190◇岬特訓4
190◇岬特訓4
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89式の訓練は先ほどのをもう10ターンずつ繰り返させて一応終了とした。
全員だいぶスムーズに動ける様になったな。
姿勢も低く、敵確認も素早く動いている。
89式はとりあえずこれで十分だろう。
海賊相手に遅れを取ることはあるまい。
あとこれはやろうかどうかと迷ったが、9mm拳銃でのCQB的トレーニングもすることにした。
89式が故障したり敵に奪われたりした場合の次の手だな。
いざという時にあると無いとでは天地ほども違う。
「さて、一旦魔長銃を回収するよ。ストレージに仕舞うから一人ずつ持って来て。」
俺は4人と自身の分の89式と弾薬やマガジン類を受け取ってストレージに仕舞う。
ストレージとガレージは別領域なので混ざらないので安心だ。
それぞれの魔法陣を内側に刻んだストレージ系魔法のリングを2本左右別々の腕に付けて服の袖で隠している。
「次に魔拳銃でさっきと同じ様な訓練をするよ。各自魔拳銃は持っているよね?」
全員が脇下タイプに改造したホルスターから9mm拳銃を引き抜き、ベルトのポーチから装弾済みマガジンを取り出す。
出発前にマガジン4本に9mm弾を満装填させているので36発撃てることになる。
「先ほどの魔長銃とやり方は似ているけど少し違うところもあるので見ていて。」
そう言い、9mm拳銃にマガジンを入れてスライドを引いて初弾を装填し、デコッキングレバーを下げてハンマーダウンして安全な状態にする。
その状態で右手でグリップを握り、人差し指はトリガーガードから出しておく。
俺の指はまだ少し短いので撃つ瞬間は左手も添える必要があるが、持って走るだけなら右手だけでも十分だ。
他の4人にも片手撃ちは少し体験させているが、通常は両手で撃つ様に指導している。
まず先ほどの89式と同じ様に洞窟の縁まで走って的の方から見えない様に隠れる。
顔を半分出して的の位置を確認し、9mm拳銃を両手で握って体を捻る様にして腕を縁から突き出し、そのままダブルアクション開始で4発連射する。
移動する前にデコッキングレバーでハンマーダウンしておき、テーブル大の岩まで走って的から見えない様にしゃがみ、岩の右側面から右目だけ出して的を確認する。
そのまま9mm拳銃を握った両手だけ岩の陰から出して再びダブルアクション開始で4発撃つ。
その後デコッキングレバーでハンマーダウンし、マガジンチェンジをして次の岩まで走る。
低い岩の陰に腹ばいに寝そべり、岩の上から一瞬顔を出してすぐに引っ込める。
的の位置を確認したので、次に再び顔と同時に両腕を出して的にダブルアクション開始で4連射する。
まぁ89式でやった奴の簡易版だな。
マガジンの装弾数が9発しか無いので無駄弾は撃てない。
4発セットで撃つ事で命中率を上げると同時に牽制になる。
マガジンも2連射毎に交換と覚えておけば弾切れも無いだろうし。
4人に順番にやってみろと言うと、89式で既に繰り返しているので割とスムーズに動いていた。
事故防止の為に動く前には必ずデコッキングレバーでハンマーダウンするのを徹底させる。
シングルアクション位置のまま動いてうっかり躓いたりするとトリガーを容易に引いてしまう為だ。
ハンマーダウンしておけば、シングルアクションよりも数倍重くてストロークも長いダブルアクションを勢い余って引き切ってしまうことはたぶん無いだろうと思う。
どっちみち銃での実戦経験皆無で銃知識皆無だった連中なので安全対策はしつこいくらいやってもまだ足りないくらいだ。
俺?
俺も実戦経験は無いけど銃の安全操作はサバゲーで嫌というほど周りから言われて体に染みついたよ。
89式はいいのかって?
