234◇スカンクワークス本業
234◇スカンクワークス本業
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「さて、あともう10分くらいで出来るから待っててくれないか。」
モーリスが油の付いたグローブで鼻を擦って黒くしながら言う。
エドモンドも頬に黒い筋が付いていた。
「ありがとう。待たせてもらうよ。」
俺は作業場にある椅子に座り、部屋の隅に置かれた40mm砲を見ながら情報局や魔法団にどう説明するか考える。
たぶん俺の言うアリバイは見透かされているだろう。
その場合、どうやって海賊を壊滅させたかを問い詰められる可能性がある。
ここは団長と中将を個人的に引き込んで秘密を共有すべきか?
だが、彼らも立場がある。
バレットM95の真の威力を知ったら豹変するかもしれない。
その場合、俺の立場はどうなる?
拘束されていい様に使われるか?
だが、俺の開発した数々の物の発展はどうする?
彼らも俺の協力無くしては十分な発展は望めないのは理解しているはずだ。
しかも40mm砲でも一応は報告書に書いた対応は可能なのだ。
何も無理して俺を拘束するなんでリスクを取らなくても総合的な国力はさほど変わらない。
何より俺がスキルで召喚する物は俺が死んだら補給が途絶えるのだ。
それくらいなら俺が新たに開発する銃砲類を進化させる方がよっぽど軍にとってもメリットがある。
「大将、出来たぜ。・・また何か良からぬ事を考えていたのか?」
「酷いなぁ。僕にも色々悩みはあるんだよ。この40ミル砲にしても軍部や魔法団にどうやって話を持って行くかによってはウチの領にとってデメリットになる場合もあるし。」
「まぁそれは分かるんだが、今はこいつを試すのを先にやってくれよ。さっき言われた事は十分に解決しているはずだ。」
そう言われて1号機を見ると、枕木を外されて床にタイヤが接地していた。
前輪もダブル、後輪も左右それぞれがダブルタイヤになっていた。
うん、これなら耐荷重が2倍で左右のバランスも取れるな。
前輪もダブルタイヤを両持ち構造にしてくれていた。
「ではこれで飛んでみるよ。ダミーウェイトをお願い。」
1号機の中座席と後部座席に大人4人がかりでウェイト100kg相当2個を積んで固定する。
タイヤは僅かに潰れたが、その状態で機体を押すと割と軽く動いた。
これなら余裕を持って離着陸出来るな。
工場の作業場まで1号機を持って来作業していたのでその場で乗り込んでスロットルを僅かに開け、ゆっくりと工場の裏の大きな扉から出る。
工場の横を通り、工場裏の格納庫になっている倉庫の横の道を通って滑走路に出る。
この距離を移動しても車輪はよれる気配は無かった。
うん、いい仕事してるな。
そのまま風下に移動し、機体を反転してスロットルを4基とも6割まで開ける。
前より少し軽快に加速し、25m程度で離陸した。
最初のはやはりシングルタイヤの変形分が走行抵抗になっていたみたいだ。
それからはかなり念入りに高荷重時の過渡テストをする。
色々なシチュエーションを想定し、イレギュラーな操作をしてみる。
急降下、急上昇、失速状態、錐もみ状態、全エンジン停止、左右端のみエンジン稼動、急角度の旋回、滑走路へのフライパスなど。
タッチアンドゴーもやってみたが、高荷重状態では結構難しいな。
着陸時とは違って速度が出たまま接地するのでショックがかなり大きい。
まぁ後輪である主脚は板バネの重ね合わせ構造なのでそれ自体が衝撃を吸収するし、皮によるフリクションダンパーも仕込んであるので強く接地してもいきなり跳ね返る事もない。
前輪もわずかながら板バネで浮かせてあるのでいきなりガツンとなる事もないだろう。
30分ほどかけ、1号機を念入りにテストする。
ん。
合格だな。
その間にもモーリスとエドモンドが弟子の手を借りながら残りの4機のタイヤを次々に全てダブルにしてくれた。
まだ時間は4時くらいなのでさっさと試験飛行を行う。
1機辺り30分くらいで念入りにテストし、4機とも合格と判定した。
これでやっと情報局に引き渡せるな。
5号機の飛行試験が終わった頃には日が暮れかかっていた。
今日はこれでおしまいだな。
続きは明日に行うと言って引き上げる。
モーリスとエドモンドは相変わらずここに住んでいて、食事も近くの定食屋の様な所から注文を取りに来るので実質工場から一歩も出ずに暮らせるらしい。
前世の在宅勤務で食事はデリバリーに頼むのと一緒だな。
さて、3座機は5機とも試験飛行も完了したが、そのまま情報部に引き渡しても飛べない。
誰も操縦出来ないからだ。
それで俺が直接指導する必要があるが、まずは複座機で飛び慣れているスカイコンドルの中から始めてもらおう。
6人全員がこちらに居るとは思えないが、1人でも居ればまず飛べる様にしよう。
幸い3座機は前席、中間席共に操縦桿が装備されているので俺が後ろに座って教習飛行が可能だ。
スロットルレバーだけはリンケージの関係で1系統しか無いが、ちょっと手を伸ばせば中間席からでも操作出来る位置にあるので十分操縦可能だ。
もちろんキルスイッチは両方の席の右側に同じ様にあるのでエンジンカットはどちらからでも出来る。
ただし、うっかり両方切ってしまった場合の再始動の為にエマージェンシー用の紐も付けてある。
これはキルスイッチの下の小箱の蓋を開ける事で操作可能だ。
これが無いとうっかり切られてそのまま復帰出来ないと墜落するからだな。
この紐を思いっきり引くと両方のキルスイッチが元に戻る様にしてある。
純粋にメカでスイッチレバーを戻す様にしてあるので前席が逆らうと無意味になるんだが。
そんな事をあれこれ考えていると、教習用の機体を作った方がいいかな?と思う。
前席の訓練生と中間席の教官。
全て教官の操作で訓練生の操作をオーバーライド出来る様にしておかないと、訓練生がパニクった場合に非常に危ない。
と言うか、単純に中間席から前席への操縦桿連動リンケージを専用レバー一つで切断出来る様にするだけでいいな。
訓練生がパニくって暴れ出したらリンケージレバーを操作して前席の操縦桿を無効にする。
魔道ジェットエンジンも内側の2基だけ中間席でダイレクトに操作出来る様にしておけば前席で暴走されても抑える事が出来る。
これはキルスイッチに対してもオーバーライドが必要だな。
うーん、面倒だがスカイコンドルのメンバーならまだしも、それ以降の一般兵の訓練時に訓練生に暴れられると教官もろとも落ちる場合があるだろう。
この教習用の仕様にしておけばいくら訓練生が狂っても教官の判断で全権を奪取して安全に着陸可能になるな。




