193◇岬特訓6
193◇岬特訓6
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最初の1往復で埠頭に近い方向に小舟が戻って来たところで途中にある桟橋に寄らせる。
そこでマークにメモ用紙の束と小瓶に入った事務用の糊を渡して、1往復毎に的の穴を紙を貼って塞いでくれと言う。
また、3往復して次の5人の組に代わるときに2個の的も交換すると言う。
的の交換は俺がすると言ったら、マークが的を預けてくれたらこちらですると言うので、最初の交代時に出発した埠頭で渡すと言う。
その後は順調に小舟は往復し、的に弾痕が増えていった。
1往復毎に弾痕が塞がれるので自分の撃った跡が明確に分かるのだろう。
4人は自分で撃った弾の弾痕を自分で判断し、修正を加えていっている様だ。
同時に撃つと分からなくなるから数秒差を付けて撃ったり、わざと狙い越しを遅らせて着弾点の様子を見るなんてこともやり始めた。
マークが次の組に代わるタイミングで俺が埠頭に行き、ストレージから的を8枚出す。
それをマークが受け取って、2枚を使って的船の的を交換する。
俺より手際よくやっていたので安心した。
マークに後は任せると言って岬の4人の元に戻る。
岬の4人は少し安定して撃てる様になったと言う。
俺は的は1往復毎に穴を紙で塞ぐのに加え、更に3往復毎に的自体も交換すると言う。
これで弾痕の位置が分かり易くなるだろうと言うと安堵の声が上がった。
メモ用紙で塞ぐと的の同心円が隠れて狙いにくくなるのだろうな。
後は日が暮れるまで繰り返しだ。
俺は4人に後は任せると言って灯台の陰に入り、別の折りたたみテーブルと椅子を出して座る。
今回折りたたみテーブルと椅子はガレージに入れて10組持って来ているので使い放題だ。
そこで先ほど閃いたラジコンボートの妄想を紙に召喚する。
粗い芯の鉛筆でガリガリ図を描き、固い消しゴムの様な塊でゴシゴシ消す。
時々ナイフで芯を削り、消しゴムも削って角を出す。
ラジコンというか、無線だな。
電波は使ってないのでラジオコントロールではない。
魔道コントロールなのでマジコンか。
今のところ無線で空間を隔てて信号を送る手段は2種類しかない。
一つは光る魔石の同期魔法陣で伝わる光から音などへの変換だ。
その音の代わりに魔道ゴーレムのアームを一定角度動かす術式の刻まれた魔法陣が反応する様にすればよいかな。
もう一つは光通信だ。
ライトの魔法を放物面鏡と凸レンズで収束し、シャッターで光を断続する。
受信側はその光を受け取ってそのシャッターを開閉するタイミングなどで魔道ゴーレムのアームを動かす。
両方とも、オンかオフしか伝えられないし、受信側で時系列で受信して処理する論理回路も作れない。
まぁ魔道コンタクターみたいなスイッチングデバイスはあるので、それを多数使ってリレーシーケンスみたいなロジックは作れるのだろうがそこまで詳しくはないし、何より魔道コンタクターは軍機物資だ。
実質的に今の手持ちでは無理だな。
うーん、これは前世のラジコン黎明期で使われたエスケープメントの出番だな。
送信機のキャリアのオン・オフでゴムやゼンマイで巻かれた動力を電磁ソレノイドの脱進機で一コマずつ進め、それが舵を中立・右・中立・左・中立という具合に順番に動かす。
この電磁ソレノイドの代わりに光る魔石で受けた発光信号を魔道ゴーレムモーターの要素の魔道アクチュエータに変換魔法陣で伝える。
魔道アクチュエータは魔力が加わった時に動作し、魔力が切れたら元の位置に戻るという、正に電磁ソレノイドと同じ物だ。
小さいとはいえ実船の舵を動かすので模型用よりかなり大きなエスケープメントを作る必要があるが。
いや、ちょっと贅沢に光る魔石通信セットを複数使えば前世のラジコンプロポのチャンネル数みたいに複数の動作が同時に出来るだろう。
船の舵に光る魔石-魔道アクチュエータまでのセットを2組使い、無送信でバネで舵中立、右セット送信で右操舵、左セット送信で左操舵にすればより確実に操作出来る。
魔道ジェットエンジンのスロットル操作も光る魔石-魔道アクチュエータのセットをアップとダウンに1組ずつ使い、無送信で現在位置のまま、アップ送信でラチェット1クリック分スロットルアップ動作、ダウン送信でラチェット1クリック分スロットルダウン動作とすれば、停止から最高速まで自在に操れる様になる。
合計4チャンネル仕様の豪華マジコンセットだな。
あ、これ前世でもロ-ウ戦で使われていたボート型自爆ドローンに使えるな。
舳先に衝突動作型信管用魔法陣を付けておき、そのすぐ後ろに圧縮した発火魔石を200kg程度積んでおけば、相手は大型船でも木造なら一発で沈められるだろう。
コスト比からすれば光る魔石を4セット使っても十分お釣りが来る。
あ、これを魔道エアクラフトに積めば高速航空機型自爆ドローンになるな。
一種の有視界操縦誘導ミサイルだ。
これも3座機に2人分体重相当の160kgの圧縮発火魔石を搭載出来るのでかなりの威力が出る。
別の3座機に2人で乗り、後席から50mくらい先を飛ぶ無人機を操縦すれば射程距離も無限だし。
これを敵の司令部に突っ込ませるとそれだけで戦争が終結しそうだ。
やべぇ。
この世界が一気にドローン戦争に突入する。
これは封印だな。
遠隔操作は夢があっていいが、大量破壊の道具になるとしたら世に出さぬ方が国の為だ。




