252◇3座機トレーニング
252◇3座機トレーニング
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魔法団の団長に捕まって夜遅くまで談義した翌日、朝から情報局の迎えが来ていた。
平日で本来なら登園日なんだが軍部の要請なので仕方がない。
まぁこちらも準備していたので無問題だ。
彼らの馬車に付いて俺達3人も俺馬車で王都に向かう。
軍部工場に行くとモーリスとエドモンドが格納庫の大扉を開けて待っていた。
その横にスカイコンドルが4人並んでいる。
装備もガチガチに固めてやる気満々だな。
「おはようございます。今日はスカイコンドルの4人ですね。」
「おはようございます。スカイコンドル代表の1番です。本日はこの4人に新型機の教習をよろしくお願いします。」
相変わらずスカイコンドルの面々は俺に対して番号で呼んでくれと言って来る。
最初に俺が番号呼びしたからだが、何ともやりにくい。
一度名前を教えてくれと言ったら、
「先生に対してそんな不遜な事は出来ません。我らスカイコンドル、先生に番号で呼ばれる事に喜びを感じております!」
なんて言いやがる。
仕方が無いので今回も番号呼びだ。
そもそも本名を教えてもらってないしな。
今日の教習はスカイコンドルが4人揃ったので1番から4番までに対して3座機の教習を行う。
どうも彼らの中で番号順に順列が出来てしまっているので、この順番で教習をやってほしいらしい。
なんとも面倒なことだ。
ちなみに5番と6番は国境沿いの駐屯地に置き去りで、今日も偵察飛行をしているらしい。
「大将もすっかり教官だな。こんだけ訓練生が居るとやりがいがあるだろう。」
「そうだな。俺達のボスでもあるからか、何か貫禄が出て来てないか?」
いやいや、何を言っているのかな?
俺っちまだ13歳の1年生だぜ。
確かに立場はそうなんだが、そうじゃないだろ。
もうちょっとぞんざいに扱ってくれてもいいんだよと言ったら全員で首を横に振りやがるの。
真面目なんだかふざけてるんだかよく分からない。
「まぁそんな戯言はさておいて、スカイコンドルの皆さんはまずは一人ずつ私の前の席に乗ってどんなものか体感してもらいます。」
早速1番が手を小さく挙げてのっそりと前に出る。
3座機の1号機が格納庫から出してあったので前席に座る様に言い、シートベルトを締める。
複座機よりも頑丈に作っているので若干操作が違うので説明する。
そのままの姿勢で操縦桿を握らせ、言葉で操縦の方法を教える。
「複座機では上昇下降右旋回左旋回を全てコントロールバーでやってましたが、3座機はその操作を今握っている操縦桿で行います。まず前後に倒してみてもらえますか。同時に後ろを振り返って尾翼に付いている舵を見てください。操縦桿を押すと水平に出ている舵の前が上に上がり、引くと舵の前が下がります。これは引くと舵の前が下がる事により舵の上面に風が当たり、舵が下向きに押されます。その結果、機首は上向きになり、上昇します。押すと逆の動作ですね。これを絶対に間違わないでください。持ち上げると上昇、押しつけると降下と覚えればいいです。」
混乱してるな。
必ずここで混乱するもんなんだな。
まぁかくいう俺も高校の時にラジコン機を始めて初めて知ったんだけどな。
1番はギッコンバッタンと後ろを振り返りながら操縦桿を前後に倒している。
水平にしたと思ったら素早く小刻みに前後に振ったりもしているな。
手応えを感じているのだろう。
あんな小さな動翼でコントロールバーの代わりになるのだろうかと思っていそうだな。
「では今度は右旋回をするよ。操縦桿を真ん中辺りにして丸い所をゆっくり右に回してみて。続けて左にも。その後尾翼を見ながらやてみて。」
1番は振り返って方向舵の動くのを何度も確認している。
方向舵は後ろがちょっと振れるだけなのでかなり舵面積は小さい。
これもその大きさでもむしろ効き過ぎるという事を告げ、心配は無いと安心させる。
次にスロットルレバーを説明する。
とりあえず前席と中間席のキルスイッチを両方オンにしてエンジンが動作しない様にする。
「複座機はエンジンは腕にコントロールリングを嵌めて魔力操作で出力を制御してましたよね。3座機ではその方式を全面的に変更し、この左手で操作するスロットルレバーに置き換えました。今はエンジンが動作しない様にしていますので実際に操作してみますね。」
スロットル部のロックキーを外し、4連のスロットルレバーを一番後ろから一番前までまとめて握って往復させる。
4本のワイヤーが引かれて後ろのエンジン周辺で小さくカチカチと音がする。
「これは後ろの4基のエンジンにそれぞれ同じ番号順に繋がっており、独立して制御出来ます。これは使い道があってこうしているので、今はそういうもんだと思って4本同時に操作してください。」
1番はおっかなびっくりスロットルレバーを前後に動かしている。
慣れていないと握りが甘く、4本揃って動かないが、やっている内にだんだん揃う様になってきた。
後ろを振り返っていたが、これは動く部分は見えないと言うとちょっと頭を掻いていた。
ヘルメット越しなので全く掻けていないんだが。
「これは4本まとめて操作しない時はどういう時でしょうか?」
当然の疑問だな。
後日説明するつもりだったが、聞かれたら答えない訳にはいかない。
「魔道ジェットエンジン内の魔石の消耗を抑えて飛ぶ場合に使います。例えば1と4を使って2と3はオフのままにすれば飛行能力は落ちますが、少し絞って飛べば4基使う場合と航続距離はほぼ同じか少し落ちる程度です。ならばその組み合わせを入れ替えれば航続距離は4基同時使用に対して約2倍近くになりますね。」
「なるほど。それは上手い使い方ですね。1基だけでも飛べるのでしょうか?」
「3人乗っての離陸は難しいですが、空中なら高度を維持して何とか飛べますね。飛んでいる時のエンジン故障時もこれで対応すれば、例えば海上を飛んでいる時も海に落ちずに済みますしね。」
そうなんだよ。
前世のB747などの4発機でも、3基止まっても残りの1基だけで飛び続けられる様になっていたしな。
3座機もテスト飛行で全加重時でも1基で飛び続けられるのは確認済みだ。
その為の独立制御系統だしな。




