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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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247/262

247◇団長異世界談義

247◇団長異世界談義

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「さて、懸案の自走車じゃな。お主が最後っ屁の様に書き置きしおったこの紙じゃ。これを一つずつ図に描いて説明せい!」


面倒だが仕方が無いな。

まぁ元々時間があったら説明しようと思っていた内容だ。

説明して勝手に作ってくれるならそれはそれで良い事だ。


「ではまずステアリング機構についてですね。今魔法団で試作している「自走車」は方向を変える前輪が1輪ですが、それですと急に操作して曲がろうとすると斜めにつんのめったりすると思うんですよ。それを無くすには馬車の様に4輪で前輪の2輪が腕の力で左右に振れる様にする必要があると思います。」


図に描くが、馬車の前輪は左右に振れる様になってはいるが、車軸が左右一直線に連結されたままでその中間の縦軸を中心に丸ごと振れる構造だ。

車輪そのものは各輪の中心に軸受けがあり、車軸側が操舵機構に固定されている。

こんな巨大な構造物は馬に接続した牽引棒で振れるから操作出来ているのであって、人間が腕力で簡単に振れるものではない。

4人乗りくらいまでなら何とかなろうが、駅馬車、辻馬車の様な10人以上乗せる大型になると人力では完全に無理だ。

なので前輪を小径化して位置そのものは固定し、左右の前輪が各々その場で連動して振れる様にする。

左右の前輪はそれぞれが垂直軸のすぐ側にあって、この軸で左右に振れる様になっているので振るのにあまり力は要らない。

左右の前輪の軸受けは平行リンクで繋いで、その中間にラック&ピニオンギヤを付ける。

ラックギヤは平行リンクの連結棒であるタイロッドに固定し、ハンドルの延長軸に付けられたピニオンギヤでこれを左右に回すと平行リンクが左右に動いてタイヤも左右に振れる。


うーん、面倒くさい。

たかがラック&ピニオン式ステアリングの説明でこれだけの量がある。

図に描いて説明しているのだが、現物が無いとどうもイメージし辛い様だ。


「うーむ、どうもそこまで複雑な構造にするのかメリットが分かりにくいのう。馬車の様な前輪が一つの塊になってその塊ごと左右に振って方向を決めるのではまずいのか?」


「馬車くらいなら何とでもなるんですよ。自走車は今後大型化、高性能化していきますが、重量にして10タン、速度にして時速100キロムを超えると馬車の前輪では操縦が不可能になるんですよ。荷重と直進安定性の面で、馬車方式の前輪はせいぜい毎時30キロム程度までが限界ですね。」


大荷重を掛けた時の据え切りをすることを思うと、馬車方式は人力ではほぼ無理だろう。

高速になった時に馬車方式はセルフセンタリング効果が全く無いので、直進性が皆無で運転が非常に困難になる。


「まぁ今は納得出来ぬが、そんなに言うなら両方やって比較してみようぞ。その時はまたアドバイスをしてくれよな。」


「分かりました。設計図などを描かれましたら見せて貰えば何か言えるかもしれません。」


「さて、次はディファレンシャルギヤじゃったかのう。これはどういう物じゃ?」


「馬車は馬が曳くので馬車の車輪はどれも独立して空転していますよね。でも自走車は自分の後輪を何らかのエンジンで回して走ります。この時に直進はいいんですが、左右に曲がると後輪の左右の回転速度に差が出ようとしますよね?魔法団の自走車は今はどうやってるんですか?」


「後輪にある程度滑る様な材質を使ってその差を滑らせて吸収しとるのう。じゃが、重量が増えたり、坂道を登る時にはそれではいかん事は分かっておる。そこで後輪の左右の車輪の動力伝達に個別にベルトを掛けて、曲がる内側になる方のベルトを少し緩める事で滑らせて差を逃がす構造を研究しておる。これではいかんのか?」


「自走車が軽いうちはそれでもいいですが、重量が増えて来たり坂道を登る時に途中で引き返したりするとそれではまずいでしょう。実質的に外側の車輪にしか動力が伝わっていませんよね?」


「そうじゃのう。ではどうするのじゃ?」


「そこでディファレンシャルギヤ、差動ギヤとも言いますが、こんな構造のギヤボックスを作る必要があるんですよ。」


俺は典型的なディファレンシャルギヤの構造であるトラック用のリジッドタイプの後輪軸構造図を描く。

同時に板バネによるサスペンションも描き、ドライブシャフトも描く。

ちょっと複雑かなと思ったが、やるならこれくらいは一気にやって欲しい。

等速ジョイントも描いてエンジンとの接続とする。

まぁ最初はドライブシャフトとエンジンを一体化してそれごとスウィングさせてもいいんだが。

スクーターのユニットスイング式動力周りと同じだな。

これなら高度な工作精度と強度を要求する等速ジョイントを作らずに済む。


「これが差動ギヤです。以降は差動ギヤって言いますね。この縦方向から来ている軸はエンジンからの動力軸です。この傘状になっているギヤで動力の伝達向きを直角に曲げ、この差動ギヤの外輪のギヤで受けます。エンジンの動力はまずこの外輪に伝わるという事ですね。」


「それだとこの外輪の中にある4つのギヤは無駄にはならんか?ギヤの歯が噛み合っているだけで回っておらんではないか。」


「その回っていない時が直進時ですよ。それではハンドルを切って左に曲がりましょう。この4つのギヤの動きはどうですか?」


「ややっ!僅かに動きながら左右でお互いに牽制し合うとるな。そうか!それで左右の車輪の回転速度差が滑りなどのロス無く吸収出来るのか!」


「そうです。ちょとややこしいですし、工作精度や強度もそれなりに要りますが、これさえあればいくら大型化や高速化しても問題無いんですよ。」


実際にはデフロックやリミテッドスリップタイプなども必要になるんだが、まぁ最初の内は不要だろう。


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