224◇リボルバー1
224◇リボルバー1
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さて、あれから2日経ち、ガーソンから出来たとの連絡があった。
いつものメンバーでガーソン工房を訪れる。
「ガーソンおはよー。出来たって?」
「いらっしゃいマーディン様。一応満足な物が出来やしたね。実際に撃ってみないと分かりやせんが。」
手渡されるとずっしりと重い。
9mm拳銃の2倍くらいはありそうだ。
あれが800gちょいなので1.6kgといったところか。
まぁガーソンが必要以上に頑丈に作ったんだろうな。
強度に重量に関しては今後の課題だ。
銃口を見ると直径8cmくらいのぶっとい筒の中に6本の銃身が並んでいた。
前世のガトリングガンみたいだな。
筒の後ろを見ると6本の少し細い筒が出て抜け止めのEリング的な物で止まっている。
Eリングというか、コの字の板を嵌めて少し潰してあるな。
これはメンテ時に外すのに苦労しそうだ。
ハンマーを起こしてトリガーを引くが落ちない。
火蓋をずらすとハンマーが落ちてシリンダー後部の尾栓中央のミスリル銅線の接点を叩く。
ハンマーの先端には発火魔法陣を挟むクリップがあり、そこから短いミスリル銅板を通じてシリンダー側の接点に当たる様だ。
再度ハンマーを起こし、シリンダーを1ノッチ回してトリガーを引くとハンマーが落ちる。
トリガーを離すとハンマーが3mm程度リバウンドしてミスリル銅接点から離れる。
うん、考えられているな。
シリンダーの回転にはちゃんとクリック感があって、中間で止めてもバネできちんと発射位置まで回る。
それを6回繰り返すと全弾発射だ。
うん、なかなか良く出来てる。
火蓋と連動してトリガーをロックするなんで気が利いている。
ハンマーのトリガー連動でリバウンド動作するのも作って試している時に気付いたんだろうな。
あれが無いとシリンダーを回した瞬間に次弾が発射されるもんな。
しかもトリガーを引いたままだとシリンダーが回らない機構まで入っている。
インターロックになっていて非常に合理的だ。
今度はシリンダーを握って各銃身を銃口から押してみるとかなり力を加えたところで少し下がった。
うん、ちゃんとゴムリング状の物を入れてくれてるな。
これで発射時の最初の衝撃をいなしてくれるので銃全体の変形は少なくなるだろう。
「思っていた以上の出来だね。ありがとう。これで試射してみるよ。」
「銃身の厚みがあまり取れていないので威力は抑えめでお願いしやす。ひょっとしたら撃っている最中に裂けるかもしれませんので。」
「うん、それは分かっているよ。弾の大きさも小さいし、銃身の長さも短い。それに見合った発射薬を使うよ。」
「あ、それからこれがその銃に合う鉛玉の試作分でやす。砂型で手早く作ったんですが、実用時には魔道銃の「玉造り挟」と同じ様な工具を作りやすんでご心配なく。」
そうか、鉛玉の事をすっかり忘れていた。
「ありがとう。とりあえず作ってもらったこの弾で試射してみるよ。」
12mm弾が200発ほど入った箱を受け取り、ガーソンの工房を後にする。
早速ザンドとデビッドを伴って河原の射場に行く。
ストレージから的を出し、10m離れた場所にテーブルを出す。
同じくストレージから魔道銃に使う発火魔石粉のフラスコを出す。
このフラスコは日本の戦国時代にも使われていた定量の粉を出す便利容器だ。
これで慌ただしい戦場でも定量の火薬を装填出来る。
ハンス作の俺用のフラスコはスペシャル版で、ネジによって1回の装填量が調整出来る様になっている。
グラム相当の目盛りがあって、指針をそれに合わせるとその量に加減される。
それを魔道銃用の9グラムの位置から3グラムの位置までずらす。
最初は怖いしな。
まぁ10mの距離で直径50cmの的に当たり、貫通力テストの板を2枚抜ければ良しとしよう。
人体を貫通出来なくとも足に撃って数cmめり込むだけで十分だしな。
あまり威力を上げてもデメリットの方が大きいのでほどほどにしておこう。
各レンコンにフラスコから3グラムずつ発射薬を入れ、予め作っておいた12mm径のフェルトを詰める。
短い槊杖で押し込んで突き固め、12mmの鉛玉を6個入れる。
わずかに緩いので銃口を下にすると転がり落ちるな。
一旦出してハンマーで軽く叩いて僅かに直径を大きくする。
本当は真球からゆがむのであまり良くはないが、まあ距離10mなんで問題無いだろう。
今度は少し抵抗があって銃身の奥に収まった。
最初はちょっと怖いので的から5mの位置に折りたたみ椅子を2脚出して背中合わせとし、背もたれの間にグリップを挟んでロープでぐるぐる巻きにする。
照準器は無いのでシリンダーの上面をおよそで的に合わせておく。
トリガーに細い紐を結んで後ろの方に伸ばしておく。
ハンマーを起こし、火蓋を切って3人で斜め後ろの位置で盾に隠れる。
紐をそっと引くと乾いたパンという音と共に椅子が少し後ろにずれた。
的を見ると下端ギリギリの所に当たっていた。
まぁ5mなんで当たるだろ。
銃を確認すると発射した銃身には何も異常は見られなかった。
シリンダーもフレームも構造的には何も異常は無い。
手でシリンダーを回しても撃つ前と同じくスムーズに回る。
まぁ3gだもんな。
その後都度シリンダー回転とハンマー起こしをしながら5発紐を引いて撃ち、全く問題の無い事を確認した。
再度3gで再装填し、今度は俺が手に持って撃つ事にする。
以前ハンスに作ってもらったペットボトル水容器製のフェイスマスクを2重に重ねて顔に付け、乗馬用の革グローブを嵌める。
首周りにはコートを捻って前から回して掛けておいた。
革ジャケットも着ているので、これで暴発しても破片が体に食い込む事はないだろう。
2人には3mほど後ろに下がってもらい、的から10mの位置で構える。
照準器が無いので予想以上に狙いにくい。
何度か構え直し、シリンダーの上面の円筒の直線部分を見つけ、そこを的に向かって合わせてトリガーを引く。
乾いたパンという音がしたが、反動はあまり無い。
グァムで22LRをルガーMk1で撃った時みたいだな。
初弾はまるっきり的から外れた。
的の少し手前の地面に落ちたな。
シリンダーを回しながら3発撃つと、狙った所よりも下の同じ様な所に当たる。
どうやら初速が遅すぎる様だ。
何と、鉛玉が飛んで行くのが目視で見えた。
前世のエアソフトガンのBB弾の初速が80m毎秒くらいで弾道が見えていたので、それよりも少し速いくらいだ。
という事は100m毎秒ちょいという事か。
威力を試す為に貫通力テストの板をアース魔法で5枚作って板ホルダーも作って差し込む。
以前に貫通力テストで使ったアースシールド板だな。
1mくらいの距離からそれを撃ってみる。
厚さ1cmの割と脆い板が1枚割れただけだった。




