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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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265/289

265◇魔道ジェット船2

265◇魔道ジェット船2

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中将の部下達は話は終わったとばかりに立ち上がりかけていたが、中将は俺が何か言いたそうにしているのを察して遠慮なく話せと促す。


「実はランバート領に帰っている時に、前回の夏期休暇の時に捕縛して壊滅させた海賊の拠点を3座機で飛んで見に行ったのですよ。そうしたら別な海賊が空き家になった拠点を占拠して色々準備をしているのを見まして。それで一番近いランバート領のシラハマの港町が襲われるのも時間の問題と思って報告書と要望書を私の父親の領主としての希望も入れて書かせていただきました。これになります。」


バッグから封書を出して中将に渡す。

封を切って中身を読み出すと、中将は眉をしかめて顎を撫で始める。

どうやら面倒事を見た時の癖らしい。

以前に魔法団の団長がポロっと言っていたな。


「これは前回の海賊よりも規模が大きいのか?」


「いえ、空きになっていた拠点には中型の海賊船が2隻だけ居ました。ただ、これに続けて本隊の様な大部隊が来る可能性も考えられるので、父親は領兵50名を大至急シラハマの港に向かわせると言っていました。」


「シラハマには40ミル砲が3門配備してあるのだろう?何をそんなに不安がっているのだ?」


「前回はたまたま私が現地に居合わせていたので効率的な行動が取れ、海賊を撃滅する事が出来ました。これは私がその手の作戦に慣れているというのが大きいと思います。特に40ミル砲の照準合わせについては他の兵はまだまだ熟練していませんので、ひょっとしたら射程圏内に居る間に海賊船を撃ち漏らす可能性もあります。そうしたら後は敵に人数で押し切られてシラハマは壊滅します。」


「40ミル砲は増産はまだしていないのか?あれだけの物ならすぐに増産していると思っていたが。」


「前回海賊を壊滅させた事で一安心して40ミル砲の増産はしていません。今は魔道銃の増産の方に注力していますので、近日中に40ミル砲も何門か追加すると思います。」


ガーソンには6連魔道拳銃を優先して作ってくれと言ったんでたぶん40ミル砲は作っていないだろう。

まぁいざとなれば俺が3座機で駆けつけてバレットM95で仕留めるから問題は無い。

だが、現地だけで解決させる為の切り札が船舶用の推進器だ。

それを大量調達する為に王都に帰って来たのだから。


「海賊に対抗するには機動性のある船があれば可能です。3座機の魔道ジェットエンジンを船に積み、その推進力で進めば帆もオールも必要無く、それらの2倍くらいの速度が出せると思います。そうすればその船に40ミル砲を積んで海上で迎撃すれば確実に海賊船を仕留める事が出来ます。」


前世の海自のはやぶさ型ミサイル艇みたいなもんだな。

あれは全長50mしか無いが、強力なウォータージェット推進機関を積み、44ノット(時速80km)で爆走して敵にミサイルと76mm砲を叩き込む。

これを多数配備すればこの世界の海賊などいくら来ても烏合の衆である。

それどころか他国の海軍であっても鎧袖一触だな。

たとえ相手が大砲を積んでいても、所詮は帆船である。

風の無い時はオールで漕ぐしかないドン亀だ。

時速30kmも出せれば縦横無尽に周囲を駆け巡って翻弄し、相手の武装の少ない船首や船尾に40ミル砲を叩き込んで一撃離脱だな。


そういう説明を中将にすると、部下の人も一緒にちょっとドン引いていたな。

正にゲームチェンジャーだからだ。

40ミル砲との組み合わせがこれほど威力を持つとは思っていなかったのだろう。

そう、動く砲台である。

固定砲台は近づかなければ何という事も無い。

近づくにしても飽和攻撃の様に数で押し切れば何とかなる。

だが、自ら高速で動き回る砲台はどうしようもない。

追尾され、船尾に砲弾を叩き込まれたらまず舵か壊れる。

次に割と板厚の薄い船尾の板に穴が開き、そこから大量に浸水する。

側面のオールを出す窓に叩き込んでも有効だ。

片舷側を滅するだけで真っ直ぐ走れなくなるのでその場で立ち往生だ。

帆にしても甲板上の帆柱の付け根辺りを狙えば操船出来なくなって風任せで漂流するしかなくなる。


追加でここまで説明すると、中将は要る物は最優先で作って全て持って行けと言った。

うん、納得いただいて感謝感激。

ついでに運搬に量産3座機とスカイコンドルのメンバーを貸してくれと言うと、諦めた様に全てOKしてくれたな。


中将の全面的な賛同を得た事でお墨付きの書面を書いて貰い、それを持って軍部工場に行く。

40ミル砲の弾薬100発分は馬車の所に運搬用の兵卒が5人待っていたのでその場で渡す。

自ら用意していた小型の荷馬車に積んで早速駐屯地の方に走って行った。


デビッドと空荷になったモーリスの荷馬車に乗り、軍部工場に引き返す。

着くなり中将に書いてもらった許可証を見せるとエドモンドが呆れた様につぶやく。


「3座機用の魔道ジェットエンジンを16基だって?在庫はメンテ用に4基ほどあるが、あと12基となると工場の全力でも3日はかかるな。それでもいいのか?」


「それでお願い。それに付け加えて船に積む用にちょっと固定方法を変えたいんだよ。検討図面を描いているから見てくれない?」


モーリスも呼んで俺は魔道ジェットエンジンを4基正方形状に束にして固定した図面を見せ、制御方法もワンレバーのスロットルレバーでまとめて推力調整をする制御構成図を説明する。

船舶なので船自体の重量があるし、水の抵抗もかなりのものになるので推力調整は大雑把で良いのだ。

その代わり、水平方向に120度程度の角度で振れる様にしている。

これは小型船の船尾に2セット付け、その両脇の舷側後端にも左右に2基付けるのだ。

これにより、船尾の2セットで直接の推進を、左右の2セットで推進とバウスラスターとしても使える様にする。

要はその場で旋回したりバックが出来る様にするのだ。

これがあれば自前で簡単に接岸できる。

また、目標の海賊船に乗り込む時も自在に操れるのだ。


モーリスが4セットの同調方法を聞いて来たが、今は船長の口頭指示だけで各部署の操作員が操作すると言う。

4人が息を合わせる必要があるが、それほど難しくもあるまい。

将来的にはセントラルコントローラーを作ってもいいし。


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