200◇夏休みアゲイン
200◇夏休みアゲイン
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夕食時には父親から今回の海賊討伐のあらましが家族に説明される。
俺の事はうまいことごまかして、部隊の助けを少しした程度に言ってくれた。
主力は魔法組3人とハンス、そして護衛のマークを中心とした10人だ。
領兵20人も港町の監視と海賊拠点での捕縛に大きな働きをしてくれた。
総勢34人の功績だな。
俺はそのオマケ扱いだ。
少しアイデアを出してそれを実行する方法を考えた程度になっている。
その説明を聞いて母親、兄、妹はなんとなく納得する。
兄も俺が実戦に出ていなくてアイデアだけ出したと思ってくれた様だ。
実際、今回の作戦で俺は実戦では弾を撃っていない。
サポートに徹することで今後の部隊の戦力の向上に寄与したかたちだな。
強烈な実戦訓練も出来たし。
さて、色々働かされたが、夏期休暇はあとわずかだ。
もう屋敷から動かずのんびりしよう。
作戦中に思いついた数々のアイデアを熟成させたいしな。
王都のエドモンドやモーリス、魔法団ののじゃエルフ団長など食いつきそうな御仁も居るしな。
魔道ウィンドエバキュレーター
魔道船外機
マジコン(魔道アクチュエータ、エスケープメント)
40mm砲
それと、本当に王都-ランバート領間の定期航空航路を開始して欲しい。
量産化した3座機を1機それに適用し、1日置きに連絡便として往復する。
奇数日は王都-ランバート領。
偶数日はランバート領-王都。
こういう風にすれば操縦者の疲労も少ないだろうし、機体の消耗も魔石の消費も少なくなる。
伝書鳩便よりも送れる物量が増えるので連絡も密に出来るし。
何より魔道銃の納品にも使える。
出来ただけ即日発送で、産地直送だな。
なにより俺自身がこの便を使って王都と領都の間を往復出来ることが一番大きい。
まるでビジネスジェットを駆使するビジネスマンみたいだな。
あ、そう言えば3座機の操縦訓練がまだだった。
王都に帰ったら中将が色々言って来るだろうし、団長もやきもきが限度を超えて俺を拉致するかもしれない。
本当に第三の勢力を作らないとならないかな。
そんな事をベッドに寝転がってぐだぐだ考えているといつの間にか寝ていた。
やはり疲れていたんだろうな。
こんな時はまだ13歳だという未成熟なところを痛感させられる。
次の日は朝から屋敷は騒然としていた。
海賊を壊滅させた事はランバート領としても大きな事件だし。
父親は公式発表に向かって声明文を作ると言っていたな。
俺の部屋を訪ねてどう誤魔化すかの意見を聞きに来ていた。
そこで俺は以前より思っていた今後の計画に絡めて公表するネタを父親に言う。
「父上、今回の私のスキルで出した2種類の銃器はこの世界の技術レベルから乖離しています。同じレベルの物を作ろうとしてもそれに必要な技術が成熟するまでに50年はかかるでしょう。なので少し異なる方向で似たような結果をだせる物を作りたいと思います。今回の発表には私が考えている内容をさも試作品は開発済みだとして出せば、1年以内くらいには実際に作れると思いますので嘘にはならないかと。」
もちろん、2種類の銃器とはバレットM95こと魔強銃、89式小銃こと魔長銃の事だ。
これの代わりに使い方次第では同じ様な効果を出せる銃器を作る。
ぶっちゃけ40mm砲だな。
これならある程度砲身を長くすれば初速も上がって、弾丸の重量で海賊船の舷側くらいなら抜ける様になるだろう。
初速が1.5倍、弾丸の重量が魔道銃の16mm口径の2.5倍とすると銃口エネルギーは実に23倍にもなる。
初速が同じでも15倍だ。
これならどんな木造船でも当たれば耐えられるものではない。
まぁ海賊船は舷側にトゲ付きの装甲板を付けているが、喫水線下は木のままだ。
俺達が狙うのはそこなのでほぼ確実に貫いて浸水させられる。
40mm「砲」なので見た目と運用方法は前世の車輪付き大砲と同じだな。
人力で転がしたり馬車で牽引出来る様にしておけば砲自体の重量はさほど問題にならない。
なので製造方法が容易な鋳造で作る。
一応鉄が溶ける温度まで上げられる炉は既にある様なのでそれを使えば製作可能だ。
魔法団の魔道砲もそれを使って鋳造で作っているらしい。
団長がオフレコと言いながらも自慢そうに言っていたな。
「それで、どの様な代案があるのだ?」
「現在領内で量産している魔道銃の発展版になります。具体的には大型化ですね。弾の大きさを今の2.5倍くらいにし、銃身長も1.5倍程度にします。これにより必要な銃の強度がかなり上がりますので人の手では持てなくなりますので、銃身に直接車輪を付けて人力で転がして移動する用にします。また、馬車の後ろに着けて引けばそのまま長距離移動も出来ます。」
「重量はどれくらいになるのだ?あとガーソンの工房で作れるのか?」
「十分作れると思います。寸法はかなり大きくなりますが、基本的に鋳造で作りますので鋳型を作って溶けた鉄を流し込めばそれで主要な部品は出来たことになります。重量はまだ試算していませんが、300サブタン(kg)程度にはなると思います。」
「それは車輪無しでは到底移動出来ぬな。まぁそれであの威力に近い効果が出るのなら異論は無い。早速作ってくれぬか?」
「今回の海賊騒動で夏期休暇が10日ほど潰れました。学園にはもうそろそろこちらを出発しないと新学期に間に合いませんが、私だけ登校を遅らせてもよろしいでしょうか?鳩瓶で叔父上に連絡し、学園には伝えていただく様にしたいと思います。」
「ううむ、それは仕方が無いな。うむ、許可しよう。連絡は自分でするか?」
「はい、父上の許可もいただいたという事も含めて叔父上に送りたいと思います。」
そうなんだよな。
兄は明日王都に向けて出発と言っているし、俺もカレンダーは見ているので忘れていた訳ではないんだけどね。
だけどこんだけ波瀾万丈の出来事に巻き込まれたら学園なんかどうでも良くなって来る気持ちも分かってくれるだろうか。
しかもその中心にいつも俺が居るってのが逃れられない運命みたいなもんだし。




