186◇シラハマ待機
186◇シラハマ待機
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夕方近くになって護衛10人と領軍兵士20人も到着した。
直接領軍の駐屯所に行き、父親署名の命令書を見せる。
俺が先ほど彼らの宿泊所を確保する様に言っておいたので、駐屯所の兵士は宿泊場所の一覧を護衛や領軍兵士達に渡す。
一覧には俺の宿も取った後に言っておいたので記載されている。
それぞれの宿に落ち着いた後、マークと兵長補佐が俺の宿を訪ねて来た。
各々の代表だな。
指揮系統はこの2人に言えば良いということだ。
マークに10人分の89式は後で各自この部屋に取りに来るように言う。
領軍は今回は銃器は使わない。
一般的な剣、槍、弓矢を分散して持って来ている。
魔法兵も4人居るそうだ。
魔道銃は領軍配備は間に合わないとのことでまだ使えないのだ。
まぁ情報局への納品でかなり放出したのでそのせいもあるが。
とりあえずマークと兵長補佐にこれからする事を言う。
護衛10人は数日後に俺が指導する近接戦闘の訓練を受けてもらう。
これは狭い場所で効率よく敵を制圧する方法で、こちらの安全性を最大限に確保する様な動きをすると言う。
それまでは俺達5人の遠距離射撃訓練を優先するので待機し、順番でシラハマの街中の警備をする様に指示する。
領兵20人に対しては分散してシラハマの港町から見える海上と沖合の24時間監視を指示する。
6人を監視単位とし、6人同時に海上の全方位を監視する。
8時間毎に6人ずつ3交代制とし、決して無理はしないこと。
残った2人は予備とし、監視担当が不調の場合は交代すること。
何か不審な点を発見したら真夜中でも俺とマーク、もしくはこの部屋に居る誰かに報告すること。
特に遠くの海上は望遠鏡を使用して入念に監視する。
夜間も魔法兵が10分毎くらいにライト系魔法のフラッシュを海上に向かって放ち、水面に浮かぶ物を全て確認すること。
うーん、昼間はいいとして、夜間に闇に紛れて忍び寄られると対処が遅れるな。
崖の上に灯台はあるが、魔道具のライトで点滅して目印にしているだけなので海上の照明にはならない。
サーチライトみたいな指向性のある照明器具が要るな。
サーチライトまでいかなくても、前世の乗用車のヘッドライトのハイビーム程度で十分なんだがな。
最近の高輝度な白色LEDやHIDなら150m程度ははっきり見えた様な記憶がある。
まぁ魔法兵が放つライト系魔法のフラッシュでも瞬間的な輝度は前世のカメラのストロボ程度の光量はあったと思う。
全く何も照らす物が無いよりはマシなんだが、瞬間発光して照らした対象を目の残像で見ている様なものなので見落としは多いだろうな。
王都に帰ったら魔道具のライトを高効率化して高輝度にし、パラボラ形状の凹面鏡と凸レンズを組み合わせて大型の探照灯を作ろう。
イメージとしてはWW2時代の戦艦に積んであった大口径のシャッター付き探照灯だ。
これならシャッターの開閉でランバート符合を送信することである程度の距離の文字通信も可能になる。
映画などで戦艦同士がチカチカ光らせて指令を出しているアレだな。
俺の指示が済むとマークと兵長補佐はそれぞれの宿泊施設に戻って行った。
連絡先を書いていたので見ると、護衛10人は5人部屋を2部屋、領兵は10人の大部屋を2部屋取っていた。
まぁ軍事行動なんでこれが普通なんだろうな。
普段は平民の団体客などが使う部屋なのだろう。
その後、今回の最初の目的であるバレットM95による遠距離狙撃の概念を4人に説明する。
まず前回の俺の海賊船討伐経験を話し、その結果を戦果として言う。
それと同等の事を4人がそれぞれ1人で出来る様にするのが目標だ。
白紙を出して前回の状況を図に描き、シラハマの地図と照らし合わせて狙撃地点と目標箇所の関係を示す。
崖上の海面からのおよその高さも書き、横から見た撃ち下ろしの図も描いて角度を認識させる。
まぁ200m程度の距離で約10mの崖からの撃ち下ろしなら上下はあまり気にせずとも良いんだが。
それよりも海賊船は遅いながらも移動している。
12.7mm弾は秒速約900mくらいの速度だ。
海賊船が時速10kmとして12.7mm弾が200m進む間に0.22秒かかるので船体は60cm進む。
つまり、舳先の投石器のアームを狙うとしたら対象より60cm先の海面を撃つ様に狙い越しをする必要があるということだ。
俺は前世でグァムでの撃ち放題時にクレー射撃のスキートやトラップなども少々やっていたので感覚的にすぐに分かったが、人に教える場合はきちんと計算して理屈で納得させないと理解してくれないのでこうやって図に描いて説明している。
更に海岸沿いなので昼間は海風、夜は陸風が吹く。
だが、12.7mm弾は重いので200m程度の距離ならあまり流されない。
シラハマの海岸沿いの風速はさほど速くはなく、風速5m毎秒程度だろう。
それくらいなら200m地点で15cm程度と思う。
まぁ狙い越しに風向きを考慮してちょっとだけ加減するくらいだな。
船体の横っ腹に撃ち込む場合はそこまで精密に狙わなくてもよいので訓練はある程度で終了するつもりだ。
そして、本来なら岬の崖の付近にテントか仮設小屋を建ててそこで待ち受けるのがいいんだろうが、万一夜間などに監視の目をすり抜けて港に迫って来た場合は今の宿からすぐ出た所で迎え撃つ方が良い。
まぁ岬からの方が都合が良いと判断したら18kgあるサプレッサー付きM95を抱えて岬の突端の崖まで走るんだけど。
俺が居たらストレージで引き受けるが、俺が居ない場合はそのまま抱えて全力疾走だな。
俺馬車はこの場合使わない。
夜間真っ暗な中で馬車を走らせると事故の元だからだ。
こういう狙撃に関する細々とした事を説明し、明日から訓練を開始すると言う。
訓練場所は前回狙撃に使った灯台の下だな。
実際に海賊を狙撃したポイントなので実地の訓練になるだろう。
場合によってはオールで漕ぐ舟で別の小舟を100mくらいの長いロープで曳航し、小舟の上に少し高めに台を組んで直径1mくらいの的を置いてそれを撃ってもいいかもしれない。
撃たれる方はたとえ100m距離が空いていても気分はいいものではないだろうが、まぁ護衛の中から志願してもらてやってもらおう。




