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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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249/264

249◇団長異世界談義3

249◇団長異世界談義3

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さて、次はスポークホイールである。

これはどう説明したらよいものか。


「このスポークホイールというのも少し検討してみたんじゃが、かなり凝った構造になっておるのう。これは本当にここまで作らんとならないもんかいのう?」


「そうですね。スポークホイールの利点はとにかく車輪が軽量になる事です。サスペンションよりも地面に近い部品である車輪が軽量になると、乗り心地が向上するだけでなく高速走行時の地面の凹凸を車輪のスポークが僅かに伸びる事により衝撃を吸収します。これによって軸受や車体が受ける衝撃による消耗を抑えられます。」


「じゃが、ここに書いてある「中空タイヤ」とはなんぞや?」


「そうですね。スポークホイールはその中空タイヤとセットで使う事で真価を発揮します。今現在の魔法団の馬車の車輪の接地面には弾力性のある帯を巻いていますよね。あれをもっと進化させたものです。」


「車輪の接地面に巻いておるのは植物魔物のガミューの幹の汁を煮固めたものじゃな。硫黄の粉を混ぜて煮る事で弾力性が出る。更に炭の微粉末を加えると摩擦に対する耐久性が大幅に増すのう。」


へぇ、そこら辺りはもうやってるんだ。

ならゴムの精製からしなくても良いから話は速いな。


「まず、ガミュー汁に硫黄と炭微粉末を混ぜて固めた物を「ゴム」と呼ばせてもらいますね。「ゴム」は押すと凹んで変形するけど、離すと完全に元に戻る性質の物質の総称とします。弾力性があって滑りにくい性質がありますね。これを使って木輪の周囲に輪っか状に金型を使って一体で成形したゴムを「タイヤ」と呼ばせてもらいます。」


「それが先ほどの中空タイヤになるんじゃな。」


「そうです。中空タイヤとは、文字通り中空構造のタイヤです。逆に中身が同じゴムで詰まった「中実タイヤ」という物もあります。中空タイヤは理想ですが、製作にかなりの難易度がありますので先に「中実タイヤ」を作りたいと思います。」


「それは分かったからまず中空タイヤの概念を話してくれないか。気になるではないか。」


「あ、それもそうですね。では中空タイヤとは厚手の皮の様なゴムのタイヤで、そのままスポークホイールに嵌めても自走車の車重で潰れてしまいます。それを潰れなくするために中空の部分に薄手のゴムで作られた輪っか状の浮袋の様な物を詰めます。この浮袋には高圧の空気を押し込んで中空タイヤの内側に貼り付き、その圧力で自走車の車重を支えます。中空なので軽いですし、ある程度変形するので中身が詰まった中実タイヤよりは乗り心地が良くなります。でもこれをバランス良く仕上げるにはこの世界の技術では今のところ不可能ですね。」


そうなんだよ。

自動車用の中空タイヤは求められるスペックが厳しすぎて一から作るのはべらぼうに難しいんだよ。

構造としてはカーカス繊維の材質編み方、サイドウォール柔軟性と剛性の両立、トレッド面との剛性バランスなど。

それに中に入れるチューブとバルブ、バルブコアなどの構成部品も要るし。


「中空タイヤはそんなに難しいかや?まぁ中実タイヤの方が簡単ならそれで良いか。」


「その中実タイヤにしても金型は要りますね。2つの型を合わせて中にガミュー混合汁を注入し、温度を上げて硬化させます。後で冷やして金型を割って取り出せば一応使える物になりますね。あ、中実タイヤでも遠心力による膨張破断を防止する為に金型の中に予め細いワイヤーを編んだ輪っかを入れておく必要がありますね。」


「あいわかった。その方法で検討してみようぞ。時々部下を相談に行かせるから相手をしてくれよ。」


「もちろんです。これは馬車の木輪にも付けられますのでまずそこからでしょうね。」


中実タイヤはせいぜい馬車程度の速度域でしか使えないが、現代でもフォークリフトのタイヤや建機などに使われている。

中身が詰まっているので高荷重に耐え、パンクしない事がメリットだな。


「ではまず馬車用の木輪のサイズを統一してもらえますでしょうか。一つに統一出来ない場合でも数種類以内に。そして木輪そのものは外周の中央に溝を彫った専用品とし、そこに輪っか状の中実タイヤを嵌めてワイヤーなどで固定すれば今の馬車の環境も良くなると思いますね。」


「うむ。まず製作が困難そうな「すぽーくほいーる」は後回しにして、先にその「中実タイヤ」を実用化するか。」


「それが良いと思います。国で規格を決めて、今後は専用木輪と中実タイヤとのセットに対して費用補助などをしてやれば量産効果が出て数年後にはかなり価格も下がるでしょうし。何より、自走車の車輪として中実タイヤが有効になりますね。」


「それはすり減りにくいという事か?ああ、自走車は後輪を自分で回すから車輪の接地面にねじれの力がかかるんじゃのう。」


「そうなります。土の上ならまだしも、石畳の上なら自走車は木輪のままでは滑って前進しませんが、中実タイヤを嵌めておけばその弾力性と表面の粘着性で滑らすに進みますね。帯と違って耐久性もありますし。」


とりあえずゴムタイヤの量産工程を先に作る事だな。

馬車で普及させておけば大量生産のノウハウも溜まるだろうし、材料そのものも進化するだろう。


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