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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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165/293

165◇クール便

165◇クール便

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熱移動とそよ風のイメージを保持したまま1時間ほど走ってもらい、一旦止めて旗布をめくってみる。

獲物を触ると明らかに冷えすぎていた。

凍る寸前で冷蔵庫のチルド室みたいだ。

以降は熱移動の程度を抑えたイメージとし、一般的な冒険者同様に15度くらいに保持する。

ちなみにこの世界にも温度計はある。

水銀を細く引き延ばしたガラス管に封入し、冬の水が凍る温度と湯が沸騰する温度を百等分するお馴染みの摂氏だ。

もちろんセルシウスという名前ではないが。


「これで冒険者協会の解体場に直接持ち込んでも怪しまれないね。」


「いやいや、特大のレッサーベアーがいますよね。この人数とレベルで狩れるものではないですよ。それこそ全員金クラスなら不可能ではないでしょうが。」


「どうしよう?特大だけ隠す?」


「いえ、せっかくマーティン様が倒したのですから通しましょう。最近護衛部隊で新装備を配備している事は冒険者協会でも掴んでいると思います。それにかこつけて新たな秘密の魔道具で獲物を魔の森の奥から運搬した事にしましょう。これは領主様の意向を含んでいますからそういうものだと言い張れば協会側も逆らえないと思います。」


うわー、やっぱり大ごとになりそうだな。

まぁ父親の意向を含んでいるのは事実だ。

たとえそれが俺のお遊び目的の無茶苦茶ハンティングでも親父殿の承認のサインがあるし。


そしてクール宅配便になった俺たちの荷馬車は日が暮れる前には領都に着いた。

早速冒険者協会の解体場に持ち込む。

マークが銀クラスの冒険者登録証を使って申し込み、同時に護衛部隊長の身分証も使って解体場の扉を閉めて秘匿状態とさせる。

解体場には管理者クラスとベテラン4人を残して他の10人近い作業員は退出させる。

俺がマークに託してあった小遣い銭を渡していたので特に不満は出なかった。


「さて、今回俺たちは冒険者の立場で魔の森に入って狩りをしたが、領主様の意向で新装備の試験的運用をした。その結果、ここにある獲物を持ち帰ったというわけだ。それで、今から見聞きする事はここにいる人員と協会支部長以外には秘密にしておいてもらいたい。出来るな?」


マークの圧が強い。

何せ領主直属の護衛部隊長だもんな。

皆素直に頷いていた。


「では獲物をお見せしよう。」


護衛3人で素早く荷解きをし、獲物群を見せる。

解体場の人たちは驚いていた。

何せ600kgはあろうかというレッサーベアーを中心に、500kg弱と100kg弱の同種。

グレイウルフも大1中4の群れセット。

キラーバードもほぼ無傷で雛と卵の殻付きだ。


「マ、マーク様、本当にそちらの3人で狩られたので?」


俺は見た目でカウントに入っていない。


「そうだ。領主様の配備された新装備でこの結果を出したのだ。領主様もさぞお喜びのことだろう。冒険者協会でも受付記録はしっかりしてくれよ。あ、領主様への報告用なので部外秘はそのままで頼むぞ。」


「はい、支部長を呼んで参りますので少々お待ちください。」


管理者は責任を負いたくないんだろう、上司である支部長を自分で呼びに行った。

5分ほどしてバタバタと支部長と管理者が戻ってきた。


「これはこれはマーク様。冒険者としての活動ありがとうございます。領主様のご意向とのこと、承知いたしました。ここにいる職員全員で秘密は保持させていただきます。」


「うむ。では荷下ろしを頼めるかな。」


さすがに俺の仮想ハンドで降ろすわけにはいかない。

一旦ガレージに収納し、改めて座標を指定して出すと実質移動になるんだけどね。


解体場の管理者はベテラン4人に指示し、少し凹んだ床の解体場に降ろす様に言う。

天井から吊られた4個の滑車付きロープでレッサーベアーの四肢の付け根を縛り、少し引き上げて体の下にも何本もロープを通す。

別の4個の滑車も操作して600kgのレッサーベアーを持ち上げる様だ。

前世のホイストやチェーンブロックみたいな構造だな。

ガラガラロープを引っ張ると、じわじわとレッサーベアーが持ち上がる。

天井には全滑車をひとまとめにして吊るしてある鉄枠があり、2本のレールの上に乗っている。

別なロープを引くと鉄枠がじわじわと横移動し始めた。


なるほど、手動だが前世の天井ホイストシステムと同じだな。

目的が一緒なら手段も似て来るという事なのだろう。

まぁ魔獣が数百kgあるのが当たり前なので、それこそ前世のフォークリフトでも使わない限りこの方法しかないのだろうな。


続いてレッサーベアー大とグレイウルフ大も同様に降ろし、後はベテラン4人でグラビティ魔法で重量軽減しながら手作業で降ろしていた。

全てを降ろすと護衛3人は旗布を内側を巻き込む様に丸めてロープで縛り、ワイヤーと共に荷台に固定した。

マークが支部長と管理者と何かを話している。

20分ほどベテラン4人が獲物を簡易検分し、状態はこの上なく非常に良いと管理者に報告する。

それを聞いた管理者と支部長は笑顔になり、マークに査定は期待して欲しいと伝える。

そこでマークは本検分の査定結果は後日で良いから、今の時点での簡易検分の査定結果を文書にして欲しいと言う。

管理者はベテラン4人に現状の検分結果を書き出させ、それをまとめて1枚の文書にし、支部長が承認のサインをした。

マークがそれを受け取り、封筒に入れて懐に仕舞う。


「では後の事は頼むぞ。俺はこれから領主様の所に報告に行く。くれぐれも内密にな。」


さすがはマークだな。

領主直属の護衛隊長なだけのことはある。

粗暴なイメージのある冒険者協会の職員が大人しいもんだ。


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