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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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175/280

175◇僕のなつやすみ4

175◇僕のなつやすみ4

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ランチが終わって海竜亭を出たところで、海の方から何やら騒がしい音が響いて来た。

パンパンと破裂音もする。


え?

火薬?

まぁ発火魔石があるのだからちょっと使い方を誤れば爆発するだろうし、自然と爆薬として使うようになったのかもしれない。


しばらくするとシラハマの街の冒険者協会らしき建物からワラワラと武装した人が出て来た。

20人くらいはいるかな。

デビッドに聞きに行ってもらう。


3分ほどして帰って来て、海賊だと言う。

半年に1回程度の頻度で3本マストの大型の外国船の出港時を狙って襲って来るらしい。

ちょうど今波止場から離れて100mほど沖合にいる大型船が目当てだろう。

外国船の舷側には大型バリスタが何基か見えるが、あれでは海賊船の舷側は打ち抜けまい。

刺さっても抜けなければ浸水はしないので航行に影響は無い。

たぶん装甲としてバリスタで抜けない程度の鉄板は貼っているだろうし。


冒険者とおぼしき武装した集団は港にある小舟に分乗して必死に漕ぎだした。

海賊討伐の依頼は常設らしいので、命知らずの荒くれ者が先を争って船出するらしい。

5人乗りの小型のカッターの様な船で、4人で2人ずつ両舷でオールを漕ぎ、船尾でリーダーらしき1人が舵を取っている。

4隻に分乗して海賊船を包囲するつもりの様に見えるな。


海賊船は外国船の半分くらいの大きさの2本マストで、片舷に6本のオールが見えるので両舷で12人が漕いでいるのだろう。

それが2隻、かなり速い速度で沖合から外国船に接近していた。

接近しつつ威嚇と思われる先ほどの火薬の破裂音をさせている。

マストにまるでテンプレの様な簡略化されたシャレコウベのイラストを描いた大きな旗をなびかせていた。

まぁ見た目がトゲのある鉄板装甲の完全にヒヤッハー仕様なので、それだけでまともでない船だと分かるが。

そんな光景をストレージから双眼鏡を2個出してデビッドと見ている。


「あの3本マストの大きな船、出航ということは荷物満載で海賊はそれを狙ってるってことかな?」


「そうですね。大型船は離岸して1キロムも離れると帆を全開にして航行し始めます。そうなると海賊船では追いつけないので、出港してすぐの所を2隻で囲んでロープを掛け、乗り込んで拿捕するんでしょう。大型船の武装はあのバリスタだけですので制圧されるのは時間の問題ですね。」


「冒険者の乗っているあの小さい4隻の小舟?は役に立つと思う?」


「まず弓矢では海賊船の装甲を抜けないでしょうし、人数は海賊の方が多いと思います。たぶん1隻に20人は乗っているかと。」


「すると海賊は合計で40人くらいか。まず勝てないな。これってウチの領内の出来事だよな。で、俺ってランバート家の次男だよな。ならこの事態を黙って見過ごすことは出来ないよな?」


デビッドもザンドも頷く。

アンナもちょっとだけ頷く。

周りを見渡し、海岸に少し出っ張って小高くなった崖に灯台の様な物があるのが見える。

ちょうど湾の出口の近くにあるな。

そこに大型船は向かっており、海賊船はその外からこちらに向かっている。

崖からの距離は200mくらいだ。


アンナにウチの別荘に戻って管理人に海賊船を迎撃すると伝えてくれと言い、デビッドとザンドを引き連れて崖に走る。

10分ほど走って崖の上の灯台の下に着き、ストレージからサプレッサー付きのバレットM95をケースごと取り出す。

折りたたみ式のテーブルと椅子も取り出し、12.7mm弾薬20発入り5箱とM95用マガジン3個取り出す。

その間にデビッドがM95をケースから取り出してテーブルの上に置き、マガジンに12.7mm弾を詰める。

ザンドは双眼鏡で海賊船を監視しており、現状を刻々と報告している。


「海賊船、2隻が二手に分かれて大型船の両舷から同時に襲撃する様です。大型船はそれに対して斜めに向きを変えて逸らそうとしていますが、動きが遅くて無理な様に見えます。両者の距離約200サブキロム(m)。」


両者とも速度が遅いから200mを詰めるのに40秒近くはかかるな。

間に合ったか。


俺は椅子に座り、デビッドからマガジンを受け取ってM95に装着する。

サプレッサーは付いているが、少しでも音を小さくしたいのでデビッドと一緒にウィンドエバキュレーターを銃口に発動させる。

スコープのキャップを跳ね上げ、ボルトを操作して初弾をチャンバーに送り込む。

スコープは河原で200mでサイトインしてあるのでこの距離でおおよそ合っている。

少し撃ち下ろしなので心持ち上を狙えばいいかな。


スコープを最大の24倍にして海賊船を見る。

舳先で小型の投石器の様な物で瓶の様な物を放出し、30mほど飛んで海面に着く前に爆発している。

発火魔石の火炎瓶みたいな物だろう。


速度は遅いが移動しているのでそれを見越し、スコープの十字になったレティクルを投石器に合わせてトリガーを引く。

バスっという音と共に僅かな間を空けて投石器のアームが折れた。

もう1隻の方の投石器も狙う。

こちらは少し離れていたので初弾は外れた。

次弾で同じく投石器のフレームが折れた。

丁度その時発射寸前だった様で、向こう側の海賊船の舳先で爆発が起きる。

手前側の海賊船の舳先も良く見ると投石器の足下に瓶状の物が何個か見えるのでそれを撃つ。

2発目でそこも爆発した。

たぶん発火魔法陣が割れた瓶の発火魔石に触れでもしたんだろう。


2隻の海賊船は舳先で爆発をしたので襲撃を止めるかと思ったがそんな事はなく、オールを漕ぐ速度は変わらない。

なので船足を止める為に舳先に近い喫水線の少し下を連射で撃ち抜く。

マガジンチェンジしながら2隻に10発ずつ撃ち込むと少し船足が落ちた。

更にもう10発ずつ同じ箇所に撃ち込むと舳先が少し下がった様に見える。

オールを漕ぐ速度は変わっていないので、舳先に空いた穴から進行方向からかかる水圧で海水が大量に浸水し始めている様だ。

更にもう10発ずつ穴が大きくなる様に撃ち込む。

木造なのでたぶん両舷とも抜けているだろう。

船体の向こう側は撃ち下ろしなのでもっと深い場所に穴が空いているだろうし。


大型船まであと30mといったところで海賊船は完全に停止した。

角度にして20度くらいは前下がりに傾いている。

海賊船長もこれ以上漕ぐと浸水が増えて沈没すると思ったんだろうな。

オールを漕ぐ合図の太鼓の音も止まっている。

木造なのでかろうじて浮いているが。


「さて、これで大型船は止まった海賊船を迂回して抜けられるな。迂回動作が結果的に間に合った様に見えるね。」


「そうですね。でもこんなに簡単に海賊船の足を止められるとは思いもしませんでしたよ。すごいですね、それは。」


ザンドが感心している。

まぁバレットM95は魔法組3人と俺とハンスしか撃ったことがないから威力はあまり分からないんだろうな。

上位魔獣と海賊船では大きさがまるで違うので、同じ様に簡単に倒せたのが信じられない様だ。

実は俺もだ。

まぁ相手が木造船で、舳先喫水線下に集中砲火したのだから蜂の巣状になったところに進行方向にかかる水圧がもろに集中し、一気に大穴が空いたのだろう。

咄嗟に考えたにしては良い結果だったな。


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