172◇僕のなつやすみ1
172◇僕のなつやすみ1
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さて、現代銃の減音関係が一応目処が付いたので後の量産やトレーニングは大人に任せ、俺は夏休みを堪能する。
よく考えると帰省してからずっと働いていたな。
夏季休暇。
なつやすみ。
避暑。
バカンス。
うーむ、いずれも俺には無縁に思える。
なんてブラックなんだ。
まぁ半分自分が蒔いた種のせいなんだけどね。
だからしばらくは「貴族のわがままお坊ちゃん」をするのだ!
早速いつものメンバーを招集する。
アンナとザンドとデビッドだな。
このメンバーで領内の観光スポットを巡るのだ。
俺がこの世界に来て最初の1年間、ほとんど遊ばずアイリスの家庭教師授業とマークの剣技訓練と銃関係の仕事をしてきた。
そしてこの領の観光名所風光明媚絶景などを全く知らずに過ごしてそのまま王都送りになったのだ。
ならば最初の「夏休み」にすべき事は決まっている。
レッツゴー・ツーリング!
幸い乗るクルマはラグジュアリーサスペンション付きである。
なのであちこち巡っても尻が痛くならないので同行者の反対が出にくいのだ。
まぁ俺が「行く」と言ったら反対する選択肢は無いのだが、そこは気にしない事にする。
本当はKLX250を出して乗りたいんだが、まだ背が低いんで足が地面に届かないんだよ。
シート高が890mmもあるので身長が170cm程度は無いと無理だ。
今の俺の身長は155cmくらいなんでまたがっても両足ぶらんぶらんだな。
そのうち成長する予定だから待ってろよ!
まぁ前世ではクルマでもツーリング的な事をしていたので、俺馬車改2で巡る事に不満は無い。
早速行きたい場所のアンケートをする。
「私は母の実家のある南の海岸沿いの街がいいですね。何年か毎に休暇をもらって両親と行っています。前回行ったのが2年前なのでそろそろと思ってたところなんですよ。」
「私は西の方にある高い山に登ってみたいですね。確か標高が2キロムくらいなので、本格的な装備をしなくても登れるそうです。頂上からの景色が絶景とかで、イメージショットの魔石の写しなんかも売ってましたね。」
「私は東の方の魔の森の手前にある草原でハンティングをしてみたいですね。草食動物ばかりなので襲われることもありませんし、魔長銃を使えばアンナさんも撃てると思いますよ。」
うーん、海岸沿いなら海鮮料理がふんだんに食えるし、海水浴も出来そうだ。
貸しボート的なものがあれば海上で釣りなんかも出来そうだし。
山もいいな。
この世界の住人は基本歩きなんで2000m程度の標高なら軽いだろうし。
何より俺のストレージでキャンプ用具一式を持って行けるのでほぼ手ぶら登山が可能だ。
ハンティングもいいな。
貴族の嗜みみたいなところもあるし、アンナもこの世界の住人なんでウサギやニワトリを捌くくらいは出来るそうだ。
なので相手が草食動物なら食料扱いだな。
まぁ全部に行ける訳ではないので、今回はアンナの田舎に帰るのと兼用で海鮮を食いに行こう。
こっちの世界の海をまだ見た事がなかったし、違う街に行った事もなかったしな。
聞くと結構大きな港町だそうで、大型船が寄れる波止場もあるそうだ。
離島の大きな島からのバナナの輸送の中継地にもなっているし、外国との輸出入の窓口もあるそうだ。
「では今回は僕の興味もあってアンナの案で行くことにしよう。海をまだ見た事がなかったし、海鮮料理も美味しそうだ。宿泊施設はあるんだよね?」
「街の中央に役所や商業者協会の建物と一緒に貴族様向けのホテルが何軒かあります。今はシーズンなので一杯になっているかもしれませんが。」
「まぁ最上級ルームは空いているでしょ。そこに皆で泊まればいいしね。」
メイドと護衛なので同室に泊まる事に何の不自然さも無い。
まぁアンナが祖父母宅に行きたいと言えば1日別行動にしてもいいし。
ザンドとデビッドはずっと俺と一緒だ。
とりあえず決めたので父親に許可を貰いに行く。
昼食後に部屋を訪問し、行き先の説明をする。
「父上、私に付き添って王都に行っている3人と南の海辺の街に2泊3日くらいで行ってみたいと思いまして、許可をいただきに来ました。」
「南の海辺というとシラハマだったな。あそこにはうちの別荘があるぞ。2年くらい前に行ったと思うが、そうかマーティンは大怪我をする前に行ったから記憶に無いんだな。」
なんと!
我が家の別荘が!
まぁ領主なんで何の不思議も無いんですがね。
一気にワクワク感が下がったな。
まぁ使えるものはありがたく使わせてもらおう。
「はい、それも知りませんでした。ですので改めて行ってみたいと思います。」
「良かろう。別荘には管理人の夫婦と娘が住んでおる。彼らに言えば衣食住の面倒は見てくれるから色々頼むとよい。」
「ありがとうございます。では別荘利用の許可証を書いていただけますでしょうか。」
「少し待て。他の利用も確認して夕食の時に渡す。日程は2泊3日で良いのだな?」
「はい、明日から行きたいと思います。少しの延長は可能でしょうか?」
「それも確認して書き加えておこう。まぁお前は王都から帰って来てからでも働き詰めだったものな。息抜きも良いと思うぞ。」
父親は少し苦笑いをしながらバカンスの許可をくれた。




