241◇情報局と魔法団2
241◇情報局と魔法団2
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「むぅ、ちと質問してもいいか?ではその40ミル砲じゃったか?は、発火魔石粉を使って弾を撃ち出すのじゃな?有効射程はどれくらいになる?」
これも一応実績として自領の河原でで試射した結果がある。
「およそ200サブキロム(m)程度までは有効な威力と命中精度がありますね。その距離で海賊船の木製の舷側を撃ち抜きました。ただ、魔道銃と同じく、先込め式なので再装填に時間がかかるのが欠点です。シラハマの港町にはこれと同じ物が3門配備されていますので、魔道銃で牽制しながら足止めし、その間に3門が交互に撃てば海賊船なら十分に制圧出来ますね。」
「なるほど。撃ち出す物は鉛の塊かや?」
「そうですね。魔道銃の弾をそのまま大きくした純然たる鉛の塊です。発火魔石粉を仕込む事も考えましたが、40ミルキロム程度の大きさでは仕込んでも大して威力にならないと考え、純粋に弾の重量で貫通する事を優先させました。」
「エリミネーシャ団長、何か考え込んでおられる様だが、魔法団の魔道砲でしたか、それとはどこが違うのでしょうか?」
「うむ。何から何まで違う。まず発射の原理からして違う。儂の所の魔道砲は以前少し話した様に風の魔道具の高性能版を使って空気を圧縮し、それを砲身に一気に解放する事で砲弾を撃ち出す物じゃ。じゃが圧力には限界があって大きく弧を描く様に砲弾を撃ち上げて敵の頭上に落とすのが主な使い方じゃ。それに使う砲弾には爆発する薬剤と魔法陣を組み込み、直径も200ミルキロム程度はある。」
「それ、凄いですね。それがあればいかなる海賊船でも一発で仕留められますね。」
「いや、射程距離がそんなに取れぬ。せいぜい150サブキロム程度じゃな。撃ち上げて落とすから貫通力も無い。だが風の魔道具、魔道コンプレッサーは圧縮圧力を高精度に保てるので命中精度はそこそこあるな。横風に弱いのが弱点でもあるが。」
「それでも破裂する砲弾を撃ち込まれた方は大パニックじゃないですか。発射サイクルも速そうですし、そんなのが次々に上から降って来ると敵はあっと言う間に総崩れですね。」
「おだてても何も出んぞ。魔道砲の欠点は十分に把握しとる。射程距離が短いのが致命的で、150サブキロムまで近寄ると敵の弓兵の射程圏内じゃ。そんな所で満足に使える訳もなく、今まで数回しか実戦で使われておらん。」
「それでは発射に40ミル砲の様な発火魔石粉を使えばいいんではないですか?ああ、発射サイクルが遅いんでしたね。」
「それも考えた事があるんで発火魔石粉でも試してみた。しかし爆発する薬剤と魔法陣を組み込んだ砲弾が発火魔石粉の発射圧力に耐えきれん様で着弾時の不発が頻繁に起きるのじゃ。仕方なしに今は魔道コンプレッサーの改良に注力しとるところじゃな。」
まぁ魔道コンプレッサーがいくら高圧に出来ると言っても体積型の圧縮機では無いので自ずと限界はある。
たぶん10MPaも行ってないんじゃないかな?
その程度の圧力なら軽量な爆発薬剤+魔法陣の砲弾を撃ち出すのがせいぜいか。
前世の狩猟用の空気銃でプレチャージ式(圧力タンクを抱えている銃)のタイプはタンク内部圧力は20MPa程度だ。
これくらいあれば狩猟用の口径7mmくらいの鉛玉を秒速200m以上の速度で撃ち出せる。
但し、このタンクに空気を充填するコンプレッサーはピストン式の高圧タイプが必要で、充填にも結構時間がかかる。
口径7mm程度でここまでの時間がかかるのに、口径が200mmにもなる魔道砲なら10MPa程度でもどれくらいの能力が要るか。
ちょっと考えただけでもかなりのコストがかかると思う。
そうなると発射滓のメンテは必要で先込め式の不便さはあるが、発火魔石粉利用の方式がいかに優れているかが分かるな。
まぁこれもハンスが研究中の残滓が出ない混合物が出来れば無煙火薬的に使えるので一気に有利になるんだが。
そうなれば薬莢式の後装式ライフル砲も夢ではない。
確か前世のボフォース40mm機関砲は初速が毎秒800m以上あり、最大射程も4km以上あったはずだ。
機関砲と言うだけあってマシンガンの様に1分間に120発以上連続で撃てる。
動力は発射の反動利用式なので別途電力も必要無い。
サブマシンガンと原理は同じだな。
こんな兵器が1丁あったら世界がひっくり返るな。
正に無敵と言っても過言では無い威力を発揮する。
中型船に積めばどんな海賊でも敵国戦艦でも鎧袖一触だ。
まぁ今のこの世界の製造技術では夢物語だが。
魔法団方式の魔道砲で一つ気がついた事があるので団長に聞いてみる。
「魔法団の魔道砲ですが、多段式は試された事はありますでしょうか?魔道コンプレッサーを砲身の途中に木の枝の様に複数配置し、砲弾が通過するのに合わせて次々に圧力を解放するという構造の物ですが。」
前世のWW2時代にドイツがロンドンを直接砲撃する為に構想した多薬室砲だ。
枝状に広がる補助薬室がムカデの足の様に見える事からムカデ砲とも称されていた。
内容は発射時の砲身内圧力をずっと高圧のままに保つというシンプルな原理だ。
一般的は砲は発射時が一番砲身内圧力が高く、砲弾が砲身を進んでいくにつれ内部圧力は低下していく。
そこで砲身内の圧力を高いまま保っておけばその分初速が速くなる。
構造としては砲身内部の途中に補助ブースター用の穴を開け、砲弾が通過した直後に発火もしくは圧力解放すれば砲身内圧力は低下せず、砲弾はより加速されて砲口を出た時の初速が向上する。
ドイツの構想していた物はそれを多段でするものだ。
それと同じ事を魔道コンプレッサーを複数使う事でやる。
例えば砲身長5mとし、1m置きに3箇所ブースター的な魔道コンプレッサーを接続し、砲弾通過と同時に圧力解放すれば初速はかなり上がるのではないだろうか。
もちろん、タイミング合わせが非常にシビアになるが、そこは砲弾通過を何らかの魔法陣で検出して解放動作に繋げてください。
そこまで言うと団長は非常に興奮してフーフー言い出した。
ちょっと怖いんですが。




