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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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197◇拠点制圧

197◇拠点制圧

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海賊船3隻を撃滅した翌日、中型のバナナ船を借りて海賊拠点の襲撃に行く予定にしていた。

しかし昨日の夕方漁船持ちの漁師と交渉し、対価を払う事で中型の漁船を2隻貸して貰える事になった。

もちろん操船とオール漕ぎはその船の漁師達自身が行うのでその人件費込みだ。

俺がちょっと気前よく出したのもある。


この世界の漁船は構造としては海賊船と似ている。

左右にオールが5本ずつ備えられ、かけ声と共に漕ぐ。

漁船は太鼓は積まないらしい。

湾を出たら帆を上げて外海に出て漁をする。

複数の船で帆走しながら網を引いて底引きに近い方法で魚を捕っているとか。

もちろん海賊船の様な装甲板は付けていないし、構造もそこまで頑丈ではない。

だがその分空荷の状態では軽く、オール漕ぎでもそこそこの速度が出るらしい。


翌日の朝8時に埠頭に集合として俺達5人、護衛10人、領兵10人の合計25人が出撃することにする。

領兵の残り10人は港の守備だな。

倉庫に閉じ込めた海賊の事もあるし、突発的な事件発生もあるのでこれくらいは要るだろう。


9時になると漁師が漁船2隻の準備完了と言ってくる。

俺達5人と護衛10人で1隻。

もう1隻に領兵10人が乗る。

漁船には船長以下それぞれ8人が乗るらしい。

オールの本数より少ないが、船が軽いのでその人数で十分扱えるそうだ。

漁師の船長に海賊捕虜に吐かせた拠点位置を書き込んだ海図を渡し、目標としてもらう。

距離にしておよそ西方に30km程度なので2時間もあれば着くらしい。

湾を出て帆走にすれば時速15km程度は出るのだろう。

漁師達は湾を出て1時間くらいまでの範囲を漁場としていたので海賊には遭遇した事は無かったとのこと。

たぶん海賊側も小舟で斥候を出して数の多い漁船には関わらない様にしていたんだろうな。

海賊が漁船を襲っても何も得るものが無いし。


早速出港するが、湾を出た頃には既に数人船酔いになっていた。

これから外海になるともっと揺れるから今からこれでは先が思いやられる。

俺も僅かに酔い気味だが、生唾を飲み込んで何とか耐えている。

仕方ないのでランク1装備の医薬品キットを召喚し、自衛隊定番の強力な酔い止め薬を全員に配る。

カプセルタイプで1回飲めば1日中効くという効能なので問題無いと思う。

本当なら乗る前に飲むのが効果的と書かれていたが、まだ出航して20分も経っていないので大丈夫だろう。

もちろん俺も飲む。


もう1隻の漁船を近づけて領兵に聞くと、そちらでも数人が船酔いに苦しんでいるとの事だった。

そこで医薬品キットを再度召喚し、強力な酔い止め薬を領兵全員に配る。

外海で船同士を接舷するのはリスクが大きいので長い釣り竿の先に酔い止め薬を結びつけ、少し離れて渡した。


暫くすると徐々に効き始め、だいぶ楽になった。

酔いの酷い者も少し落ち着いたみたいだ。

領兵の方も楽になった様だ。

双眼鏡で見るとうなだれていたのが顔を上げて会話している。

漁師達はこれを不思議そうに見ていたが。

まぁ彼らに船酔いはありえないだろうしな。


しかし1時間も進むと海上には海以外何も見えなくなる。

すぐに水平線を超えるのはひょっとして惑星の直径が地球より小さいのかもしれない。

こんな状態で俺達だけでバナナ船を借りて海賊拠点まで行こうとしてたのかと思うと今更ながら恐怖を感じた。

これってひとつ間違うと遭難するな。

たとえコンパスと海図があっても操船方法もろくに知らず、動力が手漕ぎ船の牽引だけなんて無謀も過ぎるというものだ。

クルー付き漁船を借りられた事はもの凄い安心感があるな。


2時間過ぎる頃に島が見えて来た。

群島で5個ほどの島から構成されている。

それの一番西の端の小島が海賊拠点だ。

北側から回り込んで西端を目指す。

しばらく行くと海賊船が係留されているのが見えてきた。

昨日沈めた3隻と同じ形状だな。

双眼鏡で見るとトゲ付きの装甲板と船首の投石器も見える。


俺達5人は漁船の船縁に狙撃セットを出して並べる。

この世界では右舷接岸が普通みたいなので並べるのは右舷側だ。

接岸してもそこそこ揺れるのでこれで本当に当てられるのか不安になる。

