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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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250◇団長異世界談義4

250◇団長異世界談義4

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「さて、次はオイルダンパーじゃな。これは油を使ってどうにかするのか?」


「今の魔法団仕様の馬車の足回りには皮の摩擦を利用したダンパーが付いていますよね?板バネのふらつきを抑制する。」


「そうじゃな。複数枚の板に皮を貼って、それ同士を擦りあわす事で適度な摩擦として板バネの抑制に使っておるのう。今でもそう不備は感じておらんが、これを改善するという事か?」


「そうですね。皮による摩擦ダンパーも有効ですが、長期間使用した場合の消耗や気温や湿度による効き具合の変動がありますよね?それを大幅に改善するのがオイルダンパーなんですよ。」


まずは単筒式だな。

構造はまんま水鉄砲だ。

水鉄砲の竹筒に水を入れて穴を塞ぎ、内径より少し小さいくらいの押し棒を出し入れするとかなりの抵抗になる。

その抵抗力で板バネが跳ね返って暴れるのを抑える。

前世の製品の様な高圧ガス室を設ける事は難しいので、容積変化分の圧力を逃がす副室でも付ければいいだろう。

紙に図を描き、団長に説明する。


「それなりに精度は要りそうじゃのう。しかも潤滑オイルの粘度が肝になるか。しかし原理は分かったぞ。この往復する板に一方通行の弁を付けて行きと帰りで効きを変えるのも理解した。なるほどのう。」


ピストンに開ける小穴であるオリフィスのサイズと数で縮み側の流量を決め、その上に付ける逆止弁で流量を絞る事でサスペンションの戻り側の動きを大きく抑える。

サスペンションの縮み側はそこそこスムーズに、戻り側はゆっくりと制御する事で車輪の暴れを防ぎ、乗り心地と操縦性を向上させるのだ。

内部の部品が擦れるのでオイルは徐々に汚れてくるが、まぁ最初の内はオイルは消耗品として頻繁に交換してもらおう。

オイルも化学的に合成できる様になればいいんだがな。


「部品精度が上がれば小型化も出来ますので、最終的には片手で持てる筒状の部品になりますね。車両が高速化すると車輪が受ける衝撃も高速化します。摩擦ダンパーでは摩擦量が一定なので衝撃を抑えきれずにサスペンションが底付きする場合もあります。オイルダンパーなら衝撃を受けるのが液体なので、高速になればなるほど抵抗力が増えてサスペンションの底付きを緩和します。これも液体を使うオイルダンパーのメリットになりますね。」


「ううむ。これはお主のおった世界では広く使われておったのか?様々な乗り物がこれ一つで賄えるとは思えんのじゃが。」


「基本的にはほぼ全ての乗り物がこれに準じた基本構造のオイルダンパーを持っています。但し、用途によっては基本構造を拡張してより大きな荷重に耐えられる様にしたり、複雑な振動のある物では魔道ゴーレムの様な制御機構を追加してダンパーとしての効き具合を運転中に変化させられるものもありましたね。」


副筒式、単筒式でリザーバタンク付き、電子制御ダンピングレート&バネレート調整タイプなど。

それ以外にも振動抑制用として内部のオリフィス径をアクチュエータで動的に制御する物もあったな。


もっと高度なダンパーになると、もはや油圧は使わずにアクチュエータで直接振動を抑える物もあった。

振動センサ、圧力センサ、位置センサを接続部に備え、それらにかかる荷重が一定の変化量になる様にアクチュエータの動力を制御する。

結果的に余分な振動は抑えられ、荒れ地を走ってもまるで空中を平行移動しているかの様になるとか。

まぁこの世界では魔道ゴーレムがあるんで、いずれは自動制御魔法陣なんかが出て来て可能になるかも。


「うむ。安定動作と小型化は魅力じゃのう。摩擦ダンパーは調整が面倒じゃったが、それから開放されると手間が減る。全部金属製なんで量産も出来るからこれも中実タイヤに続けてまず馬車に装着させようぞ。」


是非やっちゃってください。

自走車はまだまだ時間がかかるので、まずは馬車の乗り心地と走破性を向上させる事を第一の目標にしてくれるとありがたい。


コロ軸受

中実タイヤ

オイルダンパー

ドラムブレーキ


これらは今すぐにでも馬車に適用出来るので陸上輸送の高速化にも貢献出来る。

重たい荷馬車にこそ有効だな。

もちろんコストがかかるのでいかに大量生産して価格を下げるかが普及にかかっている。

そうだ、まず軍用に適用すればコスト面はある程度無視出来るな。

これは中将も巻き込んで「お国のため」という大義名分を勝ち取り、軍用馬車100%普及を目指そう。


いや、自分では作らないよ。

団長を焚きつけてまず試作を作ってもらい、俺が監修してブラッシュアップする。

中将を巻き込んで軍用馬車に適用してトライアルテストをしてもらい、有効性を見せつけて自前の軍部工場で作ってもらう様にする。

その後はその有用性を一般輸送用馬車にもアピールして周辺の街工場でも作れる様に指導し、一気に普及を図るのだ。


そうなるとゴムの原料となる植物魔物のガミューの幹の汁の量産が必要になるな。

今の状態は冒険者が魔の森に分け入り、ガミューの幹に斜めに傷を付けて汁の受け皿を取り付ける。

それを一晩置いて回収するという事を繰り返して取得している。

だがこれでは大量生産は難しい。

こうなると魔の森のゲートのすぐ外に大量のガミューを植林をして育成し、そこで量を稼ぐ必要があるな。

ガミューは魔物なので蔓で攻撃して来るが、動きはゆっくりなのでよっぽどのノロマでなければ捕まる事はない。

捕まってもいきなり捕食されることはなく、根元に押さえ込んで動けなくして殺し、自分の根の肥料にするのだ。

だから捕まっても数人で対処すれば割と簡単に振りほどける。

比較的安全な魔物と言える。

もちろん、魔の森の中で捕まると身動き出来なくなったところを他の魔物に襲われるので、決して侮る事は出来ないのだが。


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