182◇反撃案
182◇反撃案
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さて、いかに俺が陰に隠れて人前に姿を見せずに敵を殲滅するかだ。
色々考えられる。
相手を一人も残さず殲滅するなら話は意外と簡単だ。
試作3座機を王都から持って帰り、俺とデビッドで操縦する。
後席に海賊が使った様な時限動作式の爆弾を大量に積み、敵拠点の島上空から4隻の海賊船目がけて投下して破壊する。
爆弾は5リットルくらいの壺に発火魔石粉を緩く充填して蓋を閉めて封蝋などで密閉する。
中央に小さな穴を開けてミスリルの線を通し、その上に時限発火動作式の魔法陣を貼り付けて素早く落とす。
壺は船上で割れると同時に遅延発火魔法陣が動作し、撒き散らされた発火魔石粉に着火して甲板に引火する。
木造なので瞬く間に全焼するだろう。
焼夷弾の様なもんだな。
海賊船以外にも小舟や輸送船の様な物も全て破壊する。
島には拠点の建物もあるだろうからそれらも根こそぎ破壊する。
その後島を遠巻きに監視して隠していた小舟や泳いで逃げようとする者を片っ端から殲滅すれば、いずれ島には食料が尽きて全滅するはずだ。
捕虜?
この場合は考慮しない。
そこまでせずに拿捕したり降伏させるのは少し面倒だ。
こちらのバナナ輸送に使っている船である程度の大きさの物を借り出し、これに乗って攻撃する。
速度が遅いので、オール付きの小型船に牽引させて少しでも速く動ける様にする。
もちろんバレットM95で遠距離狙撃するのだが、揺れる海上から撃つので少しでも大きな船から撃ちたい為にバナナ船を使う。
まぁ海賊船との距離は50mも離れれば敵の矢も木の盾で防げるだろうし、こちらも経験者5人並んでM95を構えれば十分な火力だろう。
その距離から海賊船の喫水下を集中攻撃すれば100発も撃ち込めば沈没させられるはずだ。
5人で20発ずつ撃つのに5分もかからない。
それを4隻分やればいいだけなんで、そんなに困難ではないな。
残りの海賊も小舟で分散して襲撃して来るだろうが、それこそM95のいい的だ。
たぶん数発船体に当てただけで沈没するだろうな。
いざとなったら89式のフルオートで掃射すればすぐに片が付く。
いずれにしてもこちらに被害は出ないだろう。
これなら半分沈没させた海賊船は後で島に引き上げて修理すれば使えるだろうし、こちらも89式で武装した護衛部隊を上陸させればあっという間に制圧出来るだろう。
この案では海賊が大量に死ぬな。
今回捕虜にして分別した様な事が出来ないので、強制連行されただけとか、下働きさせられていただけの殆ど無罪の者も場合によっては殺す事になる。
また、捕虜が居た場合はそれを盾にされて海賊の道連れにされる場合もあるだろうし。
まぁ早めに制圧して降参させた場合は前回と同じ様に海賊を振り分けて処理すれば終わりだな。
最後に、降参させて全て無傷で接収するというのがベストだ。
今まで海賊に盗られた物資や金品も回収出来るだろうし、捕虜が居た場合も安全に救出出来る。
だが、これをするには海賊拠点の島に忍び込んで静かな破壊工作をする必要がある。
ラノベなどでは透明化や認識阻害魔法や忘却魔法、時間遅延魔法などの便利な能力を持った主人公が単身敵拠点に侵入し、最初に敵のボスを無力化してその後は幹部も片っ端から無力化し、主人公がボスに変装して島を領軍に開放するというストーリーが良くある。
まぁそんな便利な魔法はこの世界には無いので無理なんだけどね。
別な方法としては忍び込んで料理番に成りすまし、遅効性の睡眠薬を全員に振る舞って眠ったところを領軍で捕縛といったところか。
誰がするんだよそんなこと。
ジェームズ・ボンドかイーサン・ハントなら出来るだろうが、現実の人間には無理だろう。
まぁ現実味が無いこの案を言って、万一これにしろと言われてもまずいので決して口に出さない様にしよう。
口は災いの元だ。
その日は遅くなったので一旦解散とし、次の日の朝から海賊対策の続きをすることになる。
俺も朝食後に領主屋敷の会議室に招集されたので昨日の夜考えて書いたメモを持って参加する。
会議室には父親を筆頭に、護衛部隊のマーク、ザンド、デビッド、国内法担当文官2人、守備隊隊長と副官、領軍からは駐屯地の兵長とその副官、それに俺が集まった。
俺の事は既に皆承知しているので誰も不思議に思わない。
それよりも今回の中心人物であるという情報が回されて俺の席は父親とマークの間になっていた。
「さて、昨日の海賊40人の振分けは縛り首15人、鉱山強制労働12人、船大工強制労働13人と決まった訳だが、刑の執行は10日後とする。それまでに海賊から取引の申し出があれば内容によっては応じる場合もあるし、拒絶する場合もある。問題は拒絶した場合の海賊の行動だな。」
「海賊の複数人からの自供で、海賊の本拠地はシラハマの港から西方に約30キロム離れた小島にあるそうです。バナナ産地の離島とは方向が反対なのと、海賊がバナナ運搬船を襲う事に利点を見いだしていないので今は襲われていないということです。」
「まぁそうですね。熟れていないバナナを強奪したところでどこに売りに行くかという事でしょう。時間が経てばいずれ腐りますし。」
「さて、10日以降の我々の行動と決めねばならぬが、我々には海上戦力が無い。どうすれば海賊の動きを止められるか案を出してくれぬか?」
そこで皆が押し黙る。
まぁ簡単に思いつく様ならこれまでにとっととやっていただろうしな。
「あのぉ、他領や隣国に打診して海軍力を借りて海賊を掃討するというのはいかがでしょうか?」
文官が恐る恐る言う。
東の隣国で先日国境騒動があったサタナイト王国ならある程度の海軍力を持っているという話を聞いた事がある。
好戦的な国らしいので、そりゃぁ海軍くらいは持っているか。
しかしそこに助けを求めるのは無茶である。
引き換えに国境を西にずらせなどと理不尽な事を言って来るに決まっている。
さらに隣国の海軍がそのままシラハマの港に居座って事実上の占領をする可能性すらある。
西のザルツ子爵領については規模がウチの半分くらいしか無いのでそもそも無理だろう。
逆に海賊はザルツ子爵領の港も襲っている可能性があるくらいだ。
こういうことを寄ってたかって言われて文官は撃沈した。
しばらく無言が続く。
5分間誰も発言しなかったので父親が俺に促す。
言いたくはないけど言わぬとこの領の未来は無い。
「誰も意見が無い様ですので、私から案を2つばかり紹介させていただきます。」
俺はメモ用紙を見ながら案の説明を開始する。




