207◇40mm砲量産試作1
207◇40mm砲量産試作1
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「色々撃ってみて貫通する板の枚数は興味深いものがあったね。やはり魔強銃の威力はヤバい。」
「そうですね。40ミル砲でも10枚抜けなかったのにあっさり20枚貫通してまだ余裕がありそうでしたしね。」
「まぁ弾頭の重量は40ミル砲の方が圧倒的に重いから、これはこれで撃つ物によってはこっちの方が威力が出る場合もあるだろね。」
貫通させずに弾頭重量で押し潰したい時は40mm砲の方が適しているだろう。
例えば城壁の門扉を破壊する場合などは12.7mm弾だと貫通するだけで大きく破壊するには大量に撃ちこまないとならないが、40mm砲なら数発撃ち込めば人が通るくらいの穴なら開けられそうだ。
他にも石造りの建物を壊す場合も40mm砲の方が弾頭重量の威力で効果が高いだろうな。
「さて、一旦ガーソン工房に帰ってガーソンに報告しようか。とりあえずこの試作以外に3門作ってシラハマに送りたい。扱う人員は今回シラハマに行った護衛から6人、領兵から12人を選別してここで訓練し、2組に分けて1週間毎に交互に交代制にしようか。」
俺が好き勝手に言ってる様に見えるが、父親には既に全権を委任されている。
なにしろシラハマ防衛戦を2度に渡り成功させ、返す刀で海賊拠点まで潰した功績があるのだ。
父親からしたら「もう勝手にやって!」とでも言いたいくらいなのかもしれない。
さて、シラハマ現地には領兵は5人しか居ないので砲兵はこちらから派遣することになる。
1組につき発射責任者として護衛3人、実作業は領兵6人を配置して3門の40mm砲を扱う。
その中で1門当たり発射薬、弾込めに領兵2人、照準合わせと発射は護衛1人の合計3人で分担して砲撃すれば作業負担が軽減して効率が良くなるだろう。
素早く再装填して連射するにも人数は多いほど良いしな。
「将来的にはこの2組を指導者として、領兵の半数程度は40mm砲を扱える様にしたらいいと思うんだよ。まぁ発火魔石の消費量が半端ないのでどこまで訓練で発射出来るかは予算次第だけどね。」
今回撃った的周辺の割れた板を土に戻す作業をしながら3人と話す。
バレットM95と89式、テーブル類もストレージに仕舞う。
もちろん昼食の食べかすは粉砕魔法で証拠隠滅済みだ。
40mm砲を馬車の後ろに括って河原を後にする。
河原の的の後ろのバックストップはだいぶボロボロになって来たな。
近いうちに補修しよう。
「ガーソン帰ったよー。点検してー。」
ガーソン工房に帰って40mm砲に括ったロープを解き、4人で押して工房の横手勝手口から入る。
ガーソンは俺たちを見てちょっと笑っている。
俺たちはお互いを見て顔が煤けているのに気づき、同じように笑う。
使う発火魔石の量が魔道銃に比べて膨大なので、発射に伴い発火魔石粉に混入してある木炭の微粉末が舞い散って付着するのだ。
袖で顔を擦るとますます黒くなるので顔を洗いに行く。
うーん、黒色火薬ほどは酷くないが、結構汚れるな。
混ぜるモノを木炭から別な物に変える研究をハンスに頑張ってもらおう。
その間にガーソンは散々撃った40mm砲を隅々まで調べる。
外観はひび割れも欠損も無い事は俺たちも見ている。
ガーソンも一通り外観を見た後、尾栓部のくさびを抜いて閂を外し、尾栓を工具でねじって外す。
弟子と一緒のライトの魔法で砲口から照らして尾栓部から内面を覗く。
尾栓側からも照らして砲口から内面を覗く。
まず木炭のカスがこびりついているので先端が鋭くなっている木の棒を突っ込んでこそぎ落とす。
再装填する時にだんだん強く押し込まなければ奥まで入っていかなかったのでそこそこの量の黒いカスが落ちて来る。
有機溶剤の様なカスを溶かす液体があればいいんだが、魔法優先でケミカル分野が料理と薬草止まりのこの世界にあるわけない。
それを見ていたハンスが「俺がやってみる」と言って、ウォーター系魔法のウォーターカッターで攻めてみる。
前世の高圧洗浄機の様なもんだな。
あれをもうちょっと高圧にして薄い銅板くらいなら切れる威力がある。
鉄板は無理なので砲身の内面を痛めることもない。
だがこれでも内面の金属が見える程には綺麗にならない。
砲口からやっても尾栓側からやっても砲身の中間辺りまでウォータージェットの威力が届かないのだ。
続けてデビッドがクリーン系の魔法を使う。
尾栓のネジに薄い布を巻いて締めて砲口からウォーターで水を注ぎこむ。
砲身内部が水で一杯になったら砲口を手で塞いでクリーン系魔法のハードクリーンを掛ける。
途端に中でシュワーという音がし始めてデビッドが塞いでいる手の隙間から水が噴き出す。
どうやら微小な泡を発生させてそれが弾ける時の力で汚れを引き剥がすらしい。
完全に超音波洗浄機だな。
砲を傾けて中の水を出すとかなり黒くなっている。
これを10回くらい繰り返したら砲身内部に銀色の生地が見えて来た。
尾栓を抜いて光を当てるとだいたい綺麗になっていた。
その後は再びガーソンの出番だ。
40mm砲弾を模した治具代わりの木製の玉が付いた木の棒を砲口や尾栓から突っ込み、がたつきの度合で消耗や膨らみを見ている。
河原ではだいたい60発くらいは撃ったのでそこそこ消耗しているかと思ったが、撃つ前に見た時と殆ど差が分からないくらいだと言う。
やはり俺の指示した構造は間違いではなかった様だ。
そりゃそうだろ。
全部青銅で大砲を作ると砲身の内面まであまり丈夫ではない青銅の肌になる。
弾は鉛でもっと柔らかいが、発射の強い圧力で擦られるとそれなりに消耗するだろう。
クリーニング時にも柔らかい砲身内面を傷つけない様に気を使う必要がある。
それが俺が指示した鍛造で薄い砲身スリーブを作り、それの寸法精度が出た後で青銅で鋳造するという方法なら発射の時の負荷で砲身内面が消耗するのは最小限で済む。
焼き入れをした鋼なので少々の摩耗負荷には耐えるだろう。
強い内圧も外側に巻かれた青銅の分厚い鋳造部がしっかりと吸収してくれ、鋼の砲身スリーブが割れたり変形するのを防ぐ。
うん、もうこれでいいや。
さっさと量産しよう。




