続けて更に1日放置する。

半日くらいで潤滑油がかなり汚れて来たので6時間置きに交換してもらった。

前世の様な高性能エンジンオイルがあればもっと長時間耐えると思うが、無い物ねだりなので諦める。

添加剤の研究でもそのうちやろうと思うが、やはりこういうのはその道の第一人者を焚きつけてやらせるのが一番なので今度団長に聞いてみよう。


翌日に見たらジャイロは魔石の魔力が尽きて止まっていた。

エドモンドの見解では魔石の状態から明け方近くに止まった様なので、これで慣らし運転は完了とする。

40ミル砲自在スタビライザーの重量を疑似砲身を外して計ってみると80kgあった。

結構重たいな。

直径30cm、1枚5kgのフライホイールが4枚付いている。

回転軸も直径10cmのミスリル鋼の無垢材だし、フレームと砲身駐退装置の重量もかなりある。

まぁ80kgに収まったのは幸運だな。

なるべく分解はしたくないのだ。

せっかく調整したピボット軸クリアランスが調整し直しになるし。


エドモンドに軍部工場の魔道ジェットエンジン製作を聞いてみると、今日の午後には完成すると言われた。

在庫のエンジン4基をフレームに実装した1号セットは出来ていたので重量を計ると150kgあった。

エンジン4基で120kgだからフレームとマウント金具で30kgだな。

3座機の1人搭乗時のペイロードが160kgだからぎりぎりOKだ。

残りの3セットもフレームに組んで貰う様にモーリスに言う。


エドモンドが指導して作ったエンジン4基セットの魔石コンバーター兼制御ユニットはA4くらいの厚さ15cm程度の弁当箱だ。

この上に始動と停止のスイッチが付いており、側面にスロットルペダルが出ている。

この箱から出ている4本の絶縁ケーブルをコネクタでそれぞれの魔道ジェットエンジンに繋ぐと連動して操作可能になる。

わざと繋がなかったらそのエンジンだけ無効になるので状況によって使い分けられるな。

これも4個作ってもらっていたので、それぞれのセットに繋いで動作試験をする。

この箱は重量が5kgくらいなので4個で20kgだ。

予備の魔石入れの箱と合わせて30kgくらいのものだろう。

後は現地で組み立て調整する為の工具だな。

これもモーリスが行く気満々なので用意してもらう。

そこそこ大きな工具箱を用意していたが、20kgくらいなので3座機への積載は問題無いな。


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