203◇40mm砲2
203◇40mm砲2
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次の日に再びガーソン工房を訪れ、昨日の続きをする。
まだ余熱が残る砂型を割り、鋳造物を取り出す。
湯口を切り、合わせ目のバリを削り、砲身内に詰めていた土も除去する。
砲身内部の確認と仕上げをして尾栓を閉める。
尾栓の後ろには抜け止めの閂を差し込み、くさびを打ち込んで圧力に耐える様にする。
これで尾栓のネジが内圧に負けて吹っ飛ぶ事は無いだろう。
次に砲身に分厚い鉄板で作った保持具とトラニオンを取り付ける。
トラニオンとは砲身の砲口を上下させる回転軸の事だ。
重量の重心位置に軸が来る様にし、軽く回転出来る事を確認する。
この軸を台座の軸受け部に嵌め込み、ネジ送りで精密に上下動を制限出来る機構を追加する。
照星と照門も付ける。
とりあえず暫定なんで薄い鉄板を砲身に巻いて端部を折り曲げて照星代わりにする。
照門も同様に薄い鉄板を巻き、上部にそれとは別の薄い鉄板を立てて上にVノッチを切る。
この板を手で曲げる事でとりあえず調整とする。
本チャン時にはきちんとしたモノを付けよう。
昨日ハンスには発火魔石の用意をして貰っていたので今日は同行している。
発火魔石の調合は木炭と5対5のままだ。
とりあえず実績のある魔道銃と同じにしておこう。
ガーソンには再度無理を言って木で5連の40mm砲弾の雄型を作ってもらい、それを砂型に埋めて40mm砲弾を作る。
最初は巣が出来たり形がいびつだったりしたが、すぐに安定して作れる様になった。
それを弟子達が総出でヤスリがけをして真球にしてくれる。
試しに尾栓を抜いた砲身に押し込んでみたら僅かに引っかかる程度でスムーズに押し込める。
どんだけ手ノギスなんだよ。
100個作ってもらってとりあえず試射分とする。
完成した試作40mm砲を試射しに行く。
外で待っていたハンス、ザンド、デビッドと共に俺馬車の後ろに40mm砲の台座の尾輪上に付けた丸環金具にロープを掛け、尾輪を浮かした状態で馬車の後部キャリアに括る。
これで牽引出来るはずだ。
但しサスペンションが無いので速度を上げると破損するかもしれないな。
ザンドが御者をし、デビッドが40mm砲の後ろを歩く。
俺とハンスは馬車の中だ。
時速5km程度でゆっくりと曳いていつもの練兵場の向こうの河原試射場に行く。
的のバックストップは少し縦横の寸法を大きくしておくくらいでそれほど補強はしていない。
いくらなんでも12.7mmよりは威力は無いだろ。
いつもの的を2個並べて置く。
まず100m離れた石積の目印の所まで下がって撃ってみる。
閂と尾栓を抜いてボアサイトで的に狙いを付ける。
その位置でブレーキをかけて固定し、上下調整ハンドルを回して的の中心が砲身の中心に見える様にする。
砲身の上に付けた簡易サイトをそれに合わせて曲げる。
ボアサイトと同じ軸線にしておけば後で修正は容易になる。
尾栓を締めて閂とくさびを打ち込んで固定し、砲口から発火魔石を入れる。
まず空砲を撃つべく、発火魔石の量は魔道銃の10倍の90gを燃え残りの少ない紙に包んで押し込む。
弾の直径16mmの魔道銃の2.5倍の40mm弾なので重量は3乗して15倍程度になるが、用心の為まずは10倍から始める。
予め紙には発火魔石の粉を両面に塗して糊で固定してあるので、ミスリル線越しの発火魔法陣の魔力は十分伝わる。
その上から厚めのフェルトを押し込み、十分に突き固める。
発火魔法陣を40mm砲の尾栓の上に出ているミスリル線に触れされると発射されるのだが、撃発機構をまだ付けていないのでどうするか一瞬悩む。
ミスリル線の少し後ろに砲尾をロープで括った位置決めを作り、それに別の長いロープを潜らせる。
そのロープの先に発火魔法陣を書いた紙を括っておき、ロープを引くと発火魔法陣がミスリル線に触れる様に細工した。
これで比較的安全に撃発出来るな。
40mm砲の斜め後ろ5mくらいの位置に護衛用の頑丈な盾を4枚重ねて防護とし、デビッドとハンスに砲口にウィンドエバキュレーターを発動してもらう。
念のために全員脱脂綿で作った効果の高い耳栓をする。
大声で話せば隣に居る人と会話が出来る程度なので戦闘には使えないが、遮音耳栓としての効果は十分だ。
空砲だが砲口をある程度的の方に向けてロープを引いた。
空気を揺るがす轟音が響く。
二重にウィンドエバキュレーターを掛けてもらっているが、かなりの発射音だな。
ひょっとしたら真空の範囲が狭すぎるのかもしれない。
とりあえず砲を確認するが、さすがに空砲なのでどこも損傷していない。
反動で僅かに下がったくらいだな。
次に鉛玉を詰めて発射してみる。
発火魔石の量は同じく魔道銃の10倍相当の90gだ。
尾輪を少しずつ動かす事で方向を決めてブレーキを掛け、上下調整ハンドルを回して的の上端に簡易サイトの狙いが来る様にする。
全員で盾の陰に隠れてロープを引くと先ほどよりも少しくぐもった感じの発射音になった。
発射と同時に40m砲の乗った台車が10cmほど後ずさる。
反動は大したことは無いな。
砲弾の重量は口径と鉛の比重から33.5×11.3で約380gとなる。
魔道銃の16mm弾が約24gなので15倍だ。
まぁ初速がどうなっているかなんだが、この世界に弾速計なんてものは無いので的に木の板を置いてそれに対する貫通力で見るしかない。
ガーソンに分けてもらった50cm四方くらいの様々な厚みの木の板が10枚ほどあるが、これに当てる事から始めないとならない。
初弾は的の下の地面に当たった様で、だいぶえぐれていた。
まずは直径1mの的に当たらないと話にならない。
あの発射条件で100mで1.5mほどドロップする事が分かったので次弾を込めて的の中心から1.5m上を狙ってみる。
照準器はボアサイトに合わせてあるのでこれはいじらず、的の上の後ろのバックストップの模様で狙いを付ける。
双眼鏡の測距用の目盛りを流用して的の直径1mから換算して狙う模様を決める。
そこに上下調整ハンドルを回して照準器を合わせる。
次弾を発射すると的の中心から30cmほど下に当たった。
右に20cmほどずれている。
それを補正量として記録しておき、更に試射を続ける。
10発撃った頃には的の中心から直径30cmくらいの中に入る様になった。
これなら実用的な精度が出ていると言えるな。




