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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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258◇3座機初長距離飛行

258◇3座機初長距離飛行

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次の日の6曜日、前世なら土曜日だが、今日は朝から出発の準備をしている。

前日にはランバート領に帰る事は叔父には言ってある。

昨日の伝書鳩便では父親から40ミル砲弾100発分の用意は出来ているとの回答も来ていた。


「では行ってきます。父上に渡す書類は確かにお預かりしました。真っ先に渡しますね。」


「マーティン、気をつけて行ってくれよ。君にはもの凄い負担をかけているから兄上には申しわけないんだよ。」


「いえ、好きでやっているのが半分以上なのでお気になさらずに。結構楽しんでますよ。」


朝食後にすぐに出発する。

叔父家族全員で見送ってくれた。


デビッドとザンドと共に俺馬車に乗って軍部工場に行く。

着くともうモーリスとエドモンドが格納庫の大扉を開けて待っていた。


「おはようさん。整備はばっちりだぜ。それにしても今日はいい天気だな。絶好の飛行日和という訳だ。」


「魔石はかなり余分目に積んでおいたからね。君の分として書類は出しておいたよ。」


「おはよう。2人ともありがとう。助かるよ。至れり尽くせりで感激だな。」


モーリスとエドモンドは俺の為なら当然だと言わんばかりに肩を組んでくる。

ちょっと酒臭いのは昨日飲んでいたな。


「そう言えばすっかり忘れていたけど、ストライカーハンマー鍛造機と魔道送風機ってどうなったの?」


「そんな事かい。アレはもう俺達の手を離れて軍部工場の工員だけで作れる様になってるんだ。依頼を受けていた奴はもう完成して少し前にランバート領に発送したところだぜ。」


「確か鍛造機が9台で、送風機あ7台だったよね。そんなに早く出来たんだ。」


「おうよ。工員連中の技量向上に並列で作らせたからな。試作分の鍛造機送風機に加えて工場用の鍛造機を先に1セット作ったんだ。それでそれ以降は作業効率が2倍になってな。送風機の工程も並列でやらせたんでこれもすぐだったな。」


「かなりの勢いで作ったんで、工場の魔石の在庫がかなり減って慌てて追加発注する事になったくらいだよ。3座機のエンジンにもそれなりに要るしね。」


それは助かる。

今回の20丁の情報局からの注文はまだ小手調べで、今後どんどん増産を要求されるだろうし。

更には40ミル砲の存在もある。

アレを増産する様になったらいよいよライセンス生産も考慮しとかないとならないかもな。

たぶん軍部工場が本気を出せばガーソン工房以上の生産能力はありそうだし。


一応「商業者新規商品保護登録」で製造権利は押さえてあるので無断で作られる事は無いだろうが、絶対数が必要になるとガーソン工房だけでは国軍全体に配備するには無理がある。

発火魔石の粉末化と調合もこれから指数関数的に増えているだろうし、いよいよ硝石を発見して本物の黒色火薬を作る必要も出て来るかもしれない。

点火機構をミスリル銅線から火口と火皿に変更する必要はあるが、どうせなら両方積んでおけば潰しも効く様になるしな。

ハンマーは元々発火魔法陣の板を挟む様になっているので、その代わりに火縄を挟むのも変更無しで無問題だ。

発火魔石粉使用時は尾栓を外した内側から火口の穴に頭の大きな釘を差し込んで外で軽く曲げておけば良いし、黒色火薬使用時は火口の釘を抜いてミスリル銅線はそのままでも問題無いし。

パーカッション式?

それも考えたが雷管を作るのが結構手間だし、前世の過去でも事故がかなりあったらしいんで今は使う気はない。

一応構造を書いた図を付けて申請だけはしてあるが。

いずれ薬莢式で後装銃や後装砲を作る時は雷管も作るけど、この世界なら発火魔石と発火魔法陣で代用出来る。

前世のハンマーで叩いて発火させる雷管よりもよっぽど安全な物が出来るだろう。

それまでは今の方式で十分だな。


準備は済んだので俺とデビッドは装備を身に付け、乗り込む用意をする。

ザンドは今日は一旦叔父宅に帰り、明日の夕方くらいにここに来て貰う事にした。

やっぱり日帰りは止めて向こうで一泊するのだ。

その方が色々と確認出来るしな。

ガーソンへの様々な提案もある。

シラハマの港町への40ミル砲配備の確認もしたいしな。


モーリスに借りた大型のバッグを後席にロープで縛り付けてシートベルトを掛けて締め上げる。

まぁこれで落ちないだろう。

いずれ複座1号機みたいにサイドボックスを作ってもらおう。

後席を囲うのはまだ先だ。

今は8分割魔力供給方式エンジンに加えて通常エンジンを2基追加してもらう方が先だしな。


今回試作機の風防が間に合わなかったので前席は風に対して剥き出しだ。

まぁ時速120km程度で飛ぶ予定なので前世のバイクツーリングで高速道路をネイキッドバイクで走る様なもんだ。

ヘルメットとゴーグル、防寒着を着ているのでこの季節なら全く問題無い。

真冬に飛べと言われたら断るが。

その為にも有効な風防は早めに作りたい。


装備の準備が出来たので制御ボックスの蓋を開けてゼンマイを巻き上げる。

2個あるのでデビッドにも手伝ってもらう。

これはパイロットが巻き上げる事にしてあるのでエドモンドは触らないでくれていた。


機体の準備が出来たのでデビッドと共に乗り込み、シートベルトを締める。

他の3人に合図してスロットルのロックを外してじわりと上げる。

格納庫の大扉を抜け、滑走路の風下にタキシングして行き、向きを変えて一旦停止する。

大声で3人に声を掛けて手を振り、スロットルを8割くらい開けた。


そこそこ加速して離陸する。

やはり双発の8割はもの足りないな。

30mくらいで機種を引き上げて30度くらいの角度で上昇するが、少々もどかしい。

スロットルを全開にしてみたらそこそこ速くなったが、何か歯がゆいものがある。

3座量産機の4発全開に慣れちゃったんでもどかしく感じるんだろうな。


まぁ4発化は今後のお楽しみに取っておいて、まずはランバート領の方向だ。

工場の縁をなぞる様に旋回しながら上昇し、1000mくらいで水平飛行に戻す。

スロットルを7割くらいに戻し、そこから2回くらい回って方向を定め、ランバート領に向けて発進した。


最初の10分くらいでデビッドと1分毎くらいに操縦を代わってみる。

俺前席、デビッド中間席だが、複座機のコントロールリングの切り替えみたいな事もせずに素直に交代出来る。

中間席からスロットルレバーへが少し遠いだけで、大人のデビッドの腕では難なく届いていた。

俺はまだ背が低いので中間席からは少し背伸びをしないと届かないのだ。

ちょっと悔しい。

父親も叔父も背は高いので俺も高くなる予定だが、兄が15歳の割りにはあまり高くないので杞憂しているところだ。

まぁ前世の従兄弟達は弟の方が背が高い場合が多かったのであまり心配はしていないが。


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