89式にはデコッキング機能は無いし、セーフティレバーが89式独自の安全位置までが遠くて使いにくい配置なのでそこには触れていない。
長物なので両手で持つし、銃口の向きは容易に分かるのでそこは妥協した。
逆に9mm拳銃は片手でも撃てて、体の姿勢によっては銃口の向きを容易に見失うので、簡単に出来るデコッキングを必須としたのだ。
「さて、今回の訓練でみんなは殆ど無意識にウィンドエバキュレーターを使っていたと思う。だけど今後は我々以外の人も使うだろうし、その時に隣でウィンドエバキュレーター無しで撃たれると自分の耳が痛くなる。それを防ぐ為に先ほど見せた魔強銃と同じ仕組みの魔道ウィンドエバキュレーターを付けた物があるので見てほしい。」
俺はハンスと共に組み込んだ魔道ウィンドエバキュレーター付きの9mm拳銃と89式を見せる。
どちらも俺の個人持ちの奴だな。
「とりあえず撃ってみるね。」
9mm拳銃をまず自前のウィンドエバキュレーターを発生させて2発撃つ。
次に自前は止めてトリガーガード前の魔道ウィンドエバキュレーターに起動魔力を与えて2発撃つ。
「最初の2発が自分で発生させた状態、次の2発がここの下に付いている魔道具で発生させた状態だよ。魔道具の方が少し音が大きいけど、これくらいなら耳栓無しでも十分使えると思うんだ。」
次に俺の89式を出し、最初に自前ウィンドエバキュレーターで2発、次に自前を止めて魔道具で発動させて2発撃つ。
「最初の2発が自分で発生し、次の2発がここに付いている魔道具で発生させた状態になるよ。今度はだいたい同じくらいの音量になったと思うけど、これはそうなる様に調整しているんだ。もっと音を消す事も出来るんだけど魔石の消費が大きくなるよ。」
そうなんだよ。
タダで音が消せる訳では無いんだよ。
消音時間は魔石の消費で制限があり、それぞれの持続時間を説明する。
連続動作させた場合9mm拳銃で約5分、89式で約6分だ。
なので撃つ直前まで魔道具に魔力をかけずに魔石の魔力を節約することも説明した。
ここまで言うと魔法使いの3人は自前でウィンドエバキュレーターを発動する方がいいと言い出した。
ハンスは自分で作った物なのでどっちつかずの返事をしていたが。
まぁ魔力切れになった場合でも戦える様に魔道具版の使い方も一応覚えてもらう。
他の護衛に教える場合も魔道具版の使い方講習は必要だしな。
魔道ウィンドエバキュレーターについては今後の課題ということにし、今現在は突入する10人の護衛は俺特製の耳栓で対応してもらう。
耳栓は前世でグァムで撃ちまくっていた時には現地のショップで買った「タクティカル耳栓」というのを常用していた。
これは日常会話は少し不自由になる程度で、銃の発射音は効果的に減衰させてくれるという優れものだ。
シリコンゴムの塊で、複雑な断面形状をしている。
そんなに高い物でも無かったので使った後でナイフで真っ二つにして内部構造を見た事がある。
これを王都の叔父宅の地下射撃場でザンドが撃つ時用の耳栓として再現している。
タクティカル耳栓の構造を真似した植物魔物の樹液を固めたゴムっぽい材質で作っているのだが、中空なので1回では作れず、縦割りした状態で左右を作って後で断面に樹液を塗って貼り合わせて一体化した。
これは王都の軍部工場の職人に鋳型を作る名人が居たので手助けしてもらい、流し込む型をミスリル銅で作ったものだ。
ミスリル銅は一定の魔力を流すと表面の汚れが剥離する特性があるので、樹液を流し込んで固めた後に剥がすのも容易だった。
これを護衛の訓練用にと20個作って持って帰っていたのをそのまま配布したのだ。
「こんなこともあろうかと」と思っていたらまさかの実戦使用だよ。




