230◇スカンクミーティング
230◇スカンクミーティング
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担任のショーンとは明日の朝9時に学園の正門前で待ち合わせの約束する。
ショーンは学園から歩いて数分の所に住んでいるので馬車で拾って行くためだ。
昨日の夕方スカンクワークスの開発室に行ってみると、エドモンドとモーリスの部下が彼らに言われた部品を下請的に作っていた。
肝心の両名は未だに軍部工場で寝泊まりしているみたいだ。
まぁ軍からの3座機量産に加え、俺がストハン鍛造機、送風機を追加で発注したからな。
寝る間も惜しんでなんてことはしてないと思うが、当人達も重要な戦力なので学園との往復は無駄だということなのだろう。
放課後になり、学園から帰宅後に叔父に父親からの報告書の内容を伝える。
報告書自体は学長が持って行ってしまったので内容を直接見せる事は出来なかったが、ショーンの言う内容から俺の功績があった事を匂わせていると叔父に伝える。
それと合わせて直接軍部に行っているはずの報告書には口が酸っぱくなるほど俺の功績を書くなと父親に念押ししたので、たぶん書かれていないだろうとも言う。
その2通の内容が両方とも軍部に伝わっており、内容の違いを突っ込まれる可能性がある事も伝えておく。
最悪、俺のやったスキル召喚がバレると強制的に軍属にされかねないとも。
なので叔父達も俺からは何も聞いておらず、魔拳銃についても決して人に見せないと改めて約束してもらった。
次の日の朝はまず俺馬車で学園まで行ってショーンを拾い、引き返す途中で叔父宅に用意しておいたモーリスの荷馬車に分乗して王都を目指す。
王都に着いたら情報局には行かずに直接軍部工場に行く。
俺は軍部に絡んでいるとはいえ一般人だ。
いくら支援を受けているとはいえ、軍属では無いので情報局や魔法団は後回しだ。
まず自分の所属するスカンクワークスのミーティングを最優先するのはごく自然な事である。
既にスカンクワークスの第二の開発室っぽくなっている軍部工場の宿泊室だが、情報局の干渉もあまり無く、実にのびのびと開発や製作が進められている様だ。
まぁ材料関係と工場設備が使い放題というのも大きいと思うが。
「おはよう。ちょっと遅れたけど無事帰って来たよー。」
「おう!大将!待ちわびたぜ。3座機の製作は進んでいるんだが、試験飛行が出来ないんでみんなうずうずしてるぜ!」
「やぁマーティン。ボスが居ないとちょっとしたトラブルも解決するのにすごく時間がかかるんだ。君の自由な発想がどれだけ俺達に力を与えてくれているか身に染みたよ。」
「いやーホントに大変だったんだよ。とりあえず今回の立役者になるべく持って帰った物があるから荷馬車から降ろしてもいいかな。」
俺はモーリスの荷馬車の荷台を括ってあるロープを解き、覆いを取って分解状態の試作40mm砲を見せる。
2人とも砲身を見てこれが何かすぐに分かった様だ。
「こりゃー凄いもんだな。魔道銃の親方みたいなもんか?」
「そうだね。構造と発射原理は魔道銃と同じだよ。ただ撃ち出す弾の直径が2.5倍になっているだけだね。」
「直径が2.5倍と言えば体積は3乗で15倍以上じゃないか。という事は射程距離が同じなら威力も15倍か!すげぇな。」
「これ、ボスが魔法団から引っ張った魔道コンタクターが使われているあそこの魔道砲とはどう違うんだ?」
さすがにエドモンドは魔石専門だけあって実際の構造には若干うとい所があるな。
まぁ魔法団の魔道砲は口頭で概略を教えて貰っただけなんで分からないのも不思議ではない。
「そりゃー何から何まで全部違うぜ。大将のは発火魔石粉が発火魔法陣で着火して爆発する魔道銃と同じだ。魔法団の奴はお前さんが作っている魔道送風機をもっと多段にして圧力を高めてそれで弾を撃ち出すもんだぜ。圧力からしたら大将の奴の方が大きいんで弾の速さは速いだろうが、魔法団の方は弾の直径がもっと大きい気がするぜ。」
エドモンドの質問にはモーリスが答えてくれたが、技術的な優位性は一長一短と言ったところだ。
魔法団方式は装置が大掛かりになるが、何よりメリットは発射薬が不要という事だ。
高圧コンプレッサーで空気を圧縮してその力で撃ち出すだけなんで、必要なのは圧縮機の動力源だけだ。
前世では電気モーターやエンジン動力、今世ではウィンド魔道具の多段接続タイプだな。
弱点は火薬や発火魔石粉を使う程には高圧に出来ないので初速が遅い事だ。
それを補う為にある程度大口径化して弾頭に炸薬などを仕込む。
榴弾砲や迫撃砲と言われる分類の曲射砲だな。
打ち上げ花火の親戚みたいなもんだ。
それに対して発火魔石粉を使う魔道銃系統は前世の銃火器そのものだ。
今はまだ火縄銃や前装砲に毛が生えた程度で飛距離も大した事は無いが、順調に発展していくと前世の戦車砲や軍艦の主砲の様な低伸弾道の大砲になる。
いわゆるカノン砲と言う奴で弾頭は直接照準で発射し、主に徹甲弾で相手の装甲を弾頭の運動エネルギーと弾頭強度で撃ち抜くものだ。
単純にデカい狙撃銃みたいなもんだな。
まぁ戦車砲も軍艦の主砲も技術の進歩と共に砲身内にはライフリングが刻まれ、砲弾には炸薬と着弾信管が内蔵されて榴弾砲の領域を少しずつ浸食するのではあるが。
この世界の砲の歴史は始まったばかりである。
俺は礎を作っただけなので、後の進化は有志に任せるのである。
単に面倒なだけとも言うが。




