235◇教官訓練
235◇教官訓練
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次の日の朝に昨日と同じ様に軍部工場に出かける。
ショーンは忙しそうなので今日は学園には迎えに行かなかった。
俺達が2日連続で行くとも言ってないしな。
「おはよう、今日もよろしくね。」
「おう、おはようさん。飛行試験は昨日で終わったんだろ?今日は何をするんだ?」
「3座機は今はまだ誰も操縦出来ないでしょ。操縦方法も複座機とかなり違うし。だからまず僕が人に教えるのに慣れる必要があると思うんだよ。それでデビッドを前席に乗せて飛行訓練をしようと思うんだ。」
「マーティン様!スカイコンドルにやらせるんじゃなかったんですか?!」
「いやー、複座機までならいざしらず、3座機は色々面倒なんだよ。そこで複座機の教官の経験もあるデビッドにまず慣れてもらおうと思ってね。デビッドならある程度訓練課程を試行錯誤しても聞いてくれるでしょ?いきなりスカイコンドルの連中に教える時に試行錯誤していると、端から見ていったい何をしてるんだと思われそうなんだよ。そうならない為の言わば僕自身の教官としての訓練だよね。」
「なるほど。分かりました。ひょっとして3座機を借りてランバート領まで飛ぼうと思ってません?私が操縦出来る様になれば交互に操縦すればノンストップで飛べますもんね。」
そうなんだよ。
スカイコンドルの連中はあくまで軍属なんで俺の好きに使えないが、デビッドが3座機の操縦をマスターしてくれれば我が領までひとっ飛びなのだ。
マイ・プレーンの複座1号機でも飛べるんだが、途中で1回魔石で魔力補充しないとならないから面倒なんだよな。
試作3座機はとりあえず俺専用に貸してもらおう。
「うん、それも考えに入っている。将来的にはザンドにも操縦して貰おうと思ってるんだよ。」
「え、私ですか?魔力操作が苦手ですのであの風を吹き出す奴が扱えませんが。」
「あ、そうか。ザンドには詳しく話してなかったね。そう言えばデビッドにも。複座機までは腕に嵌めたコントロールリングに自分の魔力を流して噴射の量を調整してたのは知ってるよね。でもそれだと魔力操作がある程度自在に出来ないと操縦出来ないって事になるんで、それを誰でも手動操作で操縦出来る様にしたのが3座機なんだよ。」
「どうやって操作するんです?かなり難しいんじゃないでしょうか。」
「いやいや、コントロールリングより簡単だよ。左手で操作するレバーがあって、それを前後に動かすだけだね。」
「それって危なくないんですか?魔力制御と違って手元が狂ったら墜落なんてしませんか?」
「それはまず無いと思っていいよ。噴射を全開にしても停止しても機体は暫くは安定して飛ぶ様に作ってあるんだ。だから焦らずに気が付いた時点でスロットルレバーを操作し直せばまず墜落はしないんだ。」
いざとなったらキルスイッチもあるしな。
全動力が途絶しても単なるグライダーになるんで滑空して着陸するだけだし。
4基のエンジンは4系統独立操作なんで4重の冗長性とも言える。
1基でも残っていれば飛び続けられるだけの推力はあるしな。
「ではまず先に座学からやろうか。」
俺はデビッドとザンド、モーリスとエドモンドを前にして説明を始める。
モーリスとエドモンドも出来る事なら飛んで欲しいので聞いてもらう事にしたのだ。
最初に紙に簡単な3座機の図を描き、それぞれの部位の名称を書き込む。
その下に操作方法と操作した場合の機体の反応も書く。
操縦桿の前後方向と回転方向で機体の向きを変える事を言う。
複座機までと一番違う所だな。
操縦桿の前後動で尾翼の昇降舵操作。
手前に引っ張って機首が上を向き上昇、向こうに押して機首が下を向いて下降する。
操縦桿の左右の回転で尾翼の方向舵操作。
右回しで機首が右に向いて右旋回、左回しで機首が左を向いて左旋回する。
スロットルレバーは4連になっていて、左から順番に1、2、3、4の番号が振られている。
エンジンにも左から順番に1、2、3、、4の番号が振られており、それぞれが連動する。
通常は全部をまとめて掴んで同時に操作する。
一番手前の位置でエンジンストップ、一番向こうに位置でエンジン全開。
訓練では常に4連で同じ位置で操作する。
このスロットルレバーは駐機時は全部手前に引いて安全の為ロックレバーを差し込んでおく事。
前輪は両足のペダルで向きを変える。
右足を踏み込むと前輪が右方向に向く。
左足を踏み込むと前輪が左方向を向く。
両足で同じくらい踏んで固定すると直進する。
両足で同時に強く踏むと前輪にブレーキがかかる。
スロットルレバーの後ろにはハンドブレーキがあり、駐機時は不用意に動かない様に引いておくこと。
うーん、説明しながら書きだしてみると結構な量がある。
これは座学はしても無駄っぽいな。
こんなもん言われただけで覚えられるものではない。
なので実際に乗せて飛んでみる事にした。
「とりあえず説明はこれくらいにして順番に飛んでみるよ。僕が中間の席に座るから、デビッドは前席、ザンドは後席に座ってよ。」
「俺達も飛ぶのかい?」
「あ、いやー、デビッドとザンドがちゃんと一人で飛べる様になってからにしたいんだよ。体験飛行なら先に1回やってもいいけど。」
「おう、そういう事ならぜひ乗せてもらって飛んでみたいな。エドモンドもそうだろ?」
「そうだね。体験飛行なら1回は飛んでみたいからモーリスと一緒に乗せて貰えないかな。」
「うん、じゃぁ1号機の中間席と後席に乗ってもらうよ。僕は前席で操縦するね。」
そういう事で訓練はデビッドとザンドを優先するが、体験だけでもという事でモーリスとエドモンドを遊覧飛行にご案内である。