まあそこは5人居るので数の暴力で潰していこう。


護衛達も89式に装填済みマガジンを挿して準備をしている。

左脇下の9mm拳銃にも装填済みマガジンを挿して初弾装填し、デコッキングしてハンマーを戻す。


更に近づくと海賊からもこちらの漁船が見えたみたいで、小舟でこちらを臨検しに来る。

俺達は漁船の舷側に隠れて海賊からは見えない様にしている。


「お前達は何者だ!ここは独立した領地だぞ!さっさと引き返せ!」


海賊が叫ぶが、マークが上着を脱いで腕まくりをし、漁師に化けて答える。


「いやー、海図が間違っていましてね。こっちに来て島があったんで水の補給をさせてもらおうと思ったんですよ。お金は払うので水を少し分けてもらえませんかねぇ。」


「そんなことは知らん!とにかくこのまま引き返せ!さもないとあの船で攻撃するぞ!」


海賊は後ろの海賊船を指さす。

しかし帆は下ろしてオールも全部上げているし、船上に殆ど人影も無い。

到底すぐに動ける様には見えない。

そこでマークが俺にお伺いをたてに来る。


「小舟と海賊船は無視。この漁船だけ接岸し、護衛10人で突撃。出来るだけ殺さずに足を撃て。相手が飛び道具を持って狙って来たら殺傷。人質が居たら出来るだけ保護。」


「了解しました。小舟をあしらいつつ強引に接岸します。」


マークは小舟の海賊4人を適当にあしらいながら漁船の船長に接岸する様に指示する。

海賊船の横にシラハマで沈没した3隻のであろう停泊場があるのでそこを目指す。

オールが出され、ゆっくりと漕いで進む。

海賊が何かわめいているが、マークがのらりくらりと躱して言い訳をしている。

もう何日も水を飲んでいないとか、お金はたっぷりあるから水を売ってくれとか、食料もあれば売って欲しいなど。


港の奥にある複数の建物に俺達5人の潜む舷側が向く様に接岸し、舫い綱を岸壁の柱に投げて引き寄せる。

木のタラップを岸壁に渡してマークを先頭に護衛10人が上陸して走り出す。

俺達5人も舷側から顔を出してバレットM95を撃つ準備をする。

念のため89式も5人分出して装填済みマガジンを挿し、床に置いておく。


暫くすると建物の付近で銃声がし始める。

怒声が響き、物が壊れる様な音がする。

それと同時に先ほど小舟に乗っていた海賊と、海賊船に乗っていた数人が上陸してこちらにマチェットの様な山刀を持って走って来る。

魔法組3人が89式に持ち替え、小舟の4人と海賊船から降りた3人の足を撃って転がす。

建物の方も5分もすると音が収まる。

それから護衛が建物の周囲を2人組みで確認し始める。

裏手の方の建物に行った護衛が「人質あり!」と叫ぶ。

とりあえず人質はそのままとし、更に捜索を続ける。

島は建物のある後ろが崖になっていて、そこから湧き水が出ていた。

徒歩で崖を越える事は難しそうなのでそこで探索を終了する。


その後もう1隻の漁船も接岸し、領兵10人を下ろして無力化した海賊達を岸壁まで引きずって来る。

全部で18人居た。

一応一人も死んでいない。

奥の建物から護衛が人質を6人連れてきた。

いずれも女性で、全員20歳過ぎくらいに見えた。

そこでこの後どうするかを相談する。


「こいつらを俺の船に乗せるのはちょっと遠慮したいんだが。」


漁船の船長が言う。

海賊達は足から血を流し、ついでに前も後ろも垂れ流している。

まぁそうだろな。


「船長、この海賊船は操船出来るかい?」


俺が聞くとちょっと見に行ってくると言うので俺と魔法組3人とハンスが着いていく。

念のため89式を持って行く。

タラップを渡って海賊船に入ると異臭が漂っていた。

デッキの床板は黒く変色し、隅に食料の腐った様な物が転がっている。

船長が帆船の構造とオールを漕ぐ部屋の確認をし、これなら操船は出来ると言う。

しかし漁船2隻と海賊船を同時に単独操船は無理なので、漁船2隻で海賊船を曳航する事になると言う。

シラハマの港に近づいたら応援を呼んで海賊船も接岸可能ということだ。


一旦戻って今の事をマークに言う。

捕虜の18人は縛って数珠つなぎにし、海賊船に乗せて部屋に閉じ込めておくというので意見は一致した。

とりあえずの操舵に一人だけ漁師が海賊船に乗り、その他の漁船を漁師達が操船する。

人質6人を漁船に乗せ、俺達の乗っている漁船と海賊船を長いロープで結んだ。


海賊拠点の捜索は後日に回し、とりあえず海賊18人と人質6人をシラハマに護送する事にする。

舫い綱を全て外し、3隻は海賊拠点の港を出港した。


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