264◇魔道ジェット船
264◇魔道ジェット船
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次の日、朝から昨日の打ち合わせの続きをする。
護衛上層部と父親と俺だ。
まず派兵する領兵50名を魔道銃の使える20名を入れて構成する。
使える魔道銃がまだ20丁しか無いのだ。
護衛は各自89式を持っているので別扱いだが。
次に馬と馬車を用意し、シラハマへの派兵準備をする。
兵員だけでなく、兵站部隊も付ける。
剣や槍、弓矢などの武器の予備、魔道銃とその弾薬、携行食糧や調理器具、テントや寝具などだな。
ぶっちゃけ50人もシラハマに泊まる所が無いので野戦と同じになる。
幸い、別荘の庭がかなり広いのでそこにテントを複数張れば一般市民を圧迫する事もない。
高台で港を見下ろせるので状況確認し易く、出動にもあまり時間はかからないのも良いな。
シラハマの船大工から新造船を1隻買い取る話はマークに話すと部下を買いに走らせると言ってくれた。
代金は俺が払うので領主名義でつけておいてくれと言う。
俺は昨晩概略図と方針を書いた計画書を作成し、今朝父親がそれに要望書を追加してくれたので封筒に入れて封をする。
打ち合わせが一段落したので父親に王都に向かうと言う。
「父上、そろそろ王都に行きたいと思います。5時間もあれば着きますので、早速情報局のモーガン中将に書面を渡して協力要請をしようと思います。」
「うむ。頼んだぞ。お前が居てくれて本当に良かったと思う。少々複雑な気はするがな。」
うん。
素のマーティンだったら全く役立たずで、今頃王都学園でだらだら過ごしているだろうな。
東の国境は破られて隣国に侵攻され、海賊は外国船の襲撃に成功し、シラハマの港町は蹂躙されていたかもしれない。
更に魔の森からは上位魔獣が障壁を越えて農地を闊歩し、領民と領兵が100人単位で食い殺されていたはずだ。
何の因果か、俺という存在がそれを全部ひっくり返したのだ。
その絶妙のタイミングと技術レベルの合致、製造に関わる人員の存在も奇跡としか言いようが無い。
これ絶対上位存在が居るだろ?
と、アホな事を考えながら準備をする。
ガーソンに話したい事もあったが、今はそれどころではない。
逆に王都から魔道ジェットエンジンを持って帰ったら船への取り付けに鍛冶の腕を振るって欲しいくらいなので、今は新しい事を言わない方が良いのだ。
デビッドに声を掛け、護衛詰所横の弾薬庫に40mm砲の弾薬100発分を取りに行く。
何人かの護衛に手伝ってもらい、木箱から出してバッグに移す。
王都から持って帰っていたバックに砲弾を詰め込み、フェルトを入れたら一杯になった。
仕方が無いのでマークに装備用の大型バッグを借りる。
これに発射薬100発分を詰める。
ロープも20mほど借りて護衛用の馬車に全部積み込む。
デビッドと共に装備を身に付け、ルークに護衛用馬車を出してもらって練兵場に行く。
練兵場では広場で兵が訓練していたが、兵長に言ってすこし空けてもらう。
すぐに大型倉庫の扉を開けて試作3座機を押し出し、後席に砲弾を下、発射薬を上にして2つのバッグを置く。
デビッドがロープをうまいこと使い、バッグをシートにがんじがらめに縛り付ける。
その後シートベルトを掛け、調整代をギチギチに締め上げて端を固定する。
これで少々振り回しても落ちる事は無いだろう。
もちろん発火魔法陣は持っていないので発射薬に火が付くことも無い。
荷物の積み込み後、デビッドと共に乗り込んでシートベルトを締める。
体の前に固定したバッグに報告・要望書が入っている事を確認して蓋を閉めてロックする。
兵長に礼を言って数日後にまた来ると告げ、発進する。
すぐに高度を1000mに上げ、時速140km相当で飛ぶ。
魔石の魔力はこちらで補充した後にシラハマにちょっと飛んだだけなのでまだまだ十分残量がある。
更に予備の魔石もたっぷり持っているので、エンジンが片方止まっても何とかなるな。
2時間飛んだところでちょうど昼頃になり、腹が減って来たので速度を時速40kmくらいに落として行きと同じ様に黄色い箱と缶コーヒーで軽食を摂る。
ちょっと食べ飽きて来たが、これが一番カロリーがあってお手軽なのでこういう時に便利である。
なにせ自衛隊駐屯地の中にあるコンビニでも隊員達に非常に人気があって常に大量在庫しているとか。
5分で食べ終えて再び速度を上げる。
4時間で王都まで着いた。
新記録だな。
しかし、前世の新幹線で500kmを移動すると2時間半で着く。
さすがにこれは越えたいな。
余計な事を考えそうになるのを振り払って王都の軍部工場の滑走路に降りる。
モーリスとエドモンドに機体を預け、モーリスの荷馬車に弾薬100発分を積み替える。
そのまま荷馬車を借りて情報局へ急ぐ。
入り口で誰何されるが身分証を見せるとそのまま通過させられる。
いつも思うが、この身分証本当に俺が持っていてもいいのか?
威力ありすぎだろ。
馬車停めに置いて馬丁に小銭を渡して荷物の監視を依頼し、デビッドと共に情報局へ急ぐ。
受付に行くと受付のお姉さんが俺が身分証を出す前に「ようこそいらっしゃいませ」とだけ言って奥に走って行く。
もう一人のお姉さんに受け付け横の待合室に案内されてお茶を出される。
デビッドも俺と一緒に座らせてお茶をもらう。
どうもまだ日本人の感覚が抜け切れておらず、護衛やメイドを後ろに立たせておくのに違和感があるのだ。
30分ほどして中将の部下の人が呼びに来る。
案内されて今度は中将の執務室に入る。
いや、執務室の隣の会議室だな。
20人くらいが座れるテーブルと壁の地図が目に付く。
そこに中将とその部下が6人待っていた。
「マーティン、おかえり。40ミル砲の件だよな。100発分は確保出来たのかい?」
「はい、それは確保して今ここに持って来ています。馬車停めの荷馬車に積んだままにしてありますので、後でそちらの担当の方に持って行って貰えませんでしょうか。」
「うむ。助かる。バリスタ部隊があれから毎日五月蠅いのだ。早く試させろとバリスタを放り出して40ミル砲をいじり回しているな。」
「今回の100発分は試供品としますのでお代は結構です。40ミル砲が採用になりましたら、ランバート領にご注文頂けますでしょうか。」
うん。
これで今回の中将に頼まれた主目的は済んだ。
次は海賊関係だな。




