229◇学園復帰
229◇学園復帰
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前世やその他の世界からの俺以外の来訪者は居るのか居ないのかは王宮魔法団の団長に聞いてみよう。
あの人なら結構長い間王宮の中心近くに居ただろうから、その手の情報にも割と詳しいだろ。
叔父一家との夕食ではかなりの範囲であれこれ聞かれたが、海賊退治のくだりはちょっと気を使った。
40mm砲が大活躍をした様に慎重に表現を調整する。
射程距離や命中率に齟齬が出ない様に、慎重にイメトレしてきたとおりに話す。
親父殿と決めた事なので背景は対外的にはしっかりしているので、今後は全てこれで押し通すのだ。
明日からの学園生活や情報局や魔法団に対してのいいリハーサルになったな。
次の日の朝、いつもの様にアンナに起こされて着替えをし、朝食を摂る。
ルーフとリアにキャリアが装着されて厳つい見た目に改良された俺馬車改2にザンド、デビッドと共に乗り込んで学園に行く。
いつもより30分以上早く登園し、まず職員室に行って担任に挨拶をする。
「ショーン先生、おはようございます。マーティン・ランバート、ただ今から学園生活に復帰したいと思います。」
担任のショーンは昨日叔父から伝令を使った連絡を貰っていた様で、特に驚く様な事もなく接してくれた。
「大変だった様だね。海賊の襲撃が2回もあって、いずれも君が主導して退けた様だが被害は無かったのかい?」
「はい、領の皆の協力もあって無事海賊を撃退出来ました。私は部分的に協力しただけですよ。主力はランバート領の護衛部隊で、領兵を従えてうまく立ち回ってくれました。」
「うん、それは聞いているけど実は違うんだろう?君のお父上からの報告書が学園に来ているんだけど、君が居なかったらランバート領はどうなっていたか分からないと書いてあったね。」
何書いちゃってくれてるんですか父上!
俺が領都を出発したのと同時に報告書を乗せた特急便を王都に走らせていたらしい。
だいたい3日で到着するらしいので、俺が王都に着く2日前には職員室全員で回し読みしていたとか。
学園に報告するのは俺がここの生徒だからであり、新学期登園が遅れた理由を述べるためだ。
当然学長も見ている訳で、それを軍部にも伝えたとの事だ。
学園に伝える内容は俺が休みを延長したことがマイナス評価にならない様に俺の功績を匂わせたらしい。
この内容が軍部に行くとあちらの報告書と齟齬が出るがどうするんだろう?
親父殿は領主としての義務で、王国の軍部にも報告書を送っている。
これは国全体の防衛上の観点から各領の武力と防衛状況について逐一報告する義務があるからだ。
そういう事で、情報局と魔法団には既に俺が部分的に関与した事は伝わっているという事だな。
こちらには俺の評価が上がる事は書いていないだろう。
領都を出発する前に口が酸っぱくなるほど親父殿には注意したからな。
だがその分フェイク満載なのでどこまで欺し通せるかだ。
「ま、まぁ私のアイデアが都合良く当たったのは事実ですね。今後情報局のモーガン中将ともお話ししますが、ある程度より上の情報は軍機に当たりますので私もここでお話する訳にはいかないのですよ。」
「そ、そうか。軍の秘密に関係あるのなら今はあまり話さない方が良いな。そうだ、後でスカンクワークスの面々を集めてそこで色々聞かせてくれるかな?」
「はい、それなら問題はありません。では明日の7曜日に一度集まりませんか?」
俺は学園の休日にスカンクワークスのミーティングをする事にした。
場所は軍部工場のモーリスとエドモンドの住みかにになっている休憩室でいいだろう。
あそこなら情報局や魔法団も近いんでついでに回ってもいいしな。
その後久しぶりに授業に出る。
丸々2ヶ月ぶりだな。
まぁ前世の大学などは本当に丸2ヶ月夏休みがあったのでそれと思えばそこまで休んだ気にはならない。
追加の1ヶ月は休みなんかじゃなかったしな。
「やぁみんなおはよう。久しぶりだね。」
「やっと来たか。待ちくたびれたぞ、この野郎。」
「久しぶりだね。僕の顔は覚えているかい?」
「ランバート領の海賊襲来ってニュースになってたけど大丈夫だった?」
「撃退したんでしょ?海賊って財宝持ってたりするの?」
相変わらずの仲良し同級生4人組である。
ジャン、ジャック、ジャネット、スカーレットの順番で毎回聞かれるけど、何か不文律でもあるのかな?
どっちか言うとスカーレットが一番押しが強くて遠慮が無い様に思うんだが。
「何か失礼なことを考えてるでしょ?こっちを見ながらその顔つきはレディに対して失礼だとは思わない!?」
バレた?
エスパーか?
まぁ魔法がある世界だからありえるか?
いや、俺のいつもの癖が見透かされているだけか。
「失礼。久しぶりにレディの顔を見て改めて美人だなと思っただけさ。」
自分で言ってて背中が痒い。
ジャンもジャックも何とも言えない顔をしている。
頬をほんのり赤く染めたスカーレットの横っ腹をジャネットが肘でつついているな。
「まぁ冗談はさておいて、」
「なんですって!冗談ってどういうことよ!」
「まぁまぁ、いつものマーティンの何も考えてない放言じゃない。いちいち気にしてたら気が持たないわよ。さて授業授業っと。」
さすがジャネット、委員長タイプのまとめ方だな。
そのあとすぐに担任のショーンが入って来て出席を取る。
俺の順番で返事をした後、「彼は家庭の事情で遅れたが、周りの者は授業の遅れを取り戻す手助けをしてやって欲しい」と言う。
まぁ家庭の事情には違いは無いが、どっちかと言うと俺の事情に近いな。
全部俺主体で動いたし。
それをこちらで言う訳にもいかないので「そうなんだよー大変だったんだよー」と誤魔化す。
その後は4人組以外の同級生からも休み時間にあれこれ聞かれた。
ランバート領に海賊が出た事は王都と領都との間の物流に乗ってかなり前に王都に伝わっていた。
ただ、噂を運んで行っただけなので正確な情報は伝わっていない。
やれ海賊に襲われて港町が全滅の危機に瀕しただとか、勇敢な護衛部隊が突撃して海賊を蹴散らしたとか、領兵が包囲網を素早く展開して一網打尽にしたなどとか。
全部はずれなんだけどな。
だから俺は同級生相手には大胆に誤魔化す。
「かなりの規模の海賊が来たけど、我が領の優秀な護衛部隊と領兵部隊が新兵器を駆使して何とか海賊を撃退したんだよ。結構ぎりぎりの所で踏ん張って、かろうじて逆転して返り討ちにしたんだ。今後はもう海賊は来ないよ。」
40mm砲はまだ言うのは早いので新兵器で誤魔化す。
俺が関与したのは新兵器の大雑把なアイデアだけとした。
そのアイデアを領内の鍛冶屋チームが形にし、それを使って護衛部隊が海賊を攻撃した事だな。
新兵器も軍部が絡むので今は何も言えないとする。
全部大嘘なんだが、ランバート領の上層部ではこれを真実として公表しているんだけどな。